ファーストライフとセカンドライフの違いとは?
「セカンドライフ」という言葉に合わせ、本ページでは便宜的にそれ以前の人生を「ファーストライフ」と呼ぶことにする。
ファーストライフは、人生の上り坂を駆け上がる時期である。学び、働き、夢を追い、社会的な目標に向かって前進することが生き甲斐になる。「何者かになりたい」「どこかにたどり着きたい」と、試練を経ながら努力を重ねる。ファーストライフのキーワードは「夢」だ。どんな夢を持つかが、その人生の質を決定づける。
しかし、いつかその坂を登り切り、「ここが自分の到達点かもしれない」と思う瞬間が訪れる。心身が壮年期の完成形に近づき、世の中の仕組みも理解できるようになると、人は自然とセカンドライフへと移行する。
セカンドライフは「逆算」の生き方
セカンドライフは、いわば人生の下り坂だが、そこには独自の楽しさが詰まっている。この時期の特徴は「逆算」という視点にある。ファーストライフでは時間を気にせず夢を追いかけたが、セカンドライフでは「必ず訪れる終わり」を意識しながら、今この瞬間をどう生きるかを考える。
「死」というタイムリミットを前提に、限られた時間の中で成長や楽しみを見つけ、充実した日々を送る。惰性で下るのではなく、「残り時間でどれだけ充実した経験ができるか」を試行錯誤するのが醍醐味である。したがって、セカンドライフのキーワードは「タイムリミット」だ。
こう考えると、死を恐れる必要はない。恐れたところで、わずかに先延ばしできる程度のことである。むしろ、タイムリミットがあるからこそ、日々を大切にし、喜びや感動を見出せる。ここにこそ、セカンドライフの生き甲斐がある。
ファーストライフとセカンドライフの「夢」の違い
ファーストライフの夢は、「時間を気にせず、自分の可能性を最大限に広げること」だった。一方、セカンドライフの夢は、「限られた時間の中で、自分らしく最大限に生きること」に変わる。この違いを意識することで、人生はさらに豊かになる。
また、ファーストライフで培った経験・知識・人間関係・危機管理能力を活かし、より現実的かつ合理的(あるいは、より壮大な)夢を再設定できるのも、セカンドライフの魅力だ。セカンドライフの質は、ファーストライフをどう生きたかに依存する。人生の上り坂も下り坂も、それぞれの景色を味わい尽くしたい。
セカンドライフに適応できない人もいる
ときどき、セカンドライフに入っているのに、ファーストライフの思考のままでいる高齢者を見かける。こうした人々は、頼まれもしない時代遅れのアドバイスを若者に押しつけ、貴重な時間を奪っているように思う。セカンドライフにおいて、若者にマウントを取る暇はない。ファーストライフで培った経験と知恵を活かし、残りの時間を最大限に楽しむことこそが大切なのだ。それこそ、死が明確に見えるその瞬間まで。
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