ステファン・ロス他著『コーポレートファイナンスの原理』

米国でロングセラーのMBA向けファイナンスの教科書の日本語版。何度も改訂を経ているだけに内容も日本語訳も素晴らしい。

ただし、気楽な流し読みでは読者は何も得られないだろう。本文をゴリゴリの読み進み、練習問題をウンウンと唸りながら解こうとする。そうしてこそ本書の良さを体験できる。

全ての情報がそうであるように、本書も読者の現在位置によってその価値が大きく変化する。私『理屈コネ太郎』の意見では、本書が最も価値を発揮するのは、すでに社会人を10年以上経験し、お金の大切さと妙味に気付いている読者に対してだと思う。

本書はMBA向けファイナンスの教科書であるが、社会経験ある読者には、社会で起きている経済事象に対して理解し洞察する力を与えてくれると思う。

読者は企業の行動原理がある程度に推察できるようになる。

私はこの本の第6版に40歳くらいの時に出会った。

本書はその後の私の人生に大きな影響を与えている。折にふれ何度か読み直しているが、その都度大きな気付きを得られる。

ゴリゴリの勉強をいとわない中年にお奨めしたい一冊である。一巡目の通読(私には痛読であった)と練習問題は無茶苦茶きついが、きついと感じる読者に対してこそ、この本はその良さを発揮する本である。

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