成功する個人起業とは

まず初めて知っておいて戴きたい事が2点ある。

自分の考察と才覚で発見した潜在ニーズに自分の能力と努力で対応して新しいマーケットを興す。これこそが成功する個人起業なのだと理解して欲しい。

それから、ローリスク・ハイリターンなビジネスは可能だということを知ってほしい。

ハイリスクでなければハイリターンは望めないというのは短期的には正しいのだが、長期的には必ずしも正しくない。

ただしリスクの低さとリターンの高さのバランスを取るために、どうしても一定程度の”時間”と”作業”を投入する必要がある

ローリスクとハイリターンでは等価ではないけれども、ローリスク+時間+作業とハイリターンなら等価になり得るって寸法。

だから短期間に採算分岐点を超えたいと思うなら、ここでこれから述べるような個人起業の考え方は向いていないと思う。

個人起業は限定的な資本という制約条件のなかで、多少は時間と労力をかけても良いからコツコツとトライ&エラーを繰り返し、仮説を修正し、少しずつ実績を積んで顧客から信頼を集めるスタイルが最も宜しいのだ。

さてこれまで『理屈コネ太郎』が研究してきた分析事例に基づく、成功している開業直前の個人起業の要件を以下にまとめる。これから個人起業をしてみようと思っている方の参考になれば幸甚この上ない。

早速成功している人達の要件を纏めてみよう。

  1. マーケット化(以下mkt化)可能な法人の潜在ニーズを既に発見している
  2. その潜在ニーズをmkt化できるサービス(以下svc)スキルを既に持っている。
  3. 同業他者とって参入障壁が高い。
  4. サービス内容や価格体系が明確に設計できている。
  5. 集客についての戦略&戦術を既に持っている。
  6. 借入金・固定費を可能な限り低く設定できる。
  7. キャッシュの流れを完全に把握している
  8. 簿記や税法の基礎的知識を既に持っている。
  9. 運が悪い時もあることを受容している

上記の9点に集約できると思う。

以下、それぞれの点について簡潔に要点だけを説明しよう。

①B2B規模でmkt化可能なの潜在ニーズ

まず潜在ニーズについて説明したい。潜在ニーズとはまだ誰も気づいていない需要のこと(正確には需要とニーズは同じではないのだけど、ここでは同じに扱う)。

潜在性は深い程いい。つまり、1回や2回説明したくらいでは殆どの人が理解できないくらいの潜在性の深いニーズがいい。

多くの人には理解できないが、起業者にはこれまでの人生経験から確実にその存在が見えていて、育て方によってはそれなりのマーケットに成長するニーズ。

では、なぜ個人潜在ニーズではなくて法人潜在ニーズなのか?

これは大切な点なので良く覚えておいて欲しい。

簡単に言うと、B2CよりもB2Bの方が収益性を高められるからだ。

B2Cにおいて個人顧客が支払う対価(つまりは起業した側にとっての売上)は、税や保険料などを引かれて顧客の手元に残った可処分所得内からの出費となる。

一方、B2Bにおいて顧客法人が起業側に支払う金額を顧客法人にとっての経費化できる可能性がある。

この顧客側の会計・税務処理上の違いは、起業側にとって価格設定するうえで非常に大きなアドバンテージとなるはずだ。つまり、価格を高めに設定できるって事だ。

 

潜在ニーズをmkt化できるサービススキルを既に持っている

個人起業が成功する大きな要素のひとつがコレである。

潜在ニーズに対して、こうすればお客様が喜ぶであろうという解決策の提案と実行(これを本稿ではサービス(以下svc)と呼ぶ)に必要なスキルを既に身に着けているということ。

仮に潜在ニーズを見つけても、それに対応するsvcスキルを既に起業側が身に着けていなかければmkt化できない。

潜在ニーズをマーケット化するのに必要な新たなスキルを身に着ける時間があれば、その時間を別の潜在ニーズ発見に注いだ方が得策だと思う。

個人起業において、潜在ニーズを発見する着眼点と並んで”時間”は大切な成功要因なのだ。

時間はローリスク・ハイリターンを可能にするための貴重なアセットなので、新規にスキル取得に時間を割くのは得策ではない。

 

③同業他者にとって参入障壁が高い

潜在ニーズを見つけて手持ちのスキルでmkt化に成功したら、必ずそのmktを横取りしようとする新規参入者たちが現れる。

こういう人達は既に他業種でビジネス的に成功している人達である場合が多く、高度にビジネス巧者だったりする。

ビジネス巧者を自負するからこそ、mkt開拓者に勝負を挑んでくるのだ。

ビジネス巧者にビジネスモデルを真似されたら、開拓者は市場から追い出されるかもしれない。

故に、新規参入障壁が高そうな、つまり開拓者の成功の真似が簡単に出来ないようにビジネスモデルを設計する必要がある。

資格や制度、機微に通じた対応など、高度なsvcスキルなどを駆使して余人をもって開拓者に代えられない…と顧客とその周囲に思わせるビジネスモデルを構築が重要だ。

 

④サービス内容や価格設定を明確に設定する

顧客ごとに価格を変更するビジネスも悪くないが、それは相当な熟練ビジネスパーソンと特殊な顧客の間だけで成立する取引だ。起業時には向かないやり方である。

起業時には、後に説明する情報発信のやり易さを考慮すると、やはり明快なサービス内容と価格体系に設定すべきである。

ここで注意したいのは、明快なサービス内容とは簡単なサービス内容を意味しないということ。簡単なサービス内容は参入障壁を低くしてしまう。

明快なサービス内容とは、やや複雑で機微に富むサービスを明快な言葉で表現する事であると理解して欲しい。

 

⑤集客についての戦略&戦術を既に持っている
潜在ニーズに対応するスキルは起業を思いついた時には身についている方が絶対に有利だ。集客についての戦略&戦術も同様である。

具体的な開業日までに、検索エンジンに新ビジネスに関するキーワードが認知されているような状況をつくっておいたりすることは重要だ。

起業した最初の日に問い合わせの1つもなかったら、そのビジネスの成長(仮に成長できるとして)は相当にスローだろう。

理想的には開業初日に顧客第1号に対して具体的アクションを起こせるように事前に仕込んでおくことが望ましい。

 

⑥借入金や家賃などの固定費を抑制する
記述の①~⑤にベストを尽くしたとしても、開業初日から収益が発生するほど事業は甘くない。

数か月、あるいは1年程度は収益が殆ど発生しなくても堪えられるように、固定費は限りなくゼロに近づけよう。

服装や身だしなみは業種によってはスーツである必要は全くないが清潔感が大切であるし、ビジネスの拠点がどこか分からないようなノマド的スタイルは顧客と信頼関係が構築できるまで起業後の数年は避けた方がいい。

現在は法人登記も可能なレンタルオフィスサービスも充実しつつあるので、こういうサービスを有効活用して初期投資額を抑えたい。

 

⑦キャッシュの流れを完全に把握している
ローリスクな経営をしたいならばキャッシュの流れを精密に把握する事はとても大切。この部分が杜撰などドンドン現金が両手の指の間から漏れ落ちてしまう。

 

⑧簿記や税制の基礎知識は持っている
簿記の知識がないと利益の確定が出来ない。どんぶり勘定になってしまう。帳簿作成を税理士任せにする人がいるが、このやり方はあまり推奨できない。

ときどき丸投げOKな税理士法人等の広告を見かけるが、この広告に飛びつくのは考え物である。

現金の入出、借入金や固定費の支払、事業を継続する上で必要な学習費等を正確に把握する事は経営者に必要な業務。

また、その費用が税務署的に事業の経費として認められるかどうかの違い、あるいは少し上級者向けだが借入額の利率と借入額と同額の利益に課せられる税率との差はファイナンス的に大きな差を生み、結果的に事業の成功・不成功を決定づける事になったりもする。

簿記や税金の知識は守りの知識と思われがちだが、これらは知れば知るほど攻めの知識である事がわかる、味わい深いものである。

 

⑧運の悪い事があることを受容している
運とは人為的に操作不可能な巡り合わせの事。運を引き寄せるとか、運を味方にするとかの言説は寺社仏閣にこそ相応しい。

今と将来の生活を賭けた起業において、運を引き寄せるために寺社仏閣に出向く時間はあまりない。

『理屈コネ太郎』がざっと思い出せるだけでも、自然災害でそこに住む人々の経済基盤が吹き飛ばされるような事象は幾つもある。

それ以外にも、病気や事故、バブル崩壊やリーマンショックなどの経済システムの均衡状態に大変動起きることも。

こうしたどうにも出来ない諸事象に囲まれて生きている我々一人ひとりは、実に小さな存在なのかもしれないが、自分の知識、能力、そして気の持ち方に創意工夫をして、どんな逆境のなかでも、それを受け入れつつ前向きに建設的な行動を微笑みながら遂行する。そういう事を想定しておきたい。

逆境や人の失敗に怒らない。全てを受け入れて、ではその場におけるよりベターな選択肢を微笑みながら模索し実行しつづける。

こういう姿勢が個人起業を成功に導くと『理屈コネ太郎』は考えている。

さて、これまで本稿では『成功する個人起業とは』について、成功する要件を8つに絞って説明した。

あ、ひとつ言及しておくが、上記8つを全て行ったからといって必ずしも成功するわけではない。

どこかのタイミングで仮説検証を行って修正をしなくてはならない局面が必ずある。トライ&エラーがビジネスの常識である。

しかしトライするにも、ただ勢いに任せてトライしては時間と労力の無駄。そこに狙いがなくてはならない。

PDCAサイクルでいえば、最初のPがすでにあって起業・開業するのが、Pもなく起業・開業するのでは雲泥と差。いきなりDではその後のCもAも導出できない。

上記8点はどれもが当たり前の事なのだが、その当たり前の事がなかなか出来ないのが人間である事例をいくつか紹介しよう。

もう、随分前から一部で問題視されていたビジネスに『資格ビジネス』というカテゴリーがある。

資格は、スキルや知識の証明として一定程度の意味を持つので、資格をとれば将来の展望が広くなると思われがちだ。

それは必ずしも間違いではないのだが、この資格をとって独立しましょうとか、夢をかなえましょう…みたいな夢見がちな事を言って資格教室が生徒を集めていたりする。

この集客戦略は資格さえとれば何とかなる…と考えてしまう人達にはよくよく刺さる集客方法だ。

たしかに、資格を取らなければ何も始められないって仕事もあるが、そういう場合でも、資格取得は第一歩にすぎず、その後に資格取得の何倍もの精進を経てやっと稼げるようになったりする事が多い。

最近では、さらに先鋭化したビジネスが流行っていて、何等かの簡単なスキル(作業とよんでもよいレベル)+ビジネスモデルをパッケージにして(これを情報商材とよぶらしい)高額で販売する個人や業者が増えてきた。

資格や国家資格であれ民間資格であれ、コスパは真剣に検討して欲しい。

○○インストラクターというような民間資格を取得して、顧客も個人であるようなビジネスモデルは、ニーズの潜在性が浅く、対応するスキル獲得に費用と時間がかからないために新規参入するライバルが多く、個人顧客だから単価も低い。すでにレッドオーシャン化しているかもしれない。最近の言葉でいうと無理ゲーだ。

趣味のお教室サロンなどは、割とこのタイプのビジネスモデルだ。

レッドオーシャンで無理ゲーに一所懸命になっても、得られる果実は量も質も宜しくない。

そういうわけで情報商材を購入しても、自分の個人起業にはあまり役立たない事も、本頁の最後に付け加えておきたい。

自分の考察と才覚で発見した潜在ニーズに自分の能力で対応して新しいマーケットを興す。これこそが成功する個人起業なのだと理解して欲しい。

今回は以上。

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