フライブリッジ艇は、その独特な構造と高い機能性から、多くのボート愛好者に人気がある。しかし、用途や状況によって適不適があるので、フライブリッジの特性を理解することが重要である。
メリット
フライブリッジ艇の最大の利点は、操船席が高い位置にあることで得られる視界の良さである。鳥山を見つけやすいとされており、魚が湧く海面をいち早く把握できる。視界が広いので、混雑した港湾や狭い水路での操船時に安全性が向上する。また、フライブリッジの広いスペースはアウトドアでのリラックスやアクティビティにも適している。加えて、フライブリッジより更に高い位置に設置されたレーダーは到達距離が長く、釣り場を素早く見つけるのに有利だ。とにかく他の人よりポイントに行きたい!って人には魅力的である。
さらに、操船免許を持っていて船の作業を分かっているクルーが複数いる場合、下記のデメリットを克服できるのでフライブリッジは夢のような素晴らしさを発揮する。複数の操船者がいることでキャプテンが休息を取ることが可能になり、航海全体の効率が向上する。フライブリッジの開放的な空間を共有しながら航海を楽しむスタイルには最適といえる。
デメリット
一方で、フライブリッジ艇にはいくつかの課題がある。キャプテンが1人で、多くのゲストを迎える場合には、あまりフライブリッジは有益ではないかもしれない。
航行中、ゲストの多くは風吹きすさぶフライブリッジよりも居心地の良いキャビンやサロンに集まる傾向があり、その結果、キャプテンだけがフライブリッジに取り残されてゲストと交流する機会が減り、ただの操船者と化してしまう可能性がある。これにより、キャプテンへの負担に大きくなりがちになる。
また、フライブリッジはその高い位置のため、風の影響を大きく受ける。特にエンクロージャー(防風・防雨用カバー)を設置した場合、風の抵抗が増し、船全体の安定性が低下することがある。荒天時や強風下では、この特性が顕著になり、操船が難しくなる場合もある。
さらに、寒冷地や雨天時には快適性に欠けることがある。フライブリッジ艇でもキャビン内に操船席がある艇なら、この問題はクリアできる。
また、フライブリッジは2階に相当する構造のため、離着岸時の梯子の上り下りなどの作業が極めて面倒である。複数のクルーに乗船してもらうか、マリーナスタッフにロープを持ってもらうのが安全な着岸であるが、マリーナスタッフはみな仕事の最中にロープを取りに来てくれるので、できれば離接岸は1人でできる方が絶対に良い。
フライブリッジはプレジャーボートのシンボル的なものであり、なんとも優雅でカッコ良い感じがするが、釣りをしない人には殆ど用のない装備らしい(理屈コネ太郎だけでなく、フライブリッジ艇の複数のオーナーの意見)。
それから、これも釣り目的で船をかった複数のオーナーから理屈コネ太郎が聞いたハナシであるが、釣りのためにわざわざ船を出すのが面倒くさいという事があるらしい。
フライブリッジを選ぶ際の考慮点
フライブリッジ艇を選ぶ際には、使用目的に加え、航行エリアや天候条件も良く考えよう。例えば、釣りを主目的とするのであれば、視界の良さとレーダーの到達距離の恩恵を大いに享受できる。一方で、家族やゲストとリラックスした時間を過ごす目的が強い場合、快適なキャビンやサロンスペースのほうが優先されるだろう。特に、ゲストとの交流を重視する場合には、操船機能がフライブリッジに集中している構造は適していない。
また、エンクロージャーの有無やデザインも選択のポイントである。エンクロージャーを使用すれば風や雨を遮ることができるが、その反面、船体の安定性が若干損なわれる場合があるため、荒天や強風時の操船を想定する必要がある。そして、離着岸についてだが、シングルハンドでの運用を考えるなら、たとえ前後にスラスターが付いていてジョイスティックで細かい操船が出来る艇だとしても、乾舷に近い位置に離着岸用のセカンドヘルムを装備する事をお勧めする。なぜなら、離着岸の際は操船&舫い作業を同時且つシームレスに行う必要があるから。
まとめ
フライブリッジ艇は、視界の良さや開放感、多目的に利用できるデッキスペースなど、多くの魅力を備えている。しかし、キャプテンが1人で運航する場合や悪天候時の使用には注意が必要である。操船やナビゲーションを分担できる体制が整っている場合や、ゲストとともにフライブリッジで過ごすことを想定しているならば、優れた選択肢となる。
使用目的や人数構成に応じて適切な選択をすることで、快適で満足度の高いボートライフを楽しむことができる。フライブリッジの有無やセカンドヘルムの必要性については、個々のニーズに応じた判断が求められる。なお、理屈コネ太郎は釣りにまったく興味がないため、フライブリッジにはほとんど関心がない。現状のボート遊びにおいて、フライブリッジは必要ではなさそうだ。
今回は以上とする。