問診を進めていくと、患者の話に一貫性がない場合がある。主訴が変わったり、その程度が変わったり、現病歴が変わったり。
こういう患者は、なにか特定の希望を持っている事がおおい。その希望に沿う発言を医師がするまで話を伸ばしているのだ。
『理屈コネ太郎』の経験で多いのが、ちょっと疲れたから点滴を打って欲しいのだが、それを端的に求めると保険診療のルールでは断られる事があるので、体調不良がある事を装って、医師が「じゃ、点滴でもやって帰りますか」と言いだすのを待っているのである。
次に多いのが、事後的な診断書の作成の依頼である。体調が悪く会社を休んだら、会社から医療機関の診断書を貰って来いと指示されたようなケース。
社員の自己診断で休みを認めず、事後的に診断書を医療機関から貰って来いと指示する会社も会社であるl
診断書は、医師の責任において記載するものだから、自分が診察していない患者の診断書は原理的に書きようがないのだ。
仕事を休んだ時の体調を診察したわけでもないし、勿論自宅療養を指示したわけではないので、仕事を休んだ理由となり得る診断書は原理的に書き用がないのだが、とにかく診断書を持って帰らないことには会社から叱られてしまうので、こういう患者は診察室でネバる事が多い。
①主訴との程度、②問題意識の所在、③患者の希望の3点において、イマヒトツ明解な回答がえられずに、話が二転三転するようなら、患者は特定の対応を希望しているのかも知れない。
そこで、患者の話がボンヤリしていて内容が二転三転するような場合には、③患者の希望を先ず患者に訊ねてもよいかもしれない。患者の希望が医学合理性のない点滴や、書きようのない診断書であるならば、柔和かつ受容的な態度と口調でその旨を説明してその旨を紳士的な態度で説明してお帰り戴くしかない。
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