胃内視鏡のヒント 挿入の難所は5か所だけ

上部消化管内視鏡検査、通称胃カメラ(本ページでは胃内視鏡と呼ぶ)は今日の消化器診断になくてはならない検査法である。

胃内視鏡検査は、検査するだけならそれ程困難な検査ではないが、新人内視鏡医には注意して貰いたい難所が5か所ある。この5か所で自分の必勝パターンを確立すれば、患者に苦痛を与えずに挿入を短時間で行う事ができるようになるだろう。

まず最初は、口腔内でのオリエンテーション。特に被験者が舌を動かすと迷子になり易い。舌と口蓋垂を超えて喉頭蓋、声帯が見えてくれば食道挿入の準備に入る。

次は下咽頭から食道への挿入。食道内腔は閉じているので、解剖学的に合理性のある方向に挿入する必要がある。ここで患者をえずかせてしまうと、後々の検査の精度に影響するので、なるべきスムースに行えるようにしよう。

第三に胃内でのオリエンテーションの確保。特に胃内に入ってすぐにある程度のオリエンテーションをつけないと、穹窿部で内視鏡をループさせてしまう。

第四に幽門輪を超えて十二指腸球部への進入。

そして最後にSDAから十二指腸下降脚への挿入である。SDA越えも内腔が閉じている事が多いので解剖学的に合理的な方向に挿入する必要がある。

上記の5つの難所を指導医達がどう処理しているのかを、見学者の立場から確りと見習っておこう。

この5か所で自分の必勝パターンが確立すれば、極めて短時間で十二指腸下降脚まで到達する事が出来る。

因みに、健診センターと呼ばれるスクリーニング検査業務を専らとする医療機関での胃内視鏡は、患者1人につきザックリ20分の時間しか与えられない。この時間内でスコープの交換や患者の体位つくりも行うので、検査そのものに費やせる時間は多くて10分くらい。

観察を充分に行う事を前提とすると、3分以内程度で十二指腸下降脚に辿りつくのが望ましいかな。

これくらいの時間感覚でスクリーニング胃内視鏡が出来るようになると、研修病院でも戦力としてカウントして貰えるので、その後の胃ESDの症例数も増やす事ができると思う。

因みに私の周囲のベテラン内視鏡医は、スクリーニング目的で観察だけだった場合、口腔挿入から検査終了までだいたい5分前後。もし生検が加われば一か所につきプラス30秒から1分。

頑張ってね。

以上

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