マイボートを買って後悔するとしたら、それはどういう場合だろうか。今回はその点について理屈コネ太郎の管見内の独断と偏見による私見を述べたい。
金額的な事柄ならば、価格や維持費などは事前に調べればかなりの精度で推定出来るので、この点で後悔する人はあまりいないだろう、
ボートオーナーが後悔するとしたら、それは事前に調べても実際にマイボートを運用するまで知り得ない事…に違いない。
結論を先に述べると、それは①購入したボートの海上での挙動や使い勝手が予想外である、または②故障や不具合への修理や改修に要する時間と費用…だと思う。
まず①について述べよう。
ボートの想定外の挙動とか使い勝手とは、オーナーの想いと船の特性との相性と言っても良いかも。
具体的には、船の海上での乗り味や挙動がオーナーの想定外にキツくてマイボートから足が遠のき、結局は船を手放すと決断をするケースが多いように思われる。
そう、マイボートを購入し後悔するのは、船の乗り味が思った以上に荒々しくて、想像していたような優雅で華麗なボートライフを送れなかった…という事が多いようだ(理屈コネ太郎調べ)。
ところで、小型船舶の乗り味は、サイズによっても、モーターボートなのかヨットなのかでも異なるが、共通しているのは航行中は非常に頻繁に上下方向(ピッチ方向)に揺れるし、停泊中はロール方向に良く揺れる。
ある程度の速度を出すと、ピッチ方向の揺れが大きくなり、船底が海面を叩く衝撃が乗員たちの足や膝や腰を直撃する。
30Ftくらいまでの船は、よほど波の無い日でなければ、未舗装路を空荷の軽トラックでワリと速いスピードで走るくらい、乗員のカラダに物理的な衝撃を与える…といえばわかり易いだろうか。
加えて、貨物船などの大型船が通過した後の曳き波は波高が高く、キチンと角度を付けて突入したり脱出したりしないと、ブローチング現象が起きるし、小さな艇なら転覆だってなくはない。
既述したように艇は停泊すると、ロール方向に大きく揺れるので、乗員たちは船内の移動する際には転ばないように何かを掴まなくてはならない。
要するに小型船舶は、航行中も停泊中も何等かの揺れが乗員を苛むのである。
35ftくらい未満の小型船舶では、船内でキラキラした雰囲気でお洒落に優雅な食事を楽しめるのは、マリーナに停泊中の、艇体が完全に舫を繋がれた時だけである。
よほど特殊なメカニズムを搭載しないかぎり、航行中や停泊中にキラキラ感あふれる雰囲気で優雅に食事をする事はできない。
余談だが、その特殊なメカニズムの代表的なモノに、ジャイロ効果を利用して船を安定化させたり、電子制御でトリムタブの角度を絶え間なく変化させる商品がある。詳細はココやココクリック。
ハナシを元に戻そう。
海上での荒々しい挙動という小型船舶の特性を、そうとは知らぬままに、海外のボート雑誌に掲載された素敵な船内の食卓写真を夢見てマイボートを購入すると、ボートの現実を知って「想像と違ってた。買って後悔したわぁ~」って気持ちになったりするらしい。
小型船舶の運用は、それ自体が重労働である。ポジティブに捉えればスポーツともいえる。そう捉えられない人にはいつまでたっても重労働のままだろう。
理屈コネ太郎の場合でいうと、Merry Fisher 895 Sport も Yamaha Festa31も、艇の海上での荒々しい挙動のために操船は常にスポーツと捉えている。
肉体の老いや劣化の速度を少しは遅くしてくれるスポーツと捉えているから苦ではない。
Merry Fisher 895 Sport は250馬力の2機掛けだから、20ノットはすぐに出るので、波による跳ね上がりとその後の海面へのハルの叩きの衝撃は結構大きい。
航行中は何かに捕まらなくては立ってはいられないし、三点確保を考えなくては船内移動はキケンかもしれない。スポーツである。
Yamaha Festa31はメインセイルのホイストがまず重労働だし、次に展開するジブセイルも右舷と左舷を行ったり来たりする必要がある。
セイルが風を掴んだら、シートを調節してより効率よく風力を推進力に変換できるようにシートをああだこうだと操作する。
帰港する時は、ジブセイルを巻き戻して(これも結構エネルギーがいる)、メインセイルを取り込むために、マストのそばまで移動してメインセイルを両手で手繰り寄せて取り込む。
こうした作業を全て揺れる艇の上で行うのだ。けっこうヒーヒー言ってしまう。スポーツである。
そしていかなる小型船舶の運用に共通していえるのは、離接岸時の操船にある程度の習熟が必要な事だ。
離接岸時の操船に習熟していないと、他人のボート(時に数億円だったりする)を傷つけたり、マリーナ施設を破壊したりするし、なにより自分の船なのにあまり乗る気になれなくなる。
あまり乗る気にならなくなると、持っててもしようがないから手放そっかなあ…との思いが頭をよぎる。
このような、購入以前には全く想定していなかったマイボートの海上での挙動や離接岸操船の難しさは、理屈コネ太郎の考えでは集中的な練習でかなり部分を克服できる。
また、マリン業界の電子機器の進歩は他領域のそれに負けず劣らず日進月歩である。最近行ったボートショーで走行中のボートのピッチングとローリングを軽減する機器(記述)を見つけて早速Merry Fisher 895 Sport に装着を依頼し、もうしばらくすると作業は完了しそうである。
理屈コネ太郎の個人的見解では、モーターボートやヨットの操縦はスポーツである。
だから、行うべき操作を戦略的に逆算的に組み立ててトライ&エラーを繰り返し、改善策を見つけてはPDCAサイクルを廻していれば、あるとき、地上でしか移動できなかった昨日までの自分が、ボートやヨットで海上を自由に移動できる存在になった事に気づく。
しかも自分1人で…である。
陸の束縛、社会の束縛から解放されたのだ。
この実感を掴んだ時、それはもうなんとも言えない不思議な気分だった。
幸い理屈コネ太郎は小型船舶の乗り味については、ボート購入以前からスムーズで安定しているとは全く思っていなかった。
舗装路を走るクルマやモーターサイクルでさえ、あれだけの体力と集中力を奪うのだ。ボートやヨットはもっと大変だろうと覚悟していた。
多少なりとも波のある水面を走るボートやヨットの乗り味が、スムーズであるはずがないと思っていた。
と、そんなわけだから、今のところ船を購入して後悔はしていない。
というわけで、これまでつらつらと述べてきたが、要するに小型船舶を運行するってことは、重労働なのである。それを、楽しいと捉えるか、苦役と捉えるかは、オーナーの想いと船の特性との相性に大きく依存するだろう。
さて、小型船舶を新艇で購入して運用しはじめると、必ずといっていい程の頻度で何等かの故障やトラブルを経験する。また、自分の体形や用途に合わせて船を改修する場合もあるかもしれない。
幸い、理屈コネ太郎の場合は、係留しているマリーナから2台の船を購入したので、修理復旧や改修に向けた対応は極めて素早いのだが、とはいえ、部品や技術者の都合がサクっと理屈コネ太郎に都合よく決まるわけではないので、理想に近い好条件であっても修理復旧には時間がかかる。
かかる時間が週単位なのは普通で、場合によっては月単位で船に乗る事が出来ないことはよくある。
せっかく船を購入して係留代も払っているのに、船に乗れない時間が長くなると、なんかお金がもったいないなあ…と感じて船の購入そのものを後悔してしまうケースもあるらしい。
理屈コネ太郎はボートやヨットに乗る事自体がすごく好きなので、修理の時間が長引いて乗れない時間が多くなると確かに苦しい。
ボートとヨットのどちらかだけでも乗れればよいのだが、両方とも乗れないって事がたまにある。
ところで、小型船舶はいつでも出航できるわけではない。別ページでも述べたと思うが、波が高かったり風が強かったりすると、出航できない。
1年のうち、だいたい3分の1くらい(理屈コネ太郎の肌感覚)は風や波のせいで出航できない。
たまたま風も波も穏やかで、日差しも申し分なくスカッと晴れた絶好の出航日和だし差し迫った仕事もない好日に、肝心の船が修理復旧や改修中で出航不可だと、悶々と苦しむ事になる。
こんな日に出航できないなんて! ってなる。
せっかくマイボートを購入しても、実際に出航出来る機会が思っていたより極端に少ないと、「なんだかな~、こんなことなら…」と後悔しがちな心理になる。
さて、ここらでこれまでの記述内容を含めて、後悔する理由を再度まとめてみたい。ボートを購入後に後悔するとしたら、
- 船の運用にまつわる重労働(優雅ではない)
- 出航可能日の想定外の少なさ
の2点に関連するような気がしている理屈コネ太郎である。
今回は以上。
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