ストレスフリー問診法③ 難聴高齢者の初診

以下はいつものように『理屈コネ太郎』の管見内での私見である旨をご銘記のうえ読み進めて戴きたい。

紹介状などの事前情報がない、難聴で会話が成立しない高齢患者の問診は困難を極める。本人が筆談できれば助かるが、しばらく文字を書いなくて筆談できなかい事の方が多い。

あるいは付添が同居人で確りの状況を把握していればその人の話を頼りにできるが、付添がいない、または居ても同居していなかったり患者への関心が全くなかったりすると問診は成立しない。

そういうわけで『ストレスフリー問診法① 特に初診時』で述べた3つのポイントを汲み取る事ができないことが難聴高齢患者の診察では高頻度で起きる。

今回はそういう場合の対処法について述べたい。

結論を先に述べると、視診とバイタルが年齢相応で重症感がなければ「ちかいうちに状況を理解している人と一緒にまた受診して下さい」と伝えて帰してよいと思う。

ここまでの判断と対応に決して必要以上の時間を投入してはいけない。患者本人と付添人にたいして、柔和で受容的な口調と態度で「現状では診察に必要な情報が得られません。本日拝見した限りでは今すぐに入院が必要という状況ではなさそうですから一旦お帰りになって、近日中に状況の分かる人と同席で受診して下さい」と伝えて、その旨をカルテに記載しておく。

この際、本日の付添人と患者本人との関係を必ずカルテにも記載すること。

どのような理由で前回の診察が不首尾に終わり、その解決策を誰に告げたのかを明文化して記録しておくのだ。

まとめると、高齢患者が難聴で会話が成立しづらく、付添人は患者に興味がない場合は、そうと判断した時点でそれ以上の問診は殆ど意味がない。無理に会話をしようとしたり、当事者意識のない付添人に質問しても、患者本人と付添人にストレスを与えて、かつまた待合室の他の大勢の患者の時間を奪うだけである。一旦患者を帰して、近日中に事情の分かる付添人と一緒に受診してもらおう。

今回は以上

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