本ページでは、挿入に関する操作を繰り出す順番のおおまかな基準について『理屈コネ太郎』の考えを述べてみたい。
いつものように、『理屈コネ太郎』の管見による私見である旨をご銘記のうえ読み進めて戴きたい。
結論を先に述べると、ⅰ:内視鏡医1人で出来る操作、ⅱ:介助1人が必要な操作、ⅲ:介助2人が必要な操作に、に分けて、出来るだけ①のみで盲腸まで到達する事を試みる。ⅰを出し尽くしたらⅱを、ⅱでも不十分ならⅲを試みる。
『大腸内視鏡挿入法のヒント④』で触れたように、大腸内視鏡挿入に関する操作には、プッシュ、プル、ジグリング、上下左右のアングル、スコープ軸を捻じる、スコープ軸をローテイトさせる、送気する、吸引する、送水する、スコープ硬度を変更する、左手操作部も含めた体外スコープを操作する、体位変換する、用手圧迫する…など多彩である。
このうちⅰの操作は、プッシュ、プル、ジグリング、上下左右のアングル、スコープ軸を捻じる、スコープ軸をローテイトさせる、送気する、吸引する、スコープ硬度を変更する、左手操作部も含めた体外スコープを操作する…は内視鏡医が1人で行う事が出来る。
送水は使用しているスコープがジェット実装タイプでなければシリンジで鉗子孔から注水するのだが、シリンジに水を吸う作業は内視鏡医は自分でやらないで、介助の人にお願いした方が画面から視線を外す時間が少なくて良い。そのため送水はⅱの操作と位置づけよう。
用手圧迫は内視鏡医1人では出来ないので(用手圧迫を1人で行う内視鏡医はいるにはいるけれど、普通は…って話しで)介助の看護師にお願いする事になる。よって用手圧迫はⅱの位置づけ。
とはいえ用手圧迫は、大腸の走行と内経挿入法を理解している看護師でないとなかなか適切なポイントを適切な方向に圧迫する事が難しい。用手圧迫を介助にお願いする際は、内視鏡医が適切な位置と方向を指示するように心がけよう。
体位変換は介助が2人いないと困難な事が多いのでⅲの位置づけとする。
左手操作部を含めた対外スコープ操作は色々な考え方があるので、また別の機会に時間があったらまとめて記載しようと思っている。
ⅰの操作であるプッシュ、プル、ジグリング、上下左右のアングル、スコープ軸を捻じる、スコープ軸をローテイトさせる、送気する、吸引する、スコープ硬度を変更する操作を、次々とまずは繰り出そう。色々な組み合わせも試そう。次々と繰り出しているうちに活路が見えてくることは多い。
それでダメなら、介助の看護師と意思の疎通が普段からとれているならⅱの用手圧迫してみよう。
介助の看護師が不慣れそうだったり、用手圧迫が適当な状況でないとおもったらⅲの体位変換を試そう。
この時、体位を変換している真最中に視野が広がってススーと内視鏡が入って行くこともあるので、体位変換中は画面から視線を外さず、いつでもプッシュできるように心構えをしておこう。
体位変換は、左側臥位と仰臥位の行ったり来たりは比較的容易だが、右側臥位は患者の脚の下をスコープが通過しなくてはならないので、すこし手間がかかる事も覚えておくとよい。
また介助者によって、スコープが抜ける程の勢いと方向で患者の体位を移動させる事もあるので、そういうこともある程度予想して心構えをしておこう。
内視鏡操作の順番の一番大きな原則は、内視鏡医が1人で出来る事は1人で積極的に繰り出す。介助が必要な操作は、介助者との意思の疎通の程度を考えて介助者に介助をお願いしよう。
介助者の動きが内視鏡医の思った通りでなくても、決して不満顔をしたり、舌打ちしたりしてはいけない。
介助者達はもっと上手なベテラン内視鏡医の介助にもついているので、挿入に時間がかかったりしているのは新人内視鏡医のウデが悪いからだと思っているかもしれないのだ。いや、たぶん思っているだろう。
看護師達は看護師達の目線で、じつによく医師達の技量や人間性を評価していることは、キモも銘じておいて欲しい。
「この患者さん、去年検査した時は○○先生だったからすぐ終わったのに今年は▽▽先生だから時間がかかった」っていう会話をしていたりするのである。
何事もチームワーク。
今回は以上。
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