柔道一直線 高校生時代 ネタバレあり

本ページは柔道一直線中学生篇からの続きです。

 

第41話 荒鷲よはばたけ
 「太陽はいつも1人だ、だけどいつも燃えている。おれも、太陽のように燃える男になりたい」と高校通学初日の早朝に誓う直也。進学先の桜ヶ丘高等学校に早めに登校すると、そこには校舎の間を飛翔する1人の男がいた。

 その男は鷲尾と名乗った(演ずるは千葉真一)。オリンピックのゴールドメダリストらしい。過去に拘らず、常に次に勝つことを考えているという。

 その鷲尾が高校生相手に稽古をつけている様子をのぞき見した直也は、たまらなくなり稽古をつけてくれて申し出る。鷲尾は稽古をつけるが、直也はすぐに気を失ったしまう。

 明和高校との対抗試合が近くに迫った事をしった直也は、柔道部入部テストを受ける。過酷なテスト中、直也は自分を見に来た車周作を見つけ、自分を捨てた車への怒りから闘志を燃やす。

 この回から登場するいつも右の首筋に絆創膏を付けている桜ヶ丘高校柔道部顧問の鶴田先生を演じるのが、名優、名古屋章。不思議なとぼけた雰囲気のなかに、キラリと光る真剣みを醸し出す芝居は他をもって変えがたい俳優だ。

 また、国語?の教師である香川先生を演ずる岸田森はその独特に不思議な雰囲気でシーンに深みを与える貴重な俳優。

 それから俳優名は知らないが、「強い人が私は好きよ」って言う薫という名のエモい女子高生が初登場する。ミキッペのライバルか?

 前回までの中学生時代とは、身体能力や技術、精神性などで高校生が比べ物にならないほど強く速く頑丈なのだ…と視聴者に納得させる回だったと思う。

 

第42話 地獄を飛び越えろ
 桜ヶ丘高校柔道部入部を果たした直也は、新入部員では自分が一番だと思っていた。しかし、試合で同じ新入部員の野坂に負傷している右足を責められて敗北した直也は、自暴自棄気味になる。

 誰からも助けてもらえない直也は彷徨うが、乱暴な運転のクルマを咄嗟に避けた際の自分の動きに一筋の活路を見出す。その活路を手繰り寄せるため、直也は川を挟んでそそり立つ二つの岩の間を飛びわたる訓練を試みる。

 落ちたら死ぬ、だから必死にやる。それは、千葉真一演ずる鷲尾が直也に初対面で言った言葉だ。とはいえ、安全ロープを手当したうえで訓練を開始する。しかし、それでは落ちたら死ぬにならないので、安全ロープを外して訓練に挑み成功させる。

 その後、直也は野坂に再試合を申し込み受理され試合する。その試合で無意識に新技フェニックスを完成させる。

 

第43話 必殺技フェニックス
 桜ヶ丘高校トップテンの七番目の位置につけた直也。嵐先生に新技フェニックスを披露したり有頂天。だが、車周作から風祭右京は明和高校柔道部で一番強い、七番目程度でなんだ?…みたい事を言われ、またどうやら車は右京に車の必殺技地獄車を指導しているらしい事を知って落ち込む。

 そんなとき、「強い人が私はすき」とか言うエモい女子から、今晩うちに来て私の箏を聞いて欲しいと誘われる。彼女の自宅に行き、彼女が奏でる曲を聴くうちに、直也の中に闘志が燃え上がってくる。

 翌日、順位決定戦で直也は六位の先輩を破り、明和高校対抗試合の選手に選抜されたと思っていたら、どういうわけか補欠になっていて、ショックを受ける直也。

 

第44話 右京、おれと勝負だ
 桜が丘高校柔道部内で六位の位置につけたにも関わらず、明和高校柔道部との対抗試合では選抜メンバーに入れず補欠にされてしまった直也は怒りを爆発させ、「この柔道部はインチキでい、辞めてやる」と言うが、入退部すら自由でない事を知る。

 道場を1人残って掃除している直也に、香川先生(演ずるは岸田森)が新入生なのにもう補欠になれたのか…と褒めると、直也は納得できない胸の内を吐き出す。香川先生は「やせ犬は大いに吠えるべし。それが青春というものだ」と言う。直也はうまい事いうみたいな表情をする。

 丸井円太郎との練習で何かを掴んだ直也は、対抗試合の前夜に車周作と風祭右京が練習する場に出かけて、車に風祭との試合をさせてくれと頼む。

 闘争心を燃やすのは直也だけではない、風祭もやりたくてウズウズしていたのだ。2人からの願いを聞き入れて車周作は2人の試合を許す。

 結果は直也が風祭の新技を封じ、自身の新技フェニックスで勝利する。車は直也の勝利を称賛すると同時に心と野中では明日の風祭右京は今日の風祭右京ではない…と呟く。

 直也を補欠にしたのは鶴田先生の作戦であった。タイミングをみて直也を右京にぶつけて直也の新技フェニックスで勝利する事を考えていた。しかし直也は試合前日に右京と車にフェニックスを見せてしまっている。

 試合までに右京と車はフェニックス対策を考え出してくるだろう。鶴田先生はもはや桜ヶ丘高校が明和高校に勝つ術ばないと考える。

 試合当日、風祭右京の試合相手として直也が当たった。前回の勝利の記憶から、今回も直也は勝てるつもりでいた。しかし直也のフェニックスは破られ、敗北してしまう。

 負けて呆然とする直也を見つめつつ、車周作は直也に更なる進歩、強さを願うのだった。

 

第45話 火の鳥よ羽を燃やせ ー師とはなにかー
 右京(と車)に新技の攻略法を僅かな時間で見出され負けた直也や敗北を引きづっていた。

 嵐先生の町道場で日々の稽古の重要性を目の当たりにしても、地回りに投げ飛ばされた時に鶴田先生に助けられても、鷲尾先輩に右京と車周作への恐怖を捨てろと諭されても、車周作に万物を師として自身で柔道の道を進めと言われても、直也は理解できなかった。

 しかし、焦らず冬を耐え抜いて春に芽吹く草木を見習えと香川先生と諭され、またそれを香川先生の気持ちに気づいた直也は、敗北を乗り越えて自分で柔道に邁進しようと再起する。

 鷲尾との稽古で心技一致のコツをつかみかけた直也は、調子にのり自ら危機に身を投じてしまう。

 

第46話 鬼の柔道 ー柔よく剛を制すとはー
 調子に乗り川に流されてしまった直也を助けたのは、鬼の柔道家木村正彦であった。直也は木村に弟子入りを志願する。

 木村の一見柔道とは無関係に思われる指示の無茶苦茶さに不貞腐れる直也だが、その意図を聞き孤独に徹する姿勢の大切さを知る。

 

第47話 ひとり荒野に立て ー集中力とはなにかー
 今の自分に欠けているのは集中力だと指摘されて直也は、いつものように誰彼かまわず集中力とは何だ?と質問して解を得ようとする。

 母から教えられた亡父の鍛錬方法を試し、集中力を得たと確信したが、それはまだ集中力ではなかった。鶴田先生に、それは大道芸人だって出来ることなのだと諭される。

 直也が一人深夜に鍛錬をしていると、ふと車周作の金槌で薪を切る姿を思い出す。鈍な金槌で薪が切れるのは、そこに集中力が作用しているからだと悟った直也は、鍛錬の末に集中力を会得する。

 その集中力を用いて桜が丘高校柔道部キャプテン黒井の技を破り勝利する。

 

第48話 竜虎の死闘 ー戦いとはなにかー
 東京都高校柔道選手権大会で、明和高校と桜ヶ丘高校は優勝戦と戦う事となった。5人対5人の勝ち抜き戦方式の団体戦で相まみえた両高は、明和の大将の風祭右京、桜ヶ丘高校の副将に一条直也を据えた。

互いの勝ち抜き方の結果、大将風祭と副将一条が対戦することに。2人は見る者の胸を熱くする死闘を繰り広げたが、延長戦のすえ、引き分けとなり、大将を残す桜ヶ丘高校が勝利した。

しかし直也は、自分との試合で車直伝の地獄車をなぜ使わなかったと風祭に問う。風祭の答えは、地獄車はまだ未完成なので、その未完成の技を掛けたら相手を失う事になるかもしれないから、使用しなかったという。

火を噴くような死闘のさなか、風祭はそういう心に花を持った男であった。直也は風祭のライバルとして相応しい選手になる事を誓う。

 

第49話 必殺馬上返し ー心の友とはなにかー
正直この回は見るべきものが理屈コネ太郎には見当たらない。なので、暫定スルー扱いとします。

 

第50話 大豪寺虎雄参上 ー初心に帰るとはー
 大豪寺が桜ヶ丘高校柔道部に出稽古を申し込む。鶴田先生はとりあえず直也に相手をさせるが、大豪寺は直也を見下して本気になれない。しかし、鶴田先生の指示なので仕方なく稽古をつけると、大豪寺は圧倒されてしまう。

鶴田先生は大豪寺に初心にかえる大切さを説くが、大豪寺には初心にかえる事の意味がわからない。仕方ないので、自分を負かした直也に弟子入りをする。鮮魚店の息子である直也の魚の食べ方が汚いのを見た大豪寺は、自分の中に潜んでいた油断に気づく。

大豪寺はもう一度、大切な基礎から初心を抱きつつ稽古を重ね始める。地獄車修得に励む風祭右京。2人のからの刺激で、直也も慢心をすて初心にかえって稽古に励む。

 

第51話 行け!友よ ー男らしさとはなにかー
 桜が丘高校からは直也を含め三人が出場する全関東高校柔道個人選手権に、丸井円太郎が出場する事になった。

 亡父にこの大会での一勝をプレゼントするつもりであった円太郎であったが、一回戦の相手が大豪寺虎雄と知り消沈する。

 直也はそんな円太郎の指導を車周作に頼む。車周作は円太郎の父を地獄車で死亡させた張本人であった。

 周作は、円太郎に小手先の事をおしえても大豪寺には勝てないので、円太郎が正面から大豪寺と渡り合う地力をつけさせるために打ち込みの指導をする。

 周作の意図に同意できない直也は反発し、自分が大豪寺対策を指導すると言うが、円太郎は父を死なせた周作の指導を選ぶ。

 試合当日、円太郎は大豪寺と立派に男らしく渡り合い、打ち込みの成果を証明した。

 周作は円太郎を試合を観戦し、円太郎の父の墓前に円太郎の成長を報告した。

 直也は、周作の柔道家として、人間としての大きさを再認識し、いつか車周作を超えて見せると決意する。

 

第52話 さあ来い大豪寺 ーカッコよさとはなにかー
 全関東高校柔道個人選手権大会に出場する強豪ライバル達。大豪寺は技が冴えて絶好調、赤月旭は科学的柔道で右京が仕掛けるであろう地獄車対策に余念がない。その右京は車との稽古で十字不知火に益々磨きをかけている。

ライバル達の技に対抗策を見つけあぐねる直也。そんな時、香川先生から「人間の値打ちは何を成し遂げたかではなく、何を成し遂げようとしたか」であると教えられる。

また、車周作はある強い柔道家について右京に話す。その柔道家は、特段の必殺技があるわけではないが、粘り強い試合のなかで相手の焦りを誘い、そして車周作をも畳に叩きつけたことがあるという。その名は、一条直人五段。直也の父であった。この話を立ち聞きした直也は亡父の柔道着をまとい大豪寺との準決勝に赴く。

大豪寺の必殺技に攻略法を見つかられない直也は、傍からみれば無様に見える戦いぶりであったが、粘り強く試合運びをすることで優勢勝ちを収める。

試合後、黒井は直也にカッコよかったぞと声を掛ける。

一方、赤月旭は風祭右京との試合に臨むが、おそらくノーマークであった十字不知火で敗北を喫す。

既に決勝進出を決めた直也の次の対戦相手は、風祭か黒井の勝った方。どちらが相手でも力一杯戦う事を誓う直也であった、

 

第53話 恐怖の地獄車 ー勝負の道とはなにかー
 黒井との試合で風祭右京は地獄車を使う。黒井は病院おくりになった。

 風祭右京の地獄車に策を練る直也であったが何も思いつかない。そんなとき、香川先生が1963年に暗殺されたJFKの以下言葉を直也に送る。

 「鋼鉄が鍛えられるためには、ドロドロに溶けている時期抜きにはできない。その時未来の鋼鉄は変に固まろうとせず、ただ燃えて溶けていれば良いのだ。」

 香川先生は続けていう、「勝とうが負けようが、それが精魂尽くした試合なら必ずなにかが残る。変な小細工など無用だよ一条。未来の鋼鉄はただ燃えて溶けていれば良いのだ」

 直也は右京との試合中、地獄車攻略法を思いつき、右京との試合に勝利する。

 直也の勝利を見ていた車の顔に笑みが現れるが、すぐに厳しい表情になる。

 直後から、車は右京に新地獄車の開発を命じる。右京が敗北を乗り越えて前に進む姿をみて、直也もさらに闘志を燃やす。

 

第54話 桜ヶ丘高校黒帯ファイブ ーチームワークとはなにかー
 お待ちかね、ピアノの鍵盤に乗ってつま先で猫ふんじゃったを弾く男、結城信吾(演じるは近藤正臣)が登場する。国体出場に向けて編成された桜ヶ丘高校柔道部チームには、不況和音があった。そのため、欠員が生じる結果となる。

昨年柔道部を辞めた結城信吾に柔道部に戻ってチームの一員になるよう直也が頼みに行くと、結城信吾はピアノでモーツアルトを弾いて直也の話しを聞こうとしない。かっとなった直也は鍵盤を叩くが、その時にヒラリと結城は鍵盤に乗り猫ふんじゃったをつま先で弾いてみせる。

結城の柔道部復帰の目はないと思った黒井キャプテンと一条は、自分達できる事をしようと決意を固める。

 

第55話 - 車返し柔道スワン-卑怯者とはなにか-
 柔道部復活の依頼を、結城信吾は拒み続ける。結城は、密に風祭右京と野試合し、風祭の地獄車に掛けられたうえで地獄車を破ってみせた。直也は地獄車にかからないという戦術だったので、真の意味で地獄車を破ったのは結城信吾が最初と言う事になる。

 結城は桜ヶ丘高校柔道部員たちに、1人でも自分に勝ったら柔道部に戻ると約束をする。最後に戦った直也は二段投げでもう少しで結城を倒しそうなったその時、香川先生の待ったの声がかかった。

 香川先生は言う、君達はまるで憎い敵と戦っているようだったぞ…と。それを受けて、黒井キャプテンは、そうです、オレは結城が憎くて憎くて仕方がない…と声を荒げていう。

 その言葉を聞いた結城信吾は、それこそが彼の求める柔道への姿勢であり、そういう気持ちを持った仲間となら共に柔道をすることが出来るという。

 桜ヶ丘高校、新黒帯ファイブの誕生であった。

 

第56話 決闘・鷹羽高シャーク-責任とはなにか-
 国体出場に向けて一条直也の闘志は燃えに燃えている。ミキッペに男女交際や学生らしい楽しい生活を仄めかされて、直也は意に介さずミキッペの心情を汲み取れない。

 最大のライバル明和高校や、かつて直也にちょっかいを出してきた鮫島がいる鷹羽高校も稽古に余念がない。

ライバル達の稽古量をみて、桜ヶ丘高校柔道部黒帯ファイブの練習量が少ない事に業を煮やした直也は、鮫島の挑発にのり1人で鷹羽高校柔道部の5人を相手に勝手に野試合をして5人を倒してしまう。

 翌日、鶴田先生に叱られている直也を救うため、自分達全員の連帯責任であると黒井キャプテンは主張し、腕立て伏せ800回の罰で許してもらう。

 腕立て伏せのために校庭にでて、直也は自分でせいで皆が腕立て伏せ800回の罰を食らった事に謝罪するが、結城信吾は「お前のやった事はお前1人の責任だ。腕立て伏せが嫌でいっているんじゃない、こんな事は今後一切御免だ」と言い直也を殴る。黒井キャプテンは「俺たちの間でははっきりさせておこう」と言い、直也は反省し結城以外の三人からそれぞれ投げられる。

 「さあ、そいれじゃあ一条の罰を皆で一緒に受けようぜ」と結城が言い、5人は一緒に腕立て伏せを始める。

 

第57話 大技・陸奥のハリケーン-男と男の友情とはなにか-
 桜ヶ丘高校黒帯ファイブは夏休みを利用して合宿を張っていた。合宿中、高木の体力が他の部員達より劣っていて、稽古から脱落気味。高木を励ます直也。

 高木は稽古についていけないと思いつめ、合宿を脱走する。皆で高木を探す。直也が高木を見つけて連れ帰ろうとするが、高木は直也の言う事を聞かない。

 高木が直也から走ってにげてすぐに、ライバル校の柄の悪い連中に絡まれた直也は投げられまくる。それを遠方で見た高木は直也を助けるために戻ってて直也を助ける。

 すると、柄の悪い連中のリーダー格が現れて、直也にこんな事をするつもりではなかったと謝罪する。この男こそが陸奥高校のハリケーン投げの遣い手であった。

 そのころ、直也の母親トメが体調を崩して寝込んでしまう。直也に会いたいトメだが、直也にトメの病状を手紙でしらせるミキッペの提案を、こんな事であの子を呼び戻せないという。

 トメから直也に知らせる事は止められたミキッペだが、直也に手紙を書きトメの体調不良を知らせる。直也は家に帰ってトメを顔を観たい思いで胸が一杯になり、早朝、他のメンバーがまだ寝ているうちに合宿所を飛び出して東京に帰ろうとする。

 その途中、1人練習しているヤル気を取り戻して高木に出会う。高木は、自分の稽古相手になるために直也が来てくれたのだと思い、感激する。その高木の顔をみた直也は東京行きをやめ、高木の稽古相手を務める。

 そして目覚めて追いついた他のメンバー達と合流し、みな稽古に集中するのだった。

 

第58話 激突・泣くなミキッペ-男と女の友情とはなにか-
 桜ヶ丘高校柔道部の稽古終了を待ち伏せていた陸奥高校金丸大輔の挑発にのった直也は、野試合をした結果ハリケーン投げで海に投げ込まれる。

夜間、1人で打ち込み稽古をしている直也に、結城はあれが海でよかったな。岩場だったらお前のアタマはザクロのように割れていたよ、という。結城にハリケーン投げの破り方を教えてくれと頼み込む直也に、お前、もう一度ヤル気なんだな…と問う結城。試合は禁止されているからと言い逃れようとする直也だが、その事には結城は何も言うつもりは名らしい。

再び、ハリケーン投げの破り方を乞う直也に、結城はバカそんなことは自分で考えるんだ、と諭す。

そんな時、ミキッペは一計を案じ鶴田先生に金丸との試合の許可を求めようとするが、そのきっかけはつかめなかった。直也の性格を考えたら、退部を覚悟で金丸との試合に挑むだろう。ならば、ミキッペは鶴田先生から正式な試合の許可が出たと嘘をつき、直也の責任を回避する事を選んだ。

直也は鶴田先生から許可の出た試合だと思い込み、金丸との試合をしハリケーン投げを破って勝利する。

 

第59話 闘魂・柔道ダブルヘッダー -真の団結とはなにか-
強化合宿から帰ってきた桜ヶ丘高校柔道部は国体に向けて稽古に余念がない。直也と同じ一年生の野坂は、代表である直也の稽古台になる事に納得していなかった。練習で直也につっかかる野坂。 

それを見た鶴田先生は、部員同士の勝手な試合、他校生徒の試合、町道場での試合を禁止する。

怒りがおさまらない野坂に、かすみかおる(お琴のエモい高校生)から風祭右京に勝手ごらんなさい…と唆され、風祭に勝負を挑む。風祭は丁度その頃、新地獄車を完成間近で人間相手に練習をしたかった。

そこに現れた野坂は、風祭の新地獄車によって倒されてしまい、入院する程の怪我を負う。

自分の復讐を直也に頼む野坂だが、直也は鶴田先生の言いつけを守らなけばならないと断る。そのとき、結城信吾が病室に現れ、自分が新地獄車を破ると断言する。

鶴田の言いつけを破って結城が風祭の試合をしたら、結城を謹慎処分となり桜ヶ丘高校柔道部の戦力はがた落ちになるから、風祭との勝負は思いとどまってくれと結城に頼む直也。

そして、結城信吾は風祭右京と野試合をする。2人が戦っている間に直也が割ってはいって、なんとか野試合を辞めさせる。辞めさせられた結城はまったく納得していない。

翌日、職員室で鶴田先生に風祭右京との野試合を咎められ結城信吾だが、その場にいた直也がなんとか誤魔化す。しかし結城は鶴田先生がオレを辞めさせたければオレはそれでも構わないといって職員室を退出する。

職員室を出てくる直也を結城は廊下で待っていた。「気の短い先輩を救ってさぞ気分が良いだろう。だが、オレはそういうお前が大嫌いだ」と言って結城信吾は背中を向けて歩きだす。

言われて直也は怒りが沸点に達して結城飛び掛かる一歩手前まで感情が昂るが、しかし直也はそれを意思の力でねじ伏せてる。直也の目に涙があふれてくる。その涙を拭いて見えたのはミキッペだった。

ミキッペは直也が苦しいとき、辛い時に必ずそばにいる。そのミキッペがいう、戦うべきだと。部員同士で戦えば一か月の謹慎だからそれはできないと直也。部員の気持ちがバラバラで何が規則よ。誰かが堪えて、誰かが我慢して、そんなんで出来た団結なんて嘘よ」

直也は結城信吾と戦う。双方、死力を尽くして戦う。

 

第60話 決戦・赤月へUターン -親子とは何か-
赤月旭要する城南高校柔道部から対抗試合の申し出を受けた桜ヶ丘高校柔道部はその申し出を受けた。だが、試合当日は副将細田が大学受験模擬試験を受ける日であった。

その翌日、赤月の城南高校が風祭右京のいる明和高校を対抗試合を4対1で破ったニュースが桜ヶ丘高校柔道部に届く。

過去に明和高校との試合でも負けた桜ヶ丘高校は、その明和に勝った城南に勝てる見込みがない。しかも、副将の細田がいなければ猶更だ。

結城は、細田が試合に出る事、その事に関して部員は何もできない事を言い残して結城信吾は道場から出てピアノを弾きに行く。そこに黒井キャプテンが現れて結城に各家庭の事情がある事を説明するが、柔道は個人競技だ。その個人競技で自分の技を磨く努力をしない奴をオレは大嫌いだという。

そのよ、直也の家に細田が家でをしたので泊めてくれて言い出す。受験に厳しい母親から逃げるためだ。しかし直也の母は、それを甘ったれた考え方だと突き放す。母親の気持ちが分からない直也もこんな家に居てやるもんかと捨て台詞を残して細田のあとを追う。

直也の母は直也に一芝居うち、細田に母親の思いを分からせる。

試合当日、細谷は模擬試験の受けに行くが、今後絶対に柔道部を辞める事はない、といってその日の対抗試合を欠席する。

そうして始まった試合は、先鋒戦。今回は直也も秋月も先鋒であり、久しぶりの直也対秋月の試合であった。激しい攻防のなか、一瞬のつきをついて直也が空中二段ながを仕掛ける。

 

第61話 必殺技・飛竜へキックオフ -師弟愛とはなにか-
鶴田先生の旧友、倉科(演ずるは佐藤慶)が九州からやってくる。倉科は九州で城山大作という有名な高校生柔道家を指導している。城山も出場するであろう国体に向けて、城山のライバル達の情報収集のために東京に来たのだ。

倉科は、鶴田先生に結城と直也の試合を提案する。また、情報収集のお礼に城山大作の大噴火投げを披露する。

また、倉科は車と風祭が稽古する場に出向き、車と勝負をする。倉科は車の地獄車を破り、また車は倉科の大噴火投げを破った。勝負ナシであった。

これを観ていた直也はたまらず倉科にせめて新地獄車の破り方を教えて欲しいと請う。倉科や直也の車への思いを確認し、直也が車を憎むことが出来たら自分の宿泊場所にまで来るように言ってその場を去る。

直也は倉科の宿泊場所に出向くが、車への感情を整理できないでいる。倉科から教えを請うために車周作への憎悪の現れとして車からもらった鉄下駄を投げ捨てるが、その直後にそれを必死になって拾いに行こうとする。

その時、倉科は直也の必死の力を利用した技、飛竜を直也に掛ける。そして直也に言う、飛竜を良く研究しろ。そうすれば、大噴火投げも新地獄車も破る事が出来ると。

結城信吾は下級生である直也に負けまいと必死になって立ち向かってくるだろう。その力を利用して直也の飛竜を完成させろと。

結城との試合の日、ミキッペがトラックにはねられ重傷を負う。治療のためには直也の血液が必要だった。直也は迷わず献血を申しでる。

そして試合が始まった。直也は血液が不足していていつもの力量を発揮できず、結城に一本負けを喫してしまう。

倉科は、そんな直也に愚か者めと叱るが、城山大作を鍛えるために直也に飛竜を教えたことを伝える。車周作が風祭を鍛えるのも同じ考えからではなかろうか。弟子を真に愛する師とはそういうモノかも知れないと言う。

車周作の本心を理解した直也は鉄下駄を抱きしめて泣き咽ぶ。その直也に倉科は必ず国体に出場するのだぞ、必ずだ。と言い残して去って行く。

 

第62話  決戦前夜・柔道ジャンボリー ー青春とは何かー
黒井キャプテンの家のラーメン店が上手くいかず、家族は父親の田舎に引っ越すことになった。黒井はなんとしても東京に残って柔道を続けるつもりでいたが、母親から一緒に田舎に来ておくれといわれ心中や揺れていた。

黒井は母に、模範試合に負けたら田舎に一緒に帰るから、もし勝ったら東京で柔道を続けさせてくれと願い出る。

それを聞いた結城信吾は模範試合の対戦相手である明和高校選手にわざと負けてくれと頭を下げて頼み込むが、明和高校側はその頼みを却下する。

前哨戦は、黒井キャプテンの勝利でおわった。母親が黒井との別れを悲嘆していると、見かねた直也がその勝ちは明和が譲ってくれたもので、それは結城信吾が明和側に依頼したからだとバラしてしまう。

自分が実力で勝ったの思っていた黒井の気色ばむが、そこに明和高校側が現れて、自分達は決して勝ちを譲ったりはしない。あれは立派に黒井の勝利だったと宣言する。

柔道を通して多くの仲間が我が子を思い遣り行動するのを見て、息子の居場所を悟った黒井の母親は息子が東京に残る事を了承する。

その夜、大会に出場する選手達はキャンプファイヤーを囲み共に歌い、大豪寺が皆で正々堂々戦おうと鼓舞すると、直也はこれが俺たちの青春だと応じ、国体予選である今大会を力いっぱい戦い抜くことを鬨の声を上げて誓うのだった。

因みにミキッペはまだ入院中である。

 

第63話  勝負・黒帯ファイト ーライバルとは何か
桜ヶ丘高校の最初の対戦相手は大豪寺にいる天道高校。試合まえ、大豪寺は新技を直也に掛けて得意になっていたところを結城信吾にあっさり破られる。

桜ヶ丘高校は鶴田先生の指示でくじ引きで試合順を決めた。結城信吾は副将に、直也は大将になった。天道高校の大将は大豪寺との情報があり、直也は大豪寺と対戦する事になる。結城がゆぶった大豪寺の新技を直也は攻略できぬ以上、直也の敗北は確定的であった。

思い悩む直也にミキッペ退院して自宅療養となったとの知らせが届き、心が晴れる気分の直也。

しかし、公式試合が始まると、2勝2敗となり、大将戦次第で勝ち上れるかどうかが決まる。そんなとき、ミキッペが自宅からいなくなったとの知らせが。なんとミキッペは松葉杖を使って足の痛みを我慢しながら直也の試合を観に会場に来ていた。

安心するのも束の間、ミキッペは観客席で転倒し再び病院に行くことになる。ミキッペは勝つと約束できない直也に、勝たなくてもいいから正々堂々と戦ってくれと頼む。

勝ち負け関係なく精一杯戦う覚悟で試合場に向かう直也に、今ここで負けるわけにはいかないと強く考える結城信吾は、大豪寺新技攻略のヒントを教える。

直也はそのヒントを元に大豪寺に新技を破り、桜ヶ丘高校は3勝2敗で天道高校に勝利する。

皆が帰り薄暗い試合場に男泣きする大豪寺がいた。大豪寺に気づく直也と風祭、そして直也と風祭の視線が交差する。

 

第64話 爆発・柔道メート ー助け合いとは何かー
順調に勝ち進む桜ヶ丘高校柔道部はいよいよ次は赤月旭のいる城南高校が相手であった。

試合を翌日に控えた日、直也の家の鮮魚店にダンプカーが突っ込むという事故が起きる。幸い怪我人は居なかったが、店舗が破壊されて商売は無理だ。

かあちゃんの見積もりでは修理にざっと50万円かかる。これまで女で一つで直也を育てて来た母ちゃんは、お金を工面するために親戚に頭を下げる決意をする。

翌日から、とりあえず店舗の修理を直也と母ちゃんの2人で初めていると、「俺が高校に行って柔道ばっかりやってこれたのは贅沢だったんだ」と呟く直也に、「それに気づいてくれたら十分だよ」と返す母ちゃん。

そこに、桜ヶ丘高校柔道部の黒帯ファイブが手伝いに来てくれる。大豪寺は田舎から送って来たコメを一俵持ってくる。カスミかおる皆に食べてもらうおにぎりを作ったり母ちゃんの手伝いをする。

入院中のミキッペからも応援物資が届く。それは、いつもカスミカオル(「私は強い人が好き」って発言する妙にエモい直也の同級生女子)が柔道部員達の疲労回復のために配っていたレモンだった。

赤月旭もタツマを御供に登場し、お見舞いの金額を母ちゃんに渡すが、母ちゃんはそのお金は受け取れないと固辞する。

そして明日は大切な試合だから自分は手伝えないと言って立ち去る赤月。

その遣り取りを聞いていた結城信吾は赤月邸に乗り込に赤月に勝負を挑む。赤月の見事な技を感じた結城信吾は、明日の一条との試合は赤月の勝ちだろう。一条は家の事が心配で今晩は寝られないかも知れないから。

タツマは、赤月が技で勝ったのではなく、一条の家が大変だったから負けたなんていわれたら嫌ですから、自分が旦那様(赤月の父)にお願いすると言い出す。

一条親子は、赤月家からお金を借りる事にした。その代わり、魚一は毎日新鮮な魚を赤月家に届ける条件で。

赤月邸からの帰り、魚一に大工仕事をしている2人の男がいた。肩車に乗って高い位置の釘を打つ風祭右京と、右京を肩車していた車周作であった。

たまたま通りかかったら、少し外れていたところがあったので直しておきました…と言って2人は立ち去る。

試合当日、赤月が足を怪我した事をタツマが直也に伝える。そして直也に勝ちを譲ってくれと直也に頼む。

断れず、直也は赤月に勝ちを譲る。桜ヶ丘高校チームメイトが頑張ってくれたおかげで、桜ヶ丘高校は城南高校に勝つことができたが、それは、結城信吾には見破られ理由を詰問される。赤月も自分の勝利に納得はしていなかったのだ。

赤月は、いくら金を借りたからって、そんなことで卑屈にならない君だと思っていたのに…と直也を責めて悔しがる。そばにいた黒井は、それは金持ちの考え方で、実際にお金に困っている人間の気持ちは分からないのだ…と諭す。

直也は自分が悪かったと謝り、廊下に出ると、そこに母ちゃんがいた。母ちゃんは赤月さんにはお金を返そう。母ちゃん親戚に頭をさげてお金を工面するよ…と言う。

赤月は、お金を返したらもう一度勝負してくれるかい一条君?…と直也に尋ねる。直也はうなずく。

別の日、直也と赤月は道着を着て2人だけの試合をする。直也の勝ちだった。2人の間のわだかまりが溶けた瞬間であった。

 

第65話 地獄車、回転レシーブ ー真の勝利とはなにかー
国体東京代表選手を決める東京大会も、風祭右京のいる明和高校と一条直也のいる桜ヶ丘高校での決勝戦を残すのみ。

直也は車周作と香川先生の言葉をヒントに独自の工夫を発展させて風祭右京の新地獄車を破るが、2人の勝負は引き分けに終わる。

この試合を観た車周作の顔に満足の微笑が浮かんだ。

車周作は、2人の成長を「強くなった。よくそこまでになった」と称賛し、これからは自らの力で競い合って技を磨けと言い残し、明和高校コーチを辞職し「さらばだ」と辞儀をしつつ言い残し2人の前から立ち去る。

そして、東京代表選手として、黒井、風祭、一条直也、赤月旭、結城信吾、大豪寺、小田桐の7人が選ばれる。

 

第66話 大噴火投げにアタック ー根性とはなにかー
東京代表選手に鶴田先生、ミキッペ、香川先生を加えたメンバーが第二十五回国体開催地である盛岡に入る。

そこで東京代表選手達は、九州代表桜島高校柔道部と出会う。桜島高校には第61話で登場した倉科先生の教え子、城山大作(演ずるは山本正明)がいた。

城山大作は一緒に稽古しようと直也を誘うが、直也は私闘は禁じられていると固辞する。桜島高校柔道部員が直也に技を仕掛け、直也はこれを外して防御する。

その場を見かけた東京代表選手達も参戦し、赤月、大豪寺の2人は城山に投げられ風祭右京は城山の必殺技大噴火投げに倒れる。

大噴火投げの恐ろしさを痛感した直也は、三船久蔵記念館で三船久蔵十段の写真に向かい大噴火投げを破る方法を尋ねる。

そこに謎の老人が現れ、その老人から真空投げという技を掛けられる。

結城信吾に1人で何をしているんだ…と責められ投げ飛ばされた直也は、これを真空投げを試行する良い機会と捉え結城信吾を真空投げで投げ飛ばす。

結城信吾すらに有効であった真空投げに自信をもった直也であったが、その直也の自信を見透かした城山大作に挑発され、自制心を失った直也はゴロタ石ばかりの浜の波打ち際で城山と野試合を始める。

 

第67話 真空投げハイジャンプ ー敗者とはなにかー
直也と城山の野試合は、ミキッペと結城信吾が間に入った事により棚上げとなった。

桜島高校も桜ヶ丘高校も順調に勝ち進むなか、決勝戦は桜島高校対桜ヶ丘高校となりそうである。

鶴田先生は、誰を城山大作にぶつけるかを考えていると、結城信吾が城山大輔に勝てるのは恐らく一条直也しかいない…と進言する。結城信吾には珍しい他人を褒めるこの発言で、鶴田先生は直也を城山に当てる事にする。直也はこの前までライバルだった仲間たちから激励の言葉を受ける。

しかし直也は自身の空気投げにやや慢心していた。1人で稽古している際に怪我をして、医師から数日はおとなしくしていろと試合を禁じられてしまう。

直也はこの怪我の事は誰にも言わないでくれとミキッペに頼む。

桜島高校との試合当日、直也は試合に出る気でいたが、ミキッペが直也の怪我を鶴田先生に話してしまったため、直也は試合に参加できなくなった。直也は怒り、ミキッペの頬に平手撃ちをする。そしてミキッペに今すぐ東京に帰れと言う。

一条君の出ない試合をみても仕方ないから帰りますと言って、ミキッペはバスに乗って最寄の駅に向かう。それを大豪寺が追いかけてきた。

大豪寺と話すためにバスを降りるミキッペ。ミキッペが合宿所からいなくなると寂しくなる。誰でもない、ワシが寂しいんじゃ!と男大豪寺は叫び声を上げながら合宿所へとかえって行く。

桜島高校との試合、先鋒で出場した城山大作に桜ヶ丘高校選手達は悉く勝ち抜かれる。直也の不戦勝が宣言されそうになったそのとき、試合場に現れ出場を懇願する直也。大会運営は直也の願いを受け入れ直也と城山の試合を認める。

時をみて真空投げを試みる直也であったが、怪我した足の踏ん張りがきかず真空投げを完結できず、次の瞬間大噴火投げにかかってしまい、直也は敗北する

因に大噴火投げは、理屈コネ太郎の見るところ投げ技ではなく、反復する頭突きにしか見えない。

なぜ戻って来たと尋ねる直也に、私は大豪寺さんの試合を観に来たと答えるミキッペ。

直也は、敗北とミキッペとの距離感の二つに傷つくのだった。

あ、そうそうこの回で、結城信吾が試合中にバク宙を決めるシーンがある。試合開始からのワンカットで、比較的顔が見える構図だったのでスタントではなく、近藤正臣自身がバク宙をしたように理屈コネ太郎には見えた。

 

第68話 鬼車と講道館 ー自信とはなにかー
城山大作に敗北した一条直也は、大変なスランプに陥っていた。じつは、大豪寺も、赤月も、そして風祭右京も城山大作に完敗した事で自分の技に自信を失っていた。彼らは自発的に車周作のもとにあつまり、指導を仰ぎはじめる。

ある雨の日に、車周作と弟子たちは鶴田先生了解のもと桜ヶ丘高校柔道部道場で他の部員達とともに稽古をしていた。そこに鷲尾健(演ずるは千葉真一)が現れる。

車と鷲尾を視線をバチバチに合わせたあと、今日はこれまでの稽古終了を宣言して立ち去ろうとする車を鷲尾は呼び止め、その次の瞬間から2人の勝負が始まる。結果は引き分けであった。互いの技の見事さを認め合う2人であった。

しかし鷲尾は、車の柔道を邪道とよび、高校柔道の目的に適うコーチを推薦したいという。

鷲尾の考えを聞いた車は自分の柔道が講道館を追われた荒野の技であると認め、これからはよろしく頼むと辞儀をして立ち去る。

鷲尾の呼びかけに、鷲尾が推薦するコーチ、講道館柔道五段早乙女が道場に登場する。

納得いかない直也は雨に濡れながら歩き去る車周作の後ろ姿を見送るのだった。

 

第69回 俺の柔道・君の柔道 ー男の別れとはなにかー
鷲尾健が桜ヶ丘高校柔道部コーチに推薦する男、早乙女。その早乙女が主催する講道館柔道部徳会に黒井は入門してもういちど柔道を見つめなおすという。

大豪寺と赤月は部徳会に乗り込むと、すでに結城信吾が門弟達を投げまくっていた。結城に加えて赤月や大豪寺が来ても、早乙女は全く動じない。まるで結城達なぞ相手にする気がない風情である。

門弟たちを一通り投げたあと、おれは結城流の柔道を作るのだと言って立ち去る。

結城と黒井を除く東京代表メンバーが、車に再度教えを請うが、車は首をたてに振らず、自分の弟子たる者の心構えを説く。

一方、早乙女の柔道は、近代的な身体と精神の使い方を駆使したスポーツとしての柔道であり、車周作の荒野の柔道とは異質であった。

早乙女柔道に強さや精神性に可能性を見出した赤月と大豪寺は早乙女道場に入門する。

それを片桐から知らされた風祭と直也は早乙女道場に行こうとするが、あの赤月と大豪寺を憎み、講道館を憎むのならなぜそれを技の励みにしないのか…と言って車は2人をいさめ、風祭と直也と片桐の師になる事を引き受ける。

 

第70話 鬼車一直線 -男の道とはなにか-
車周作の過酷な稽古法から、小田桐が脱落して講道館早乙女の道場に入門する。小田桐は車周作達をアタマのオカシナ人達と断じる。

車は直也と風祭に、稽古は終わりだ。講道館柔道部徳会との試合の実戦を通して技を磨けと言い出す。

直也も風祭も、それは高校柔道の枠を外れる事になり、直也は桜ヶ丘高校柔道部から、風祭は明和高校柔道部から、それぞれ除名されてしまう。

直也と風祭は、早乙女の高弟、高垣との勝負に自分の進む道を賭けようと思いつく。

最初は風祭が高垣に挑み敗北する。風祭は講道館柔道で一から柔道を学びなおす気になる。

次に直也が高垣に挑むが、直也も敗北する。試合前は負ければ講道館柔道の一員になるつもりだったのに、いざ試合に負けると、やはり車周作への思慕は断ちがたい。直也はミキッペとともに、周作に敗北した報告に向かう。

 

第71話 柔道部除名? ー孤独とは何かー
この回は不思議な回だ。登場した人物と彼らの行動をアラスジに記すと散漫に過ぎるので、ここでは講道館柔道に入門したライバル達と、迷いなく自分の道を進む結城信吾を見て、一条直也は柔道に向き合う自身のあるべき姿勢に悩み苦しみ、七転八倒の末、車周作から与えられた示唆により、自分のペースで自分の道を歩むと考えるに至る回だったと記述するように留めようと思う。

 

第72話 車周作おれと勝負! ーまことの師弟とはなにかー
車周作はずいぶん以前から、柔道の技術的なことは全て直也や右京には伝え終わっていて、あとは自分達の創意工夫で技を磨いて欲しいと願っていた。

右京は車のもとを離れ講道館柔道に移籍し、自分が求める柔道を追いかけていた。だが直也は車周作への思慕から自分の柔道の道を、車周作の弟子として歩く気持ちでいた。

いっぽう車は直也が自分の精神力と創意工夫で生きる一人前の男に育って欲しかった。そのために、これまで何度も直也を突き放し、憎まれ役にもなったのだ。

だが直也は生来の甘えん坊気質と気の良さから、結局は車周作に頼り教えを乞うてしまう。

その直也の甘さをなんとかしたい、師弟が互いに高めあう関係になりたいと願う周作が今回も直也を突き放し、丸井五段の命を奪った本気の地獄車を直也に掛ける。その地獄車を直也は生き延びた。

直也は強くなっていたのだった。車は心中で惜しみない直也への賛辞を贈る。そして直也は、本気の地獄車を仕掛けた車周作に対して、いつか必ず打ちのめすことを誓うのだった。

 

第73話 地獄への道 ー己れの道とはなにかー
次に直也達が目指す全国高校柔道選手権大会は、これまでの大会のような団体戦ではなく、個人戦による柔道日本一を決める大会。この大会に向けて、これまでの柔道仲間は個々人がそれぞれの強さを求めて柔道に邁進し始めた。

黒井キャプテンや大豪寺も通う講道館柔道武徳会では、風祭が新地獄車に磨きをかけていた。右京は言う。かつて自分も車先生の弟子であった。その自分が直也を新地獄車で倒すことは車先生への恩返しであると。また、自分はいつか車先生を超えたち思っていると。

直也が車周作の小屋のそばで話していると、右京が直也と試合するためにやってきた。車が審判となり、試合が始まった。右京は磨きに磨いた新地獄車をしかけると、破られ、逆に直線に車が直也に仕掛けた技を直也が右京に仕掛けて右京を下す。

自信喪失して立ち去る右京。

車先生のおかげで右京に勝てたと礼を述べる直也だが、お前はまだワシに勝っておらんと冷や水をかけらて正気に戻った直也は、自分の敵は車周作なのだと思い知るのだった。

 

第74話 柔道部解散? ー高校柔道部とはなにかー
個人戦である全国高校柔道選手権大会に向けて、柔道部主力組は各自が強くなるために部活動での稽古よりも講道館柔道武徳館での稽古に時間を割くようになり、鶴田先生の決断で桜ヶ丘高校は解散の危機に陥る。

武徳館が強いから人があつまるのだ…との示唆を受けた直也は、武徳館の高垣と試合をしてこれを下し、桜ヶ丘高校柔道部の意味を黒井キャプテンはじめ主力メンバーに納得させる。

自らの自分勝手を反省し部活動再開を願い出る黒井キャプテンであったが、鶴田先生はこれを許さず、お前たちは自分達の足で立っていない…と断じる。

結城信吾もメンバー各自の欺瞞の指摘に舌鋒がするどい。

解散やむなしと考えた主力メンバーは、各自の思いで柔道部に集まってくる。せっかくだから最後の稽古をしようという事になり、汗をかき始めて、皆の胸に共通の思いが沸き上がってくる。

もう一度、桜ヶ丘高校柔道部で研鑽し技を磨こうと誓う。

 

第75話 戦いの今日 ークラブ活動とはなにかー
活動が再開された桜ヶ丘高校柔道部で直也は汗を流していた。しかし結城信吾は部の練習に加わらず、武徳館の高垣相手に野試合を挑んだりしていた。

ある時、直也は車周作と結城信吾が野試合をしている場面に遭遇する。結城信吾は車周作と互角の勝負をしていた。

それを見て呆然とする直也に、結城信吾は高校生の柔道をしていない。直也よクラブ活動の柔道をして何になる。自分の技を磨けという。

直也は部活動にいかず、車周作との稽古に励む。

そんなとき、風祭右京を擁する明和高校柔道部から対抗試合の申し込みがあった。それを受ける桜ヶ丘高校だが、部活動より車周作との稽古に忙しい直也を選手に列する事に反対する声があがった。

しかし、反対した者達も最終的には直也こそが選手に相応しいと考え、車のところに出向き、直也を高校柔道部に返してくれと懇願する。

しかし車周作は、高校卒業したら就職したりするような雑魚どもと一緒に稽古して何になる。本物の柔道をやりたかったらワシと来いとにべもない。

直也は戦友たちを雑魚と呼ばれて怒り心頭に達し、車周作に勝負を挑む。車はその時の直也の目をみて、直也の闘志の激しさを感じる。直也が仕掛ける真空投げに投げられる車周作であったが着地をした所で結城信吾が止めに入った。

結城信吾は、今の勝負は互角であると宣言する。車周作は何も言わずその場を去る。

車は胸中、よくぞここまで強くなった。ワシを超えるのももうすぐだ…と呟くのだった。

柔道部一行は、元気にランシングしながら帰途についた。

 

第76回 必殺技・天地渦巻 ー戦う心とはなにかー
明和高校柔道部との対抗試合で、格下の侮っていた小田桐の進歩に瞠目する直也。その小田桐達は、武徳会の早乙女の指示に二段昇進のために講道館の紅白試合に出るという。

直也と黒井キャプテンは、自分達もと講道館に出向く。そこで四国から腕磨きに出てきている鳴戸三郎(演ずるは、あの倉田保昭)と出会う。

直也と黒井キャプテンは講道館からの帰り道、鳴戸三郎から野試合を挑まれる。拒む直也と黒井。そこにひょっこり結城信吾が現れてその勝負を自分が買うという。

結城は講道館二段取得に否定的であり、黒井と直也を邪魔するためについてきていたのだという。

野試合を始める結城と鳴戸だったが、直也と黒井は2人の間に入って止めようとする。鳴戸を羽交い絞めにする直也に、ではお前が相手だと言って直也相手の野試合を始める鳴戸。そして鳴戸間髪を入れず直也に必殺技・天地渦巻をかける。

中空を飛ばされる直也を見て、危険を感じた結城が直也の軌道をずらし直也を助けるかわり、自分が石垣から転げ落ちそうになる。それを黒井が助ける。直也と結城が無事であることを見届けた鳴戸はその場を立ち去る。

結城は、鳴戸三郎と勝負するために自分の講道館紅白試合に出るという。しかし直也へは、地獄車で人を殺して講道館を追われた車周作が、その弟子である直也の講道館紅白試合への参加を認めるはずがないという。

直也は出場の許可を得るために車のもとに赴く。車は二段取得を目的にするのでなく、技を磨くことを目的にするのな出場する事を認めるという。そこに、鳴戸三郎が現れた。

鳴戸は車を訪ねてきていたのだ。車は、技を磨くのならここでも出来る。いまここで鳴戸と試合をしろと直也に言う。

直也は仕方なく試合を始める。鳴戸が直也に天地渦巻を仕掛けたとき、九州の男、城山大作が現れる。城山大作も師である倉科の旧友である車周作を訪ねてきたのだった。

直也と鳴戸の試合はそこで止まった。城山は東京で二段を取るために上京したという。そして車周作は、直也が講道館紅白試合に出るならば城山大作と鳴戸三郎に勝つこと。勝てなければ青畳の上で血反吐を吐いて死んでこい…と直也を強烈に激励する。

 

第77話 真空投げ宙返り ー柔らかい心とはなにかー
鳴戸三郎は桜ヶ丘高校柔道部に稽古と称して参加して、結城信吾と真剣勝負をはじめる。別のときは武徳館に出稽古に行き高垣と真剣勝負をしてしまう。早乙女5段に窘められても、自分の稽古は常に真剣です…とうそぶく。そして、自分は強い男をみるとどうしても我慢できなくなるのだと言ってのける。

鳴戸三郎の天地渦巻は対戦相手を強烈な錐もみ状態にもちこみ、平衡感覚を失わせる。その対抗策を、バレエの動きに見出した直也は、偶然、城山大作と鳴戸三郎が野試合をしている現場に出くわす。

丁度、城山の大噴火投げの一発目の頭突きが鳴戸に入った直後、二発目の頭突きを回避するために鳴戸が立ち木の枝に分さがって落下を防ぐところを目撃した。

2人が立ち去ったあと、直也の前に車周作が現れる。直也はいつものように、2人の技を破るにはどうしたらいいですか…と尋ねるが、自分でアタマで考えろといつものように車に叱られる。

しかし車は、柔らの心という言葉をヒントにおいていく。

紅白時代当日、直也達は6人の相手に勝ち抜かなくては二段を授与されない。直也、城山大作と城山大作を倒さなくては6人を勝ち抜けない。

風祭右京は6人勝ち抜き二段昇進を決めた。七人目の相手は鳴戸三郎。鳴戸の天地渦巻に風祭は敗北する。しかし、風祭は自身の試合の経験から鳴戸の技の癖を見抜き、弱点を直也に伝授し、直也は鳴戸三郎を破る。鳴戸は直也との敗北で二段取得はかなわなかった。

ここで時間切れとなり、講道館紅白試合の続きは明日へと持ち越しとなった。

 

第78回 破れ!大噴火投げ ー敵を知るとはなにかー
講道館二段を取得したい直也は、試合前日に訪問者を受ける。その男はすぽーつ心理学を研究する大学生と名乗り、直也のアレコレを調べあげる。またその男は、黒井キャプテンの所にも生き直也を調べていたことが後に判明する。

一方直也は、偶然に城山大作の必殺技大噴火投げを破るヒントを得る。そのヒントを具体化するためには、城山大作が大噴火投げをかける間際の癖を見抜くことが必要だった。

直也は城山大作の稽古を見て、その癖を見抜き、大噴火投げ破りに確信を持つ。

講道館紅白試合の二日目、直也を調査しに来た男が実は対戦相手であったことを知るなおや。その男は直也の真空投げの原理を逆手にとり直也を投げ、技ありを取る。

敗北の予感に焦る直也だが、必殺技フェニックスで一本を取り、その男を破る。

その男に真空投げを破られた直也は、事前調査の大切さに再認識し、城山大作の癖を見抜いた直也は大噴火投げ破りを確信する。

城山大作との勝負が始まった。

直也は、城山が大噴火投げをかける瞬間を待つが、城山はなかなかかけてこない。焦れる直也がその一瞬か…と思った時に城山がかけた技は一本背負いだった。

直也は大噴火投げを引き出すことなく、一本背負いに敗北した。

直也の次に城山大作と対戦したのは結城信吾だった。結城は段位取得が目的ではなく、強い相手と試合するために紅白戦に出場していた。

結城は壮絶な返し技で大噴火投げを破るが、自身へのダメージも大きく、城山大作ともども立ち上がれず引き分けとなった。

紅白試合終了後、直也はなぜ自分に大噴火投げを出さなかったのかと城山に問う。城山は、試合中の直也は隙だらけだった。臨機応変に技を変化させてこそ勝負の面白さがます。あれだけ鮮やかに決まった一本背負いは久しぶりだった…と答えて立ち去る。

その言葉を聞いた後の直也の表情が苦痛と悔しさに歪む。(こんな芝居が出来る役者はなかなかいないってくらい絶妙な表情の芝居)

直也は城山との勝負において大噴火投げという技にヤマをかけ、他の可能性を全く考慮しなかった。そんな直也には一本背負いで十分だった…と城山は言ったのだ。

直也は車周作の小屋に行き、自分が城山大作に負けたことを報告したところ、そう思っていた…と告げられる。

城山が大噴火投げさえだせばオレは勝っていたのだ…という直也を車周作はバカモノと言いながら投げ飛ばす。

まだ城山に負けた理由を本当にはつかみかねている直也に稽古をつけない車周作。しかし直也は悔しさをバネに車周作に挑みかかる。

 

第79話 開眼!真空二段投げ ー闘志とはなにかー
桜ヶ丘高校黒帯ファイブで自分1人だけが二段取得できなかった直也はすこし不貞腐れていたし、空回りもしていた。

燃える朝日のような闘志で立ち向かった車周作にあっさりなげられ、お前の闘志は走の程度なのかと叱られる。

柔道部では、黒帯ファイブの他メンバーが名札が一回り大きなものに変えられていて、初段の直也をはじいている。結城は、一条は黒帯ではなく白帯が似合いだといって、直也から黒帯を取り上げる。

アタマにきた直也や結城に真空投げをかけるが破られてしまう。結城はさらに近いうちに自分達の二段昇段を祝って5人掛けをする。直也は結城が相手をする5人の1人にしてやったのでありがたく思えとまでいう。

いたたまれなくなった直也は道場を飛び出る。

1人で稽古をしていた直也は高所から飛び降りた最に気を失ってしまう。その最中、直也は宮本武蔵と塚原卜伝が登場する夢を見る。2人との闘いのなかで、闘志というものを掴んだ直也は、結城信吾の5人掛けの1人として相対する。

直也は、真空二段投げという新技で結城を下す。その直後、結城は二段取得者と初段との間にそんなに差なんてないのさ…と言って直也に黒尾を返す。

全ては、僻んで空回りしていた直也に闘志を蘇らせるための結城の画策だったのだ。

 

第80話 必殺技・卍返し ー共同生活とはなにかー
桜ヶ丘高校柔道部三年生は引退の時を迎えた。これからは、現二年生と現一年生で柔道部を盛り上げていかなくてはならない。そこで、二年生と一年生とで対抗試合を行う事になった。

実力ある一年生が勝ち星を挙げるなか、二年生は気色ばむ。それをみた野坂は一条にわざと負ける事を提案する。最初は渋った直也だが、結局は二年生に敗北する。

しかし、結城信吾は見逃さなかった。一条が勝てる試合をわざと負けたと公言してしまう。言われた二年生のメンツは丸つぶれ、一条への二年生への悪感情は増悪する。

とそこへ、二年生の転校生大沢が詩を口ずさみながらやってくる。柔道部二年生は大沢に食ってかかるが、大沢は卍投げでこれを投げ飛ばす、二年生は大沢という強い仲間が出来て上機嫌である。

直也が卍投げの破り方を考えて歩いていると、結城がピアノを弾いていた。そこに大沢が現れ、一度結城と勝負をしたいと告げる。結城はかつてのように鍵盤にとび乗り、はとぽっぽを足の指で奏でながら、もう高校生相手の柔道はしないといって教室外に逃げ出す。

 

第81回 真捨身山彦に勝て ー忍耐とはなにかー
三年生が引退し、桜ヶ丘高校柔道部は二年生と一年生だけで合宿に入った。明和高校から対抗試合の申し込みがあり、桜ヶ丘高校は新しい黒帯ファイブを決定するが、その中に一年生の一条直也はいなかった。

対抗試合に一条が出場しない事を訝しんだ風祭右京は、新必殺技である真捨身山彦を試合中に披露するも、直也が相手でなかったため本気ではなかった。

一方、転校生大沢が卍崩しで勝利し、桜ヶ丘高校柔道部新キャプテンの一勝と合わせて二勝三敗と敗北してしまう。

この敗北に我慢がならない野坂は、一条を除く一年生で五人組を組織する提案し、明和高校を襲撃し野試合を仕掛ける。それを聞いた直也は野試合を止めるため、2校の間に割って入り謝罪するが、不意打ちを食わされてこのまま帰るわけには行かないという風祭は、その場での直也との野試合を提案する。

禁止された野試合だと知りつつ、直也も闘志が抑えられない。丁度良い機会だと2人の気合が満ちて勝負が始まってしばらくしえ、明和高校柔道部二年生が駆けつけて勝負を止める。

合宿所に帰り明和高校との勝負を止めにいった一条がなぜ風祭と野試合をしていたのか…と二年生に攻められる。

直也は1人責めをおい体罰を受ける。一年生の仲間たちも体罰を一緒に受けるというが、それは部を二年生対一年生に分断してしまう事になる。罰を受けるのは自分1人で良いと言う直也。他の一年生はその言葉で合宿所に戻る。

直也は1人、涙する。この涙は、柔道を思い切り稽古する場である柔道部で思い切り稽古できない人の世の下らなさに流した涙のような気がする理屈コネ太郎。

 

第82回 恐怖さそり落とし ー規則とはなにかー
今回は、直也が中学生時代に登場した最初のライバルとも呼ぶべきキャラクター鮫島が登場する。

大豪寺擁する天道高校は桜ヶ丘高校の対抗試合をすることになった。

鮫島は、おそらく直也よりは1~2年年長なのだが、赤月や大豪寺、風祭信吾などのライバル達の比較すると、一段下のモブキャラ的な登場人物。

その鮫島が、大豪寺に勝負を挑みたいという。大豪寺は桜ヶ丘高校柔道部黒帯ファイブを倒したら挑戦を受けても良いと返事する。桜ヶ丘高校柔道部にとっては迷惑以外のなにものでもない、。

鮫島の黒帯ファイブ狩りが始まった。しかし、三年生が引退した桜ヶ丘高校柔道部は二年生部員の一条直也への男の嫉妬から、実力本位で黒帯ファイブを選抜していないため、直也は今は黒帯ファイブではない。。

すこし前の明和高校との対抗試合でも、桜ヶ丘高校柔道部二年生たちの目論見で、国体その他で実績のある直也を黒帯ファイブに入れず、二年生主体の選手達でたたかい、明和高校に敗北していた。

気の強い一年生の野坂は実力本位でない事が気にいらない。二年生たちには一年生達の鼻っ柱を降りたいというくだらない先輩意識がある。二年生と一年生の間にはどんどん溝が深まる。

鮫島は必殺技さそり落としで、桜ヶ丘高校二年生たちを投げ飛ばす。そして鮫島のさそり落としは大豪寺に衆目の場で破られている。大豪寺に歯が立たない鮫島に投げ飛ばされる桜ヶ丘高校二年生で構成させる黒帯ファイブでは、天道高校との対抗試合に絶対に勝てないと一年生野坂は声を上げる。

こうして、二年生と一年生の溝は深まるばかりであった。

 

第83話 逆転・ジャンボ投げ ー人の輪とはなにかー
桜ヶ丘高校柔道部では二年生と一年生の対立がふかまっていた。これまで直也や結城信吾が戦ってきた強敵と戦える二年生が今の桜ヶ丘高校部に不在であり。強い桜ヶ丘高校柔道部黒帯ファイブを作るには、一条直也の参加が一年生一同の賛成するところであった。

あるひ、大豪寺が桜ヶ丘高校柔道部に試合を申し込みにくる。大豪寺は一条直也しか眼中にないが、桜ヶ丘高校柔道部2年生はそのういう大豪寺の態度が気に入らない。次々の二年生は大豪寺の挑みかかるが、全員大豪部のジャンボ投げで敗北を喫する。

野坂をはじめ一年生達は、大豪寺にまけた二年生ばかりが対抗試合に出て一体なにになるんですか…と二年生に敵意むきだしである。

しかしながら二年生は、先輩である事の自尊心から、直也の実力を認めない。認めるチャンスがあっても屁理屈を使ってそのチャンスを潰すという挙に出る。ますます一年生の心は離れていく。

悩みに悩んだ柔道部現主将吉本は、怪我をしたフリをして大将の座を一条直也に譲る。

試合は一条直也と大豪寺虎雄の大将戦になった。直也は大豪寺のジャンボ投げを破り勝ち星まであと一歩のところで、ここで自分が勝ったら桜ヶ丘柔道部が分裂してしまうと考えてしまう。その隙を大豪寺は見逃さず、肩車で一条直也を下す。

試合後、一年生たちからどうして勝てた試合を負けたのかと責められる直也。そこに、吉本主将から全てを聞いた二年生の面々が現れる。直也の気持ちは嬉しい。でも自分達は直也に勝ってもらいたかった。俺たちは同じ桜ヶ丘高校柔道部の一員だからと二年生たち。

その声を聞き直也は考え方を改める。

よーし、今度の事はみんなの責任だ。みんなで一緒に腕立て伏せを罪滅ぼしだ…って感じでこの会は終わる。

 

第84話 悲しき春の旅 ー男の涙とはなにかー
今度の桜ヶ丘高校柔道部黒帯ファイブは二年生だけで構成されている。それは実績ある一条直也への嫉妬と僻みが原因であった。

そしてその桜ヶ丘高校黒帯ファイブは、明和高校にも天道高校にも連敗していた。ある日の稽古中、その不甲斐なさに我慢がならない結城信吾が道場に現れ、大沢以外の黒帯ファイブを全員投げ飛ばす。大沢の卍崩しも軽くいなし、結城信吾は道場から去って行った。

いつもの様にピアノを弾く結城信吾に直也は、なぜ現柔道ファイブを投げ飛ばすようなことをしたのか尋ねる。結城はいう、おれは弱い奴らが大嫌いなんだ…と。続けて、一条、なぜおまえは殴られてもいい、仲間外れにされてもいい、それでも黒帯ファイブの一員になろうとしないんだ…と問う。

直也は、それは…。直也の回答にかぶせるように、結城信吾は、お前は部のため仲間のためだと言うだろう。そんな事はお見通しだ。そんなお前をオレは大嫌いだ。いいか、大嫌いなんだ。と言い捨てて歩き去る。

鷹羽高校との対抗試合当日、桜ヶ丘高校柔道部黒帯ファイブを新たに決める事になった。大沢は、鮫島には必ず勝てるので、勝てる試合はつまらないから、今回はファイブを辞退して、その代わりに一条をファイブに入れてくれと言い出す。その他の二年生ファイブも次々と辞退を表明し、対鷹羽高校の桜ヶ丘高校柔道ファイブは吉本主将以外全員一年生となった。

鷹羽高校黒帯ファイブの前に現れた桜ヶ丘高校黒帯ファイブは、明和や天道高校と戦った時と全然ちがって、殆どが一年生である。これは自分達鷹羽高校が二流校だと馬鹿にしたからだ…と鮫島は感じた。鮫島がの屈辱と怒りは大きい。

しかし、桜ヶ丘高校柔道部内部の身内の恥を話すことができない直也。膝をついて謝るしかない。

桜ヶ丘高校は鷹羽高校から追い出される。悔しさを涙を流し顔をゆがめる鮫島を見て、本当の事を話せない直也もやり切れず涙が止まらない。

吉本主将の提案で、一条と鮫島の試合をすることとなった。2人で激しく怒りと忍耐のエネルギーをぶつけあう。

 

第85回 桜ヶ丘No.1 ー男の勝負とはなにかー
全国高校柔道選手権大会に向けて、各出場校よりシード選手を一名選出する事となった。桜ヶ丘高校柔道部では、一条直也をシード選手にしたい一年生組と、大沢をシード選手にしたい二年生組とが対立する。

シード選手は、桜ヶ丘高校柔道部勝ち抜き戦優勝者とする事となった。一条を押す野坂は、勝ち抜き戦では反則技も辞さない心構えであった。直也は、部内の対立を避けるため、勝ち抜き戦に参加しない事を選ぶ。

車周作の元にゆき稽古を所望する直也に、一介の選手として地虫のように優勝を目指す覚悟があるかと問われ、あると答える直也。車周作との稽古が始まる。

そのころ桜ヶ丘高校では勝ち抜き戦が進行し、野坂の姑息な手段にも関わらず結局大沢が優勝しシード選手に選ばれる。

気に入らない野坂は、まだ一条がいる。大沢さんは一条の勝負していないからシード選手とは言えないみたいな文句をつけると、大沢は一条を呼んでくるといって車周作の小屋に向かう。

稽古中の直也に学校に来てくれというが、直也はシード選手に興味はないと断る。いまココでやろうという大沢に、そんな事をしたた、私闘は除名で、大沢もシード権を失うだろうと反論する直也。だが大沢はシード選手云々よりも、たとえ除名されたとしても直也と戦いたいという。

それを聞いた車周作は審判を買ってでる。これで、一応は試合という体裁になる。直也と大沢は激しく戦うが、この勝負は直也が勝った。

負けた大沢は直也にシードを譲ろうとするが、直也は一回の選手として勝ち上がる道を選んだ。ともに勝ち進み、勝負は青畳のうえでつけろと言う。

大沢は納得して直也と握手を交わし、車と激しく稽古する直也をみて、その場を立ち去った。

 

86話 決戦!風吹峠 ー男の意地とはなにかー
シード選手でありながら、車周作の前でも、また桜ヶ丘高校柔道部員の前でも直也に敗れた大沢は八子ケ峰風吹山に山籠もりするために合宿から離脱する。

合宿所で練習している柔道部員の前に、黒革の手袋の掌で胡桃をもてあそぶ不気味な男が現れる。男は北上史郎と名乗り、大沢と勝負するために北海道から来たという。

北上は、彼の不遜な態度に怒った部員をヒグマ締めという荒技で失神させる。抗議する吉本キャプテンに北上は、柔とは命を懸けて行うもの。死をかけた勝負に場所など選ぶ必要はない…と言って去る。

直也が車周作を訪うと、車が北上に稽古をつけていた。桜ヶ丘高校柔道部は弱虫ばかりと言う北上との試合を直也に命じる車。勇んで勝負に挑む直也であったが北上のヒグマ締めに掛かってしまう。車は直也が失神する前に勝敗を宣言する。

大沢を追って八子ヶ峰風吹山に向かった北上を追って、直也も八子ヶ峰風吹山に向かう。

そこで、北上は大沢の北海道時代からのライバルであり、一年に一回、雌雄を決するために試合をする仲だと直也は知る。

大沢は新技風吹返しで北上を破る。北上は大沢に、お前はおれの二倍進歩していたという。大沢は直也に卍崩しを破られたため風吹返しを編み出す必要があった。だからこそ北上に勝つことができたと礼をいう。そして、次の相手はお前だ…とも。そして大沢と直也の間で野試合が始まる。長い野試合の果て、2人の心は通じ合い笑いあう。

 

第87話 一条君らしい一条君 ー闘志とはなにかー
車周作に一介の選手として戦うと誓いながら、八子ヶ峰風吹山でシード選手の大沢と心を通わせながらも、まだ直也の心にはシード選手にならなかった事にわだかまりがあった。

桜ヶ丘高校柔道部の招待で、他校のシード選手を招待する会に、鮫島、大豪寺、赤月、風祭が勢ぞろいする。長い間、鎬を削った仲間は皆シード選手になった。それなのに自分は…。

直也は苦しむ。車周作からも、結城信吾からも直也の気持ちの在りようを叱責される。

どうしようもない直也は合宿所を抜け出し、柔道着を捨て、1人で旅に出ようとするそのとき、講道館に稽古にいくために東京に出てきている城山大作の偶然であう。

城山は直也の異変に気付きながらも、会わない間に自分の大噴火投げもますます強くなったと笑顔で話す。

直也は、自分のライバル、自分が目的に据える対象が何かを気付く。城山に別れを告げて踵を返し帰途につく直也。

気力を取り戻した直也を見てミキッペは、一条君らしい一条君になったと心の中で呟く。

 

第88回 爆発!一直線投げ ーまことの父とはなにかー
桜ヶ丘高校柔道部合宿が終了した。車周作のもとに走る直也。そこには、車周作のかつてのライバル深尾とその息子ハヤトが待っていた。

車の紹介によれば、深尾は熊本で柔道道場主であり、ハヤトは熊本県では相手になる選手がいない程の強さであり、今度の全国高校柔道個人選手権大会のために父子で状況してきていた。

深尾父と車の勧めて直也はハヤトと試合をする。ハヤトは父から入念なアドバイスを受けて直也との試合に臨んだ。ハヤトは直也の真空投げを破り、阿蘇おろしという頸椎損傷か脳挫傷を起こしそうな危険な技で直也な気を失う。

直也が目覚めたとき、そこは直也の自宅だった。そばに母ちゃん、そして深尾親子が座っていた。深尾父や息子をただの柔道家にしたくない、今度の選手権で優勝したら次はオリンピックで金メダルを狙わせるつもりだという。

深尾父の語る壮大な夢に、大事な一人息子にひどい目にあわされて母ちゃんのうつ相槌は、少しの怒りと呆れが混じったものだった。

直也は深尾父がハヤトに付きっ切りで稽古の指導をしている現場をみて驚く。そこに城山大作現れて、深尾ハヤトは地方大会などバカにして出場しない。よってシード権もない…と直也に教える。直也も一回戦から出場するので、もしかすると一回戦でいきなり直也と対戦するかも知れない。

直也の心は乱れる。

深尾ハヤトには24時間つききりの父親がいるから、自分にも車周作が必要だという感じで直也は車に稽古を頼むが、車はこの甘ったれめ!と叱りとばして帰してしまう。

仕方ない直也は、寺の境内で1人で父の考案した足払い稽古台で練習に励む。普段は仏壇の上に配置している父親の遺影をそばにおいて、亡父の愛を感じながら。

そこに車周作が現れて、足払い稽古台を破壊するだけでなく、なんと直也の亡父の遺影を足蹴にする。そして直也にいう、柔の道には…(中略)…闘う獣の心を持つ己1人しかいない、と言いおいて立ち去る。

直也は遺影を元の仏壇の上に戻し、1人で稽古に励む。

ランニング途中、深尾親子の稽古に出会う。深尾は息子に何度も阿蘇おろしをを自分にかけさせて、ハヤトの技の精度を研ぎ澄ましている。阿蘇おろしは危険な技なので、ハヤトは父親に何度も阿蘇おろしをかける事に気が進まない。嫌がるハヤトを、深尾は親子で共に追いかける道を問うて納得させる。

深尾親子の夢は、東京の真ん中に柔道教育センターを設立して深尾の柔道理論を実践する事。深尾は待ちの一道場主で終わりたくない。そのためにハヤトを無敵の天才選手に育て挙げる必要がある。自分の体を省みる余裕はないようだ。

鬼気迫る深尾親子の稽古を見た直也は、独自の工夫を加えた足払い稽古台を自作して稽古に励む。

深尾ハヤトと一条直也の二度目の試合が、車周作の小屋の外で行われた。直也は阿蘇おろしを破り、新技一直線投げでハヤトを下す。

夢が崩れたと悲嘆にくれる父親を、まだまだ選手権までは時間があると励ますハヤト。深尾親子は車と直也の前から去る。

勝負はまだ始まったばかりだと直也に諭す車。直也は、同意し、そして今回の勝利が車のおかげであると礼を述べる。しかし、亡父の遺影を足蹴にした事は許せない。車に勝負を申し込む直也。一泊おいて、その勝負受けようと応じる車。

直也と激しく技をぶつけ合いながら、直也が本当の男に成長したこと、その目その気迫だけが戦う男の全てなのだ。お前がワシを超える日も間近いぞ…と心中で直也を称賛する。

 

第89回 全国選手権大会開かる ー個人とはなにかー
全国高校柔道個人選手権の優勝者は、パリの世界大会に出場できる。

大沢はシード選手に選ばれながらも、一条直也の方が実力的にシード選手に相応しいのではないか…との疑念がはれなかった。

大沢は吉本キャプテン許可のもと試合をもと直也と試合をする。すでにシード選手への未練のない直也は、二年生と一年生の部内の対立も考えて、大沢に勝ちを譲る。

大沢も自分の勝利を素直に喜んだ。しかし、直也が敢えて敗北したのを結城信吾は見逃さなかった。そして、その場にいた全員の前で公言してしまう。

また、二年生の主だったものから、シード選手の大沢よりも一条が勝ち進んだとなれば、桜ヶ丘高校柔道部はどうなっているんだと笑いものにされるから、一条に全国高校柔道個人選手権に出場するなと言われる。

直也は、こんなくだらない柔道部を退部して、個人の資格で大会に参加する決意を固め退部する。

そして直也は、桜ヶ丘高校柔道部員としてではなく、一個人の資格で大会に参加するのだった。

 

第90回 狼の目の涙 ー男のさびしさとはなにかー
直也は個人資格選手として桜ヶ丘高校柔道部とは無関係に大会に出場し、勝ち進むのが、桜ヶ丘高校二年生柔道部員達にはそれが面白くない。

シード選手に選ばれたはずの大沢は、直也が自分のせいで退部した事に負い目を感じて試合にも気が入らない。

一年生柔道部員は勝ち進む直也を応援するが、狭量な二年生部員達は直也を応援する事を禁ずる命令を出したりする。

たまりかねた大沢は、直也の事が気になって満足な試合ができないから、直也に部に戻ってほしいと頼むが、直也は大沢自身の実力不足をオレのせいにしないでくれと言って突っぱねる。

大沢は思わぬ直也の反論に怒り、直也との野試合が始まるが、その中で直也は自身が編み出したジャンボ投げ破りを大沢にやって見せる。ジャンボ投げは大沢が翌日対戦する大豪寺の必殺技であった。

一方、風祭や赤月は、桜ヶ丘高校柔道部が直也ではなく直也の対戦相手を応援する事に違和感を覚える。直也と桜ヶ丘高校柔道部二年生部員との間で仲裁に入ろうとするが、身内の恥を晒したくない直也はこれを拒絶し1人我が道を行くことを選ぶ。

現場から走りさる直也の頬には、しかし涙が光っていた。

 

第91回 君は勝ち抜けるか ー大人になるとはなにかー
現柔道部員の大沢と、元柔道部員の直也の対戦が、双方が勝ち進むうちに次第に現実味を帯びてきた。

桜ヶ丘高校二年生柔道部員は、露骨に直也に圧力をかけて直也に負けさせようとする。

いよいよ大沢と直也との直接対決が現実となったとき、直也に協力的であった野坂をはじめ一年生部員も、大沢との稽古をとおして同じ柔道部員である大沢に勝って欲しいと願うあまり、直也に土下座をして勝ちを譲ってくれと言い出す始末。

車周作のいう、自分唯一人、高校性でもなかれば柔道部員でも勿論ない、柔道しかしない鬼になるという心境に立ちきれない直也は1人苦しむ。

懊悩を抱えたまま、直也と大沢との試合が始まった。

 

第92最終回 この長い柔の道 ー一直線とはなにかー
大沢が直也を寝技に持ち込んだ時、直也が真剣に戦ってくれる事が自分の最大の歓びだと伝える。直也は迷いをすて、大沢と戦いこれを破る。

直也が勝っても桜ヶ丘高校柔道部は誰一人喝采しない。大沢が抗議するが誰も聞かない。

右京か城山か、勝った方が直也と決勝戦を戦う事になる。右京は真捨身山彦を繰り出す間もなく、大噴火投げに敗北する。

1人稽古に励む直也も前に、右京が現れて、そんな練習法では大噴火投げは破れないという。右京は実際に城山と試合した経験から、大噴火投げの初動の動きを見切っていた。それを直也に稽古台になって伝えに来たのだ。

右京相手に稽古に励む直也。そこに大沢に連れられた桜ヶ丘高校柔道部員達がやってくる。大沢はいう、ライバルであった右京ですら直也の稽古台になっているというのに、同じ高校に通う俺たちがなぜ直也の稽古台になってやれないのか…と。

その言葉に一同改悛し、直也を応援する事にする。道場で直也が以前書いた退部届を破り直也の部への復帰となったあと、直也の稽古台になる柔道部員たち。

そこに結城信吾が現れて、柔道部に戻ることは車周作を縁を切る事を意味するが、お前にそれが出来るのか…と直也に迫る。

直也は車のもとに行き、おそらく部への復帰の許可を得ようとしたのだろう、しかし車は、お前は一匹狼の一条直也だ。それ以上ワシの言う事はない…とだけ答える。

車の小屋に押し寄せて一条を取り戻そうとする柔道部員達。彼らに向かい車は。来るな、寄るな。直は桜ヶ丘なんぞの代表になんかならん。帰れ…と一喝。そして直也に向かって、直、来い、さあかかって来い。と言って直也に稽古をつけ始める。

そして城山大作との決勝戦となった。直也はまだ、柔道部員として出場するのか、一介の選手として出場するのか悩んでいた。

試合が始まった、直也は心の中で車に謝罪し、柔道部員としての出場に心を定め試合に集中する。激しい技の応酬のなか、城山が大噴火投げを仕掛けた瞬間を察知した直也は、城山の頭突きを一発、二発と食らったあと三発目を躱し、一瞬おどろく城山に新二段投げをかけて勝利する。

その瞬間、車の顔に歓びと満足のかすかな笑みが浮かべ、軽くうなずき、試合会場から立ち去る。

優勝した直也に、パリで開催されるインターナショナル少年柔道大会出場の決定が正式に下る。風祭右京も城山大作も一緒だ。

喜ぶ直也に、車周作がリュックを背負って歩いていたと三平から告げられる。車が町を出たと直感した直也は車の小屋に走る。

小屋には、直也にあてた置手紙があった。そこには、自分と直也の進む道が違うこと、柔の道は一筋ではなく、お前の柔らの道を一直線に突き進めとあった。

置手紙をくしゃくしゃにして泣く直也。そこに結城信吾が現れて、車周作の言う柔の道を自分は歩くと宣言する。直也は結城のこれまで自分に接する態度の理由を悟る。直也は怒り結城信吾を投げ飛ばし、あんたなんかにオレと車先生の事なんかわかるものか…と叫ぶ。

直也は車周作を探して走りまわる。

夜、車周作の小屋の前で、これまでの車との出来事を思い出し、車が自分に伝えようとしていたことを反芻し、惜別の涙を流しながら感謝の言葉を口にする。

飛行機のタラップを上る直也は見送りに来た人達に手をふる為に振り返る。ミキッペや三平、母ちゃんや大沢や野坂、二年生柔道部員達が手を振るその向こうに柔和な表情を浮かべた車周作が立っていた。

タラップを駆け下りようとする直也を同行する右京や城山に止められる。車先生が…という直也に、右京が見送る人達を見て、車先生なんてどこにもいないよ…と言う。

機上の人となった直也は思う、あれはオレの幻だったのか。いや、確かにオレは見た。車先生に間違いない。

そして誓う。しかしもうクヨクヨするのはよそう。オレはいま車先生の最後の言葉をかみしめてパリに飛ぶのだ。そうだオレが一生忘れられない言葉、それは柔の道一直線。

さて、これにて全話あらすじ完了です。

ところで、別ページにて、車周作視点の柔道一直線も考察しました。

今回は以上

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