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ソロ(シングルハンド)航海の魅力と価値
ソロ(シングルハンドともいう。以下、ソロに統一する)でのボート航海といえば、「気楽さ」が一番の魅力だと思われがちですが、それだけではありません。実際には、ソロならではのメリットが数多くあります。本記事では、「気楽さ以外のメリット」に焦点を当て、その価値を解説します。
なお、この記事はヨットを対象としておらず、且つ筆者「理屈コネ太郎」の個人的な見解であることをご了承のうえお楽しみください。
ソロ航海が持つ価値とは?
1. 戦術・戦略感覚が身につく
ソロ航海では、スケジュールや行動、操船計画を戦術・戦略的な視点で組み立てる必要があります。反射神経や筋力だけでは対応できない領域が多く、より深い計画性が求められるのがボートの世界です。
戦術や戦略を学び、磨くことで、より遠くへ、それなりに速く、安全に到達する技術が向上します。これにより、航海の幅が広がり、新たな楽しみが生まれます。ソロキャプテンは常に頭を使う冒険者といえるでしょう。
2. クリエイティブな発想が育つ
ボートでは移動自体が退屈に感じることもあります。そのため、自分で楽しみを創造する力が求められるのです。
たとえば:
- 秘密の海岸を探して独り占めし、海水浴を楽しむ
- 平水域でカヤックやSUPで遊ぶ
- その他、誰もやっていないアイデアで遊びを開発
試行錯誤を繰り返すうちに、楽しみを自ら創り出す「創造力」が磨かれます。失敗もまた学びの一部。面白いと思えば続ければいいし、そうでなければ次を考える――そんな自由さがソロ航海の醍醐味です。
3. 危機察知能力が高まる
ソロ航海に慣れると、危機が発生しやすい状況を自然と察知できるようになります。
たとえば、平水域でカヤックを使用する場合、最も危険なのはボートとカヤックを移動する瞬間です。次に、カヤックを出し入れする際もリスクが高まります。
こうした危険は、多くの場合「何かを変えようとアクションを起こす時」に発生します。特にソロでは、自分しかいないため意識が分散しがちです。そのため、「変化が危険を伴う」という意識を常に持つことが重要です。
ソロ航海を続けることで、リスク管理能力が飛躍的に向上します。
4. 身体能力が鍛えられる
海上では、何もかも自分一人で行わなければなりません。荷物の運搬、操船、トラブル対応、安全監視などすべてを一手に引き受けます。これにより、全身を使う肉体的なトレーニングが自然と行われます。
特にボートでは、揺れが複雑で、多方向への動きが求められるため、下半身の安定性も鍛えられます。いわば、「愉しくないスポーツ」――いや、「労働」かもしれません。それでも、体を動かすことで得られる充実感は格別です。
まとめ
ソロでのボート航海は、よく言われる「気楽さ」以上の価値が詰まっています。戦略的思考、創造力、危機察知能力、身体能力を磨きながら、自分自身をよりシャープな状態に保つことができます。
ソロ航海は、自分の能力を鍛え、生活者としての感覚を研ぎ澄ます挑戦と言えるでしょう。