ストレスフリー問診法① 特に初診時

本ページでは特に初診時において医師と患者の双方にストレスフリーかつ有意義な問診の手法について述べる。

いつものように以下は『理屈コネ太郎』の管見による私見である旨を銘記して読み進めて戴きたい。

さて、結論を先に述べよう。

診察中は、どのような患者に対しても、たとえ芝居してでも、患者に「この先生は柔和で受容的な人だ」と思われるような口調と態度で接すること。

そしてそのうえで、緊急でなければ、初診時の問診では患者の問題意識と希望を汲み取ることが出来れば十分であると心得よう。正確な病名は不要である。

汲み取るべきポイントは、①主訴とその程度、②患者自身の問題意識で受診したのか、③精査希望なのか取りあえずの対処法(経過観察も含む)を希望しているのか、の3点である。

ところで、現在も同様かは確認できないが、問診の際には医師の質問は出来るだけopen questionにするべきと一時期言われた時期があった。しかし、『理屈コネ太郎』は、これは間違っていると思う。

問診の際の、特に初診の場合の医師の患者への質問は、回答が”YES” or “NO” or “I DON’T REMEMBER” の3つに収束する質問であるべきだ。

closed questionでは患者が緊張してうまく回答できないという意見もあるだろうが、『理屈コネ太郎』はそう考えない。

医師の口調や態度が患者に対して柔和で受容的であれば、患者は緊張せずにclosed questionに回答してくれる。

柔和で受容的な態度と口調で、3点を知る為に端的にclosed questionで尋ねるのが、もっともストレスフリーかつ効率的な問診である。

もちろん患者には色々な人がいる。理知的で抑制的な態度の人もいれば、礼儀知らずで権利意識がつよく最初から喧嘩腰の人もいる。後者のような患者であっても問題が生じないくらいに柔和で受容的な口調と態度を身につけよう。

こういう患者の受診態度は医師が診察する範囲ではないのだから、直視する必要はないのだ。

たとえ医師の内心には怒りの炎が猛り狂っていようとも、医師はそれを出来るだけ患者に悟られないようにすべき。

なぜなら、患者に不快や警戒心を抱かせれば信頼関係を構築できず、会話が噛みあわなくなったりして、酷い場合には怒鳴り合いになったりして、患者も医師も余計なストレスを抱える事になるから。

柔和で受容的な口調と態度で患者に対して端的なclosed questionで訊ねる。ただし、中途半端にニヤニヤした表情は禁物だ。

もし患者の話が脱線しそうになったら、話の途中あっても柔和で受容的な口調と態度で話が脱線しつつある事を告げて、知りたいポイントを再度closed questionで穏やかに訊ねる。

カットインしても全く構わない、その方法が患者目線で柔和で受容的な方法であれば。

ここまで読んだあなたは、このやり方はストレス溜まるなあ~って思っているかも知れないが、さにあらず。

何十人も患者を診察するような外来だと、このやり方で診察するほうが、その日のトータルのストレスがもの凄く軽いのだ。

ストレスの原因が、患者・医師間のconflictによるものだとすれば、conflict極小化によるストレス低減効果の方が、医師が自らの口調や態度をコントロールするストレスよりも遥かに大きいのは道理である。

要するにこういうことだ。

医師はconflictの要因を絶対に作ってはならないし、患者が作るconflict要因に反応してはならない。

その上で、上記3点を端的に訊ねるclosed questionをすれば良い。

逆に言えば、上記3点を知る間だけ目の前の患者に対して柔和で受容的な口調と態度で振る舞えば良いのだ。

どうだろう?

このように考えると、平均して患者1人当たりの時間もストレスも相当に軽減できると思えないだろうか?

最初ななかなかやりづらいが、習い性になるという。最初は強い意識で行動することも、習熟すればいつのまにか無意識に出来るようになるものだ。

さて、問診は次の一手を決定するための言語的情報交換であることは論を待たない。そこで、次の一手を決めるための具体的な考え方については『ストレスフリー問診法②「特に初診時」の続き』を読んで欲しい。

若き医師達のお役に立てる事を願っている。

今回は以上。

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