上部消化管内視鏡検査(通称:胃カメラ)は、今日の消化器診断において欠かせない検査法である。
検査自体の難易度は高くないが、新人内視鏡医が注意すべき難所が5か所ある。
この5か所の攻略法を確立すれば、患者の負担を減らし、短時間で精度の高い検査が可能 となる。
Contents
📌 胃内視鏡挿入の5つの難所とポイント
① 口腔内でのオリエンテーション
舌や口蓋垂の位置に注意し、スムーズに喉頭蓋・声帯を確認する。
特に被験者が舌を動かすと迷子になりやすいため、確実に視野を確保することが重要。
② 下咽頭から食道への挿入
食道内腔は閉じているため、解剖学的に正しい方向へ慎重に挿入することが必要。
ここで患者をえずかせないようスムーズに進めることが、検査精度に影響 する。
③ 胃内でのオリエンテーション確保
胃に入った直後に適切な視野を確保しないと、穹窿部でスコープがループする 可能性がある。
この段階で素早く位置を把握することが、検査全体の流れを円滑にする鍵となる。
④ 幽門輪を超えて十二指腸球部への進入
スムーズな幽門通過を意識し、無理な力をかけずに慎重に進める。
適切な手技が身につけば、短時間で十二指腸球部へ到達できる。
⑤ SDA(Superior Duodenal Angle)から十二指腸下降脚への挿入
ここも内腔が閉じていることが多く、解剖学的に合理的な方向での挿入が必要。
視野を確保しながら慎重に進めることで、スムーズに下降脚へ到達できる。
📌 研修医が習得すべきポイント
指導医がこれらの5つの難所をどのように処理しているかを、しっかり観察 して学ぶことが大切。
この5つのポイントを攻略できれば、短時間で十二指腸下降脚まで到達できるようになる。
✅ 健診センターのスクリーニング胃内視鏡では、患者1人あたり約20分の枠が設定される。
👉 検査に費やせる時間は最大10分程度であり、3分以内に十二指腸下降脚まで到達するのが理想。
この時間感覚でスクリーニング胃内視鏡をこなせるようになれば、研修病院でも即戦力とみなされる ため、その後の胃ESDの症例数も増やすことができる だろう。
ちなみに、ベテラン内視鏡医のスクリーニング検査では、口腔挿入から終了まで約5分前後。 生検が加わる場合は、1か所につき30秒〜1分程度の追加時間 がかかる。
🎯 まとめ
- 胃内視鏡の難所は5か所のみ。ここを攻略すれば、スムーズな検査が可能。
- 短時間で精度の高い検査を行うことで、患者の負担を減らせる。
- 研修医のうちに適切な手技を身につけることで、早期に戦力として認められる。
頑張ってください!