Sex And The City オジサン達こそが観るべき海外ドラマNo.1

Sex And The City(以下、SATC)とAnd Just Like That…(以下、AJLT)はオジサン達こそが観るべき海外ドラマNo.1であると『理屈コネ太郎』は考えている。

その理由は、SATCとAJLTが女性の一人称視点からの、女同志の友情と恋愛模様、時に老化について女性達のホンネをロマンティックコメディーの範囲でみせてくれる数少ないTV連続ドラマであり映画であること。

女性目線からの、女性同士の友情や恋愛模様だけに焦点を当てたドラマは他にはちょっと思いつかない。レギュラー男性陣の心理的描写は殆ないのも、それはSATC & AJLKが女性目線のドラマだからに他ならない。

こういうドラマは、繰り返して恐縮だが他にはない。オジサン達にとって女性を勉強するための格好の教材になると『理屈コネ太郎』は考えている。

さて、SATCやAJLTっていったい何ぞや?と不思議に思うオジサン達もいるだろう。そこで、SATCとAJLTの概要について少し解説したい。

SATCは米国で1998年6月から2004年2月まで6シーズン放送された全94話の連続ドラマ。更に2008年に映画Sex And The City と2010年には映画Sex And The City 2がTVシリーズの後日談とした制作された。

さらにその後の2021年9月に、SATC movie 2 の11年後に設定されたシリーズであるAnd Just Like That…が全10話で配信された。

SATCのTVドラマと2本の映画、そして直近のAJLTまで、実に25年の長きにわたり人気を博し続けてきたコンテンツのである。

最近のAJLTでは、仲良し4人組の1人であるサマンサがキャリーとの仲たがいが原因でロンドンに移り住んでいる設定になっており、実際のSJPとKimの不仲も上手にドラマに織り込んでいるアタリが香ばしい。

サマンサを演じたキム・キャトラルは出演しないが、キャリーとは頻繁にテキスティングで情報交換をしている…って事にドラマ内ではなっている。

SATCやAJLTは基本的に主人公であるキャリー・ブラッドショーの一人称視点の物語なので、ときどきキャリー自身のナレーションが挿入されてウイットに富む説明を補足したりする。

本来キャリーが知り得ない事象であっても、キャリーの女性友達がキャリーに話した内容から再現映像的にドラマが再現される。

また物語は全て同一時間軸上のストーリーであり、演じる役者に変更はなく、同じ世界観のなかで全ての物語は進行する。リブートとかリメイクとか、大人の都合による作り直しがないのも好感が持てる。

SATCの主人公は4人の女性達。

ドラマを一人称的に語るコラムニストのキャリー・ブラッドショー、
広告エージェント経営者のサマンサ・ジョーンズ、(AJLKでは出演しない)
弁護士のミランダ・ホッブス、
美術館勤務で専業主婦希望のシャーロット・ヨーク。

SATCのほぼ全てを通して描かれるのは、キャリーとその友人3人の恋愛と女同志の友情である。まるで動物園で人間が動物を鑑賞・評価するように、彼女達は男達を鑑賞して論評する。

彼女達は自立した生活の基盤を持つ女性達であるが、職業上の苦労や深刻な話題や場面はSATCには殆ど出てこない。そうした部分にはSATCでは光をあてない方針なのだろう。

ところで、キャリーはじめ主人公の4人は全員ニューヨーク出身者ではない。地方から都会に出て来た人が人並み以上の努力をせずに経済的自立を獲得して一等地に1人暮らしすらうなんて、普通の常識で考えて無理でしょう。

しかしSATCではそういう仕事で頑張っているようなキラキラしていない場面にはフォーカスしない。金銭的な事で困ったエピソードといえば、キャリーが住むアパートが賃貸から分譲に変わる際に、現金を殆ど持たないキャリーがビッグに応援をたのみ、他の3人の友人にたのみ、なんとなく愛情と友情のなかで話が治まった回があったくらいだ。

SATCはマンハッタンに憧れて地方から毎年やってくる人達の典型的な人達のドラマではなくて、並外れた努力の結果として成功を掴みとった極少数の女性達の恋愛女性同士の友情だけに話題を絞りこんだドラマだ。

ドラマに描かれていない部分で、彼女達は凄い集中力とエネルギーで自分の仕事に打ち込んでいるはず。ただ、SATCではそれが描かれていないだけだ。

ゆえにキャリーはじめ4人組がいつもチャラチャラして男性批評ばかりしている有閑な女性達のドラマだと勘違いしてしまう視聴者が多いのは残念である。

世界中を震撼させた2001年9月11日にアメリカ同時多発テロが発生したとき、SATCはシーズン4の途中であったが、本来の放送日がテロ直後に予定されていた回の放送が数か月延期して放送された。

そしてその回では、同時多発テロに関する会話や場面は一切明示的には描かれていないのだ。

しかしオープニングの映像や、キャリーがニューヨークの想いを語るとき、スタッフ全員が受けたであろう心身のショックをエンターテイメント精神で昇華させた事もわかる。

さて、ここまでで、SATCの概要説明は終わりである。

SATCをオジサン達が観るべき理由は、この連続ドラマや映画がキャリーという女性の一人称的視点の女性だけが活躍するドラマであるが故、女性の考え方、女性の悩み、男性の行動に対する女性の反応がわりと上手に描写されているからだ。

オジサンたちが普段しているように、ボンヤリと社会を男性目線で眺めているだけでは見えない事が、SATCとAJLTでは多彩に描かれている。

女性の望んでいること、女性が女性同志で傷つけあっていること、女性が男性の心無い言動で傷ついていること、男性には欲望の発散に過ぎないセックスが女性の一生の分岐点にすらなり得る事など。

SATCは、これまでなかなか男性には垣間見えなかった女性だけの世界観を少しだけ覗き見する機会を男性に与えてくれるドラマなのだ。

従来、SATCのような女性同志の友情や恋愛模様を女性目線だけで描いたドラマや映画はほとんど皆無だったと思う。

というわけで、『理屈コネ太郎』はこう思う。オジサンが女性を今より少しは理解するために、SATCはまたとない教材となるに違いない。オジサンにとって観る価値ありである。ただし、Movie2は観る必要はないかな。

あ、因みに最新シリーズであるSATC新章And Just Like That…では、コロナ禍についても殆ど言及されていない。

実際にコロナ禍で苦しむニューヨークの人々に、わざわざ言及して苦しみを思い出させるより、すこしでも愉しい時間を過ごしてもらうために皆が既に共有しているコロナ禍についての言及は最小限にしたのではないだろうか。

だって、SATCもAJLTもロマンティックコメディーなのだから。

ああ、そうそう。SATCやAJLTは大変に英語の勉強になる。切れ味とテンポの良い会話の応酬、米国人同志の決まりきった日常挨拶は勿論、複雑で込み入った話をするときに繰り出される言葉はシャープでto the point だ。

それから、15年の伴侶との結婚生活を突然の伴侶の死によって奪われたキャリーの悲しみと再生のプロセスも見て欲しい

SATC と AJLTはオジサン達にこそ見て欲しいドラマや映画である。見て公開しないはず。

今回は以上。

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