心エコー(Wikipedia心エコーの頁を開く)は心臓とその周辺の大血管を非侵襲的手法でリアルタイムに観察できる非常に優れた検査方法だ。
この検査の果実は、急性期医療を担う全ての臨床医に有用なはずだが、なかなかに循環器非専門医にとっては参入障壁の高い検査でもある。
もっと心エコーを理解したいけどどうしたものかなあ…と悩んでいたある日、ふと思い出した。
そういえば、『理屈コネ太郎』が臨床現場に本格的に復帰して腹部超音波を独学で再学習した時にも、自分自身で格段の進歩を感じたのは、検査報告書集を2周ぐらい読んだ時だった。
だから心電図の独学復習も、診療現場での心電図との向き合い方がわかる本やDVDから独学を開始して、次に心電図⇒病態生理という医学生とは逆順の勉強をしてそれなりに成果を実感した。
そこで、心エコーでも、腹部超音波や心電図の時と同様に、まずは全体像を把握する意味から、検査結果報告書が病態をどのように表現しているかについて勉強することにした。
当サイト内の『もう一度やり直す心電図・循環器』の頁(当サイト内当該頁を開く)や『学び方の提案』の頁(当サイト内当該頁を開く)でも書いたように、独学にはStep by Stepな学習を順方向にやるより、まず全体像とか結論とか意義とかを把握してから一段階だけ詳細な話しに進む逆方向的な学習が有効な場合がある。
独学で”再学習” する場合はその好例だと『理屈コネ太郎』は考える。
医学生は生理学的知識⇒病態生理⇒検査所見⇒検査報告書⇒臨床的意義という順番で学習する。それは彼らが到達度を計測され評価される学生という立場にいるからだ。(当サイト内『学び方の提案』の頁を開く)
独学再学習の人は被採点者ではないので、自分が最も理解しやすい学習法を選択すればよい。自分のパフォーマンス向上の為だけに学習すれば良い。
心電図には報告書はないが(そう、心電図は循環器非専門医でも自分で読影しなくてはならないのだ!)、心エコーには報告書がある。そこで心エコー検査報告書集を探す事にした。
そこで手にしたのが本書である。本書では疾病別に報告書が記載されている。
「フムフムナルホド、この疾病ではこういう所見を取るのね」とまずは一通り、眺めてみる。臨床診断の逆プロセスだ。
そして、順プロセス的に所見から疾病を推定するにはどのような病態生理を理解しておけば良いのかと考えたり、別のテキストで調べたりする。
と、そんな思索と検証を続けていれば、次第に心エコー報告書が読めるようになると思う。
心エコー検査所見を読みこなせば、循環器非専門医としては十分に合格だと思う。
もし自分でチョイ当てをしてみたいと思ったら、次の本が有意義かも。