伊丹敬之著『創造的論文の書き方』2001年

この書籍は、社会科学系の論文を書いたり、まとまった思索をするうえで大切なヒントを与えてくれる。

2011年4月ごろに入手して以来、何度本書を読みなおしたろう。読むたびに、己の至らなさや修正すべき個所が見える。この本からは大変多くのことを学んだ。朱でマークした箇所は数知れず。

たとえば、p.193に曰く
”文章に表現するという作業がついつい自己中心的になるのには、無理のない部分もある。
表現するということは、ある意味でつらいことである。自分の中身を他人と自分自身に見せる作業になってしまう。そして、自身の真の理解の程度を自分自身が知る作業になってしまう。
そのためであろうか、表現することは自己嫌悪との闘いにとなる”

私の場合、問題意識やKey Questionを先行研究から描出しようとする際に、自己嫌悪的な感覚を抱く。

「要するに私は、自分の独善を論文の形にして正当化しようとしているのでは?」なんて考えたりする。

思考や研究の対象に適切な距離感を持つことは難しい。対象に近づきすぎては、中立な立場を保てなくなる。遠くになり過ぎては見えなくなってしまう。

創造的論文を書くことは、とても辛い作業である。

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