大学進学の価値は人によってまったく異なる。
先に結論を述べると、大学に行く意味があるのは「目的が明確に定まっている場合」に限られる。目的を持たずに大学へ進学するのは、時代的にも経済的にもおすすめできない。
本記事では、『理屈コネ太郎』の偏見と独断に満ちた持論をもとに、大学進学が意味を持つのはどんなケースか、逆に意味を持たないのはどんな場合かを解説していく。進路に迷う人の参考になれば幸いである。
Contents
大学に行く5つの動機とその評価
まず、大学進学の理由を整理してみよう。筆者が出会った人々や自身の経験から、大学に行く理由はおおよそ以下の5つに分類できる:
職業資格を得るため(医師・獣医師など)
研究者を目指すため
学歴で能力を証明するため
なんとなく勉強したいから
世間体や親の希望のため
このうち、確実に意味があるのは①と②。③は状況によりけり。④は本人次第。⑤は推奨できない。
① 資格取得目的の進学は“必要経費”
医師や獣医師、薬剤師などの国家資格を取得するには、特定の学部に入学し、卒業しなければならない。その後、国家試験を経てようやく職業に就ける。つまり、大学進学は回避できない必須プロセスである。
このようなケースでは「大学に行く意味があるか?」などという議論自体が成立しない。やるしかないのだ。
② 研究者になるには大学進学が“一択”だが…
大学は本来「研究者を養成する機関」である。将来、大学の教員、研究所、企業の研究部門、あるいはシンクタンクなどで働くことを目指すなら、大学進学は避けられない。
ただし、本物の研究者になるには大学卒業だけでなく、修士→博士→論文審査通過という長い道のりが待っている。
博士号は国家資格ではなく、大学が独自に授与する「学位」であり、博士論文には誰も知らなかった新たな知見の発見が求められる。この論文を複数の専門家が審査し、合格すればようやく博士号が得られる。
つまり、博士号保持者は“学問の最前線で新しい知識を切り開いた”という認定を受けた人物である。
それだけに、指導教員との関係性は密であり、特に人文社会系ではハラスメントの温床にもなりやすい。また、博士を取っても就職が保証されるわけではなく、研究者になる道は非常に険しい。
③ 学歴で能力を証明する時代は終わりつつある
「どこの大学を出たか」で能力を推し量るという社会通念は、今なお根強く存在する。履歴書の学歴欄が重視される場面も多い。
だが、これは非常にコストが高い投資である。大学受験のための時間・費用・労力と、それによって得られる“学歴”が、その後のキャリアに見合うかどうかは、近年ますます疑問視されている。
実際に、高卒でも起業して成功している人、有名企業に就職した人は多数存在する。現代では**スキルや実績を直接証明できる手段(SNS、ポートフォリオ、資格)**が充実しているため、大学進学=能力証明という構図は崩れ始めている。
それに、下手に一流大学を出てしまうと、**「期待外れ」「〇〇大のくせに」**と揶揄されるリスクすらある。
④ “なんとなく学びたい”なら、もっといい選択肢があるかも
「教養を深めたい」「文学や哲学を学びたい」といった動機も尊い。しかし、現代は書籍やYouTube、オンライン講座など独学の環境が圧倒的に整っている。
通信制大学や夜間大学も存在するが、費用対効果や時間の使い方をよく考えて選ぶべきだ。
社会経験を積んだ後に大学へ行く方が、むしろ学びの質は高くなることもある。高校生が源氏物語を読んでも試験対策にしかならないが、大人になって読む源氏物語は自己理解や人間洞察に役立つ。
⑤ 世間体のための進学は、もはや悪手
親や周囲の期待、「大学くらい出ておかないと…」という不安から進学を決めるケースもある。しかし、こうした動機では学びへのモチベーションも低く、結果として浪費に終わる可能性が高い。
今や“大学卒”の肩書きそのものに価値はほとんどなくなりつつある。惰性で進学するのはリスクである。
高校卒業直後に大学進学すべきか?
筆者が長年感じている疑問がある。それは、
「大学は本当に高校卒業直後に行くものなのか?」
という問いだ。①や②のように目的が明確な人にとっては、早く進学して早く修了するのが理にかなっている。
しかし③や④のような動機であれば、社会に出てから、学び直す方がよほど実り多い可能性がある。特に、20代前半の貴重な時間を学歴のためだけに使うのは、リスクと覚悟が必要だ。
まとめ|大学に行く価値は“目的次第”
『理屈コネ太郎』としての結論はこうである:
①資格取得目的 → 行くしかない。早めの進学が必須。
②研究者志望 → 博士号取得と就職難を覚悟のうえで進学すべし。
③能力証明目的 → 今やコスパが悪い。代替手段多数あり。
④知的好奇心目的 → 書籍・ネット活用で十分学べる。費用対効果を吟味せよ。
⑤世間体目的 → 無意味で危険。絶対に避けた方がよい。
大学進学は“目的の明確さ”と“時代背景”を踏まえてこそ価値を持つ。
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