ヨットの始め方が分かりづらい理由|“始めにくさ”の正体

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「ヨットって、どう始めたらいいの?」からの出発

ヨットに興味があっても、いざ始めようとすると、何をどうすればいいのか分からない——そんな「とっつきにくさ」を感じた人は少なくないはずです。
筆者・理屈コネ太郎もその一人でした。

今回は、筆者自身が還暦間近にヨットを始めようと決め、情報収集・中古艇の試乗・独学の決意に至るまでの体験をもとに、ヨットが“始めにくい”本当の理由と、それでも挑戦する意味について綴ってみたいと思います。


ヨットだけが未経験だった

ある日ふと思い立ち、動力船と並行してヨットにも手を出してみたくなりました。理由は単純明快——やったことがなかったから、です。

思い返せば、自分がやりたくて、かつやろうと思えばできる範囲のことの中で、未経験のままだったのはヨットだけでした。他の分野には本気で取り組み、「合う・合わない」を確かめてきましたが、ヨットだけは“空白”だったのです。


小型船舶免許はヨットに必要か?

小型船舶免許は主に動力船向けのもので、ヨットに特化した知識はまったく含まれていません。つまり、免許を取ったからといってヨットの操船ができるようになるわけではないのです。

それでも筆者は、独学でヨットを覚えるつもりです。それもシングルハンド(単独操船)を前提にしています。マリーナに居る“達人たち”から要所でアドバイスをもらいながら、自力で進めていく予定です。

実は、以前にウインドサーフィンを少しかじっていた経験があるため、「まぁ、なんとかなるだろう」という妙な確信もあります。


ヤマハフェスタ31との出会いと試乗記

「何か良い船ないかな…」とネットを探していると、偶然にもホームマリーナに関連する別のマリーナでヤマハフェスタ31が売りに出されているのを発見。即座に連絡を取り、現地・愛媛まで片道6時間かけて見に行きました。

マリーナには既に試乗の準備が整っており、筆者にモーターボートを販売してくれた営業担当と、地元マリーナの“主”のようなオジサンが同乗してくれました。

彼の指導のもと、機走・帆機走・帆走を瀬戸内の穏やかな海で一通り体験。これまでヨットについて持っていた無理解や誤解が、少しずつほどけていくのを感じました。

そして、確信しました。
「あ、これならやれる」——と。


新艇より中古艇?ヨット選びのリアル

今回のフェスタ31は1995年登録、28年前の艇です。けれど、ヨットは新しければ良いというものではない、という話を、大西洋横断レースに出た日本人スキッパーから聞いたことがあります。

中古艇は長年の使用のなかで不具合が出尽くし、適切にメンテナンスされていれば、かえって安心だというのです。ただし、それは“ちゃんと乗られていた艇”に限ります。

実際、筆者が新艇で所有している28フィートの動力艇では、意外と細かい問題が起きがちです。


初心者を遠ざけるヨット界の“専門用語病”

ヨットの世界は、ある意味で自ら“絶滅危惧種”を志願しているような文化圏に見えることがあります。

たとえば、初心者向けと銘打った入門書を手に取ると、導入や総論を飛ばして、いきなり専門用語のオンパレード
「ハリヤード」「シート」「アビーム」……説明もなしに飛び出してきます。

教育の定石では、まず「導入」で意味を与え、「総論」で全体像を示し、「各論」で詳述するのが基本です。ところが、ヨットのテキストの多くはこのステップを踏まず、“知っている前提”で話が始まってしまうのです。


日本の公教育とそっくりな“わかりにくさ”

この構造、どこかで見たことがあると思ったら、日本の公教育そのものでした。

中学高校で習う数学・英語・物理・古典——どれも導入がなく、いきなり定義や公式に飛び込まされ、「なぜ学ぶか」も、「どこに向かうか」も示されない。だから、大人になってから「使えなかったな」と感じる人が多いのではないでしょうか。

筆者の私見ですが、文科省の狙いは「短期間で秀才を選抜すること」にあるように見えます。だからこそ、“理解”よりも“暗記”が重視され、「唯一の正解」を求める傾向になるのです。


用語を日本語に訳してみたらどうか

ヨット界隈の人々は、ヨットの各部名称や操船用語を外来語のまま使い続けてきました
この習慣こそが、新規参入を遠ざけてきた最大の壁の一つではないかと感じています。

たとえば:

  • ハリヤード → セイル揚げロープ

  • シート → セイル張りロープ

…と訳してしまえば、初学者にもイメージが湧くでしょう。

医学や物理学といった西洋発の学問ですら、大学学部課程までの内容はきちんと日本語で教えています。ヨットの用語が日本語に置き換えられても、概念が正しく定義されていれば運用に支障はないのです。

それにもかかわらず、なぜヨットだけは頑なに外来語で通すのか?
筆者には閉じられた文化の自己保存のように見えて仕方ありません。


最後のスポーツとして、ヨットを選んだ

そんな“とっつきにくさ”がありながらも、筆者は人生の最終章のスポーツとしてヨットを選びました
挑戦する気持ちは十分にあります。でも、実際にやってみなければ分からない。
「自分には無理だった」と撤退するかもしれません。

けれど、それでいいのです。

風と海という、自然を相手に走る乗り物
そんな手ごわい存在に挑むのだから、やさしいはずがない。
ただ、難しさを“用語の壁”で倍加する文化には、少しだけ寂しさを感じています。


今はまだ準備段階|ヨットは瀬戸内に

現在、購入したヨットは瀬戸内海に係留中。
横浜ボートショーが終わったあと、4月中にはホームマリーナへ移動予定です。

実際に乗り始めるのは、まだ少し先の話。
その間に、読みにくいテキストを読んで、座学を地道に積み重ねていくつもりです。


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以上、今回の記事はここまでです。
読者の皆さんのなかに、同じような「とっつきにくさ」を感じた方がいれば、何かのヒントになれば嬉しく思います。

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