最初のバイクは、高校生時代に父親に購入してもらったYAMAHA XJ400だった。バイトして苦労して買うとかではなく、父親に買ってもらっているアタリが、私の根性のなさを物語っていると思う。
このバイクには13万キロ位のったなあ。
次は、原付を何台か。
其の後、何を血迷ったかホンダCBX(6気筒)を購入したが、これは程度の悪い中古だったから今でも遠くの倉庫で冬眠したまま。
それからは、あまりモーターサイクルに興味を持てない季節が約20年位続いたかなあ。
そんなある日、何気なく頁を未来っていた雑誌に載っていたHonda CB750 RC42型(当時はまだ現行モデルだった)をベースにした埼玉のショップが制作するセパハンフルカスタムを生涯最後のバイクにするつもりで購入した。
このCBはメチャクチャ格好いいバイク。
ロケット型のフルカウルでヘッドライトは2灯型。ギュッと引き締まったサイズ感。子供の頃に憧れた仮面ライダーの旧サイクロン号を思い出させる秀逸な造形。「あ、もう絶対これ」って感じで購入決定した。
上の写真はカスタム制作途中の状態だが、完成して手元に来たフルカスタムCB750は素晴らしい出来栄えだった。問題は、私のウデと体力と体型がセパハンカフェレーサーについて行けない事だった。
そこで私は、運転の簡単なバイクを練習用に購入しようと思った。知人に相談したら、ハーレーのスポーツスターがいいよ、って言われた。低速トルクはモリモリだし、転倒させても起こせるし、ぴったりだよ!みたいな事を言われた。私は真に受けた。
しかも、今はどうか知らないが、当時のハーレーは物凄い長期間の分割払いで購入できたので、1200Nってのを購入した。
1200Nは確かに低速トルク(フライホイールも重いと思う)がモリモリで、重心も低く、足つき性もバッチリだったが、ハンドルバーが滅茶苦茶遠くて幅広過ぎた。大きく腕を広げて運転すると、正面からの風で身体が後ろに飛ばされそうになる。
仕方ないからライザーつけてハンドル位置を引き寄せて、ハンドルバーを交換して腕をあまり開かずに済むようにした。
更にウインドスクリーンつけて高速道路での耐風性能も上げてみた。これで快適に街中も高速クルーズもできる。
「やったぁーーーー」
と、そんなとき、ある日の高速道路で、1台のバイクに30キロぐらいの速度差を付けられてヒュンと抜かれた。そのとき、「え、バイクってあの速度域でクルーズできるんだ!」と気付いた。
私を追い抜いたバイクはBMW GS1200だったので、次の日に今はなくなってしまったヤナセ芝浦BMWデーラーに行った。
そこで事の経緯を説明したら、愛想のいい大柄の店員さんに、そういう事なら一番新型のBMW GS1200Adventureがいいでしょお!なんて言われてその気になってまたローンで購入してしまった。
この時点で3台のバイクを所有していた事になる。
GS1200Asventureに乗り始めて分かったことは、とにかくこのバイクが重くて大きくて、重心が高くて、取り回しが大変たったこと。
「腕でなんとかなる」と頑張る人達もいるが、私には頑張る気は毛頭なかった。私の体格、乗り方とスキル、なにより私がバイクにも音める”何か”には全くマッチしないバイクだった。
期待の高速クルーズも130キロを超えるとエンジンがモーモーと音を立てるだけで全然面白くない。
コカしても、足場が悪い場所では自力で起こせそうにもなかったし、知らないオッサンにやたらと声をかけられるのにもウンザリしていた。
私はこのバイクにはあっさり敗北を認めて手放す事にした。鑑賞用にはCB750 フルカスタムがあるし、街乗り用には1200Nがある。GA1200 Adventureが存在できる余白が私の生活には無かったのだ。
しかし、高速をクルーズしたい夢をまだくすぶっていた。丁度その頃、トライアンフTiger800が色々な雑誌で高く評価されていたので、早速港区三田にあるディーラーに行って試乗させてもらった。
トライアンフ3気筒のカーンって回る感じと車体の扱いやすさに納得いった私は購入する事にした。
Tiger800は素晴らしいバイクだった。出だしでクラッチをつないだほんの一瞬、トルクが僅かに足りない感じが私にはしたが(白状すれば、それはクラッチミートが下手くそでエンストしそうになるだけなのだが)、それも気にならない人には全く気にならないレベル。
高速道路でのクルーズといい、街中でのUターンのしやすさといい、エンジン停止時の取り回しといい、ロングツーリング時の積載性といい、当時の私のスタイルとスキルの中で最大限に楽しめる最大サイズのバイクだった。
そんな時、ある事をきっかけに実は私はあまりバイクによる長距離移動を好きではないことに気付いてしまったのだ。
なんでこんなに無理して、天気を気にしつつ身体を外気に晒して長いこと高速道路走っているんだろ?っと疑問に思ってしまったのだ。俺のバイク道ってそんなマゾヒスティックだったっけ?
厚かったり寒かったりすれば、クルマにのってエアコンやヒーター使って車で快適に移動すればいいんじゃね?雨に濡れる事もなければ、他車と接触しても多少なら車が壊れるだけで自分の肉体に損傷はないし。
大型バイクより、軽自動車っすよね!…と私の中の誰かが呟いた喝破してしまった。
その瞬間から、私のバイクへの情熱は変質していった。では、自分の生活からバイク要素が全くなくなって平気なのか?と自問すれば、どういうわけだが答えはNoだ。バイクは私の生活の中になくてはならない。
天気が良くて気分が向いたとき、それまで放置していたバイクにスッと跨ってガってスロットルひねってシュっとコーナーを回る。そんな乗り方が私の気性と生活にマッチしているような気がした。
ある日、自宅の近所のバイク屋さんに長いこと展示されているヤマハトリッカーに、店員さんにお願いして跨ってみた。
これまで乗ってきた中型や大型のバイクとは全く異なる、頼りなげな車体。ステアリング周辺の何も無さ加減。
今までとは違う、もっと気楽に付き合えるバイクだと思った。丁度割引期間中だというので、その個体を買う事にした。今度は現金一括だ。
Tiger800は三田のディーラーが買い取ってくれた。そして今、私の手元にはフルカスタムのCB750と、ヤマハトリッカーがある。
どちらも普段は屋根付きガレージの中でバッテリー充電以外は全くの放置だ。
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