本頁では、サービスという言葉の本来の意味、すなわち英語圏におけるServiceの意味について考えてみたい。
なぜなら、日本では外国語を輸入した段階で誤解され、その言葉の意味が誤って国内に広まる事がよくあるからだ。
例えば、ナイーブという言葉。英語ではNaiveだ。
「あの人はナイーブ」という表現は、あの人は繊細だ…くらいの意味合いで用いられる。
しかし本来のNaiveは経験不足や理解不足とか世間知らずという意味で、どちらかというと無知に近い意味だ。
You are so naive! とは、「あなた本当に世間知らずね!」って意味の表現だ。
繊細と無知では大変な意味の違いがある。
日本語のナイーブと英語のNaiveの意味が異なるように、日本で理解されているサービスと本来のServiceの意味は大きく異なる。
サービスやサービス業を理解するには、Service本来の意味を理解する必要がある。そうして初めてサービス業について正しい考察と理解が出来るようになる(当サイト内別ページ『すべてのサービス業に携わる全ての人々へ』は”ココ”をクリック)。
Serviceの理解のヒントに、興味深い例を幾つか挙げたい。
唐突で恐縮だが、英国陸軍特殊部隊に、特殊空挺部隊(Wikipedia当該頁を開く)という組織がある。
この特殊空挺部隊は勿論日本語訳だが、英語ではこの部隊はSpecial Air Service(Wikipedia当該頁を開く)という。略してSASと呼ばれる。
SASは勿論、敵を接客しておもてなししているのではないし、客を戦場に連れていくサービスをしているのではない。
勿論、特別な空気を販売しているのでもない。
SASは敵領空の高高度の空からパラシュート降下によって敵地奥深くの地上に侵入する。食物や飲料水は敵地で調達し作戦を遂行する超実戦部隊だ。
Special Air ServiceのServiceとは作戦を遂行することによって英国と英国民に価値をもたらすという意味でサービスなのだ。
テニスというスポーツでは、最初に打つショットをサービスという。バレーボールにも同様の用語がある。
競技スポーツにサービスという言葉が用いられているのは、それは競技相手に都合の良いタマを提供するからでは全くない。ゲームを始める行為そのものが価値であり、その行為がServiceなのだ。
ご理解いただけるだろうか。
サービスとは広い概念である。
勿論、目の前の客をもてなして接客して気持ちよく過ごしてもらう事も1つの立派なサービスではあるが、本邦ではこの接客する点にばかりサービスという言葉が使われてきた。
しかし、既述した例でもわかるように、価値創造目的の行為すべてがサービスなのである。
医療機関の医療従事者、検察庁の検察官、裁判所の判事、警察署の警察官、役所の公務員、自衛隊の自衛官。刑務所の教務官。彼らの行動は、誰かに価値をもたらすための行動なのだ。
ゆえに、医療機関はサービス業なのどある(詳細はは”ココ”をクリック)。
Serviceとはそういう概念なのである。
サービスとは、誰かが行動して別の誰かのための価値を生み出すこと(詳細は”ココ”をクリック)。
サービスは、無償奉仕ではない。寧ろ、適切な対価と行動を交換する事の方が一般的。
だから対価なしの残業を「サービス残業」と呼ぶことはサービスという言葉の誤用なのである。
サービスの本来の意味、ご理解いただけただろうか?
今回は以上。
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