三部けい著『僕だけがいない街』全9巻の傑作漫画

三部けい著『僕だけがいない街』全9巻をご紹介する。間違いがあってもスルーでPlease.

本作はタイムリープモノで、主人公の記憶と意識だけが過去に戻って過去に介入して歴史を変更する。

この記憶と意識だけってところが、似た構造を持つ東元俊哉著『テセウスの船』全10巻(当サイト内当該頁を開く)と違うところ。

テセウスの船では、まるまる1人の人間がタイムスリップして過去に行く。そしてその過去には過去の自分が存在していて、同一時間に2人の同一人物が存在する設定となっている。

因みにタイムトラベル物語には色々な類型や議論があって、なかなか面白い。興味のある方はWikipedia当該頁(を開く)を参照のこと。

本作では過去にタイムリープしたあとに現代に戻る事もあれば、タイムリープしたままその時点から人生をやり直す事もある。

本作の主題は、主人公の想いと周囲の人の想いの2点だと『理屈コネ太郎』は思う。

物語中で主人公は、他者に何か不幸が起きる時、それが起きる前の時間までタイムリープして、その不幸を未然に防ぐことを何度も経験して来た事が明示される。

そして、主人公のその能力が、小学生の頃に発生した連続誘拐殺人事件についての記憶を封印した事と関係がある事も示唆される。

その連続殺人事件では、隣町の女児小学生1人と主人公のクラスメイトが2人も殺され、その犯人として逮捕され死刑確定になった人物が、彼に友達と交わる勇気を教えてくれた近所のお兄さんだった。

しかし主人公は真犯人は別にいると知っていた。なぜなら彼は、犯行不可能な時間と場所で近所のお兄さんを彼自身が目撃していたから。

彼は、小学生ながらその事を警察に訴えたがとりあってもらえず、2人のクラスメイトばかりか、近所のお兄さんまで失う事になる。

殺されたクラスメイトの1人は主人公に近い友人であり、もう1人は母親とその彼氏から虐待を受けていた事を誰にも相談できない孤独な女の子だった。

クラスメイトを2人も失う殺人事件と、その結末として逮捕されてしまう無実の近所のお兄さん。そして逃げおおせた真犯人はこれからもどこかで同じ犯罪を繰り返すだろう。

小学生当時の主人公のハートには悲しすぎる事実だ。

そして主人公は、意識的にこの事件に関する一切の記憶を思い出さないようにして、やがて年月を経て本当に思い出さないようになっていった。

そんな彼が、他人に不幸が起きるとき、その不幸の前にタイムリープして不幸を未然に防ぐ事が出来る‥という能力を獲得したのだ。

売れない漫画家がピザ屋でバイトをしながら生活している主人公が、ある事件の直後、これまでとはけた違いに大きなタイプリープをして、連続誘拐殺人事件発生前の小学生時代に意識と記憶が飛ぶ。

タイムリープした過去の世界で彼は不幸な事件を未然に防ごうとする。最初は孤軍奮闘であったが、彼の覚悟と行動に共感する友人達の援護を得て、次第に未来を変える事に成功していく。

真犯人と、主人公の長きにわたる対決が始まるのである。

以上。

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