船外機の出航前・帰港後メンテナンス|チルト・冷却水洗浄の手順

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船外機の出航前・帰港後メンテナンス|チルト・冷却水洗浄の手順

本ページでは、出航前と帰港後の船外機独特の作業についてまとめる。艇は海上係留とし、船内機艇にはほとんど言及しない。船外機ならではの手間や注意点を理解することで、適切なメンテナンスを行い、長期間の使用に備えたい。

なお、電源のオンオフ、暖気やクールダウンなどすべての推進方式に共通する基本的な手順については割愛する。


出航前の作業

  1. 船外機の位置調整
    前回使用時の後始末時にチルトアップした船外機の位置がから若干下がっている場合があるため、まずは船外機をフルアップにする。これは次のレバー解除をスムーズに行うために必要な作業である。
  2. 灰色のL字型の金具たそれである。この写真ではロックがかかっていて、船外機がチルトされた状態を維持する。

    チルトロック解除
    チルトアップした船外機が落ちないよう固定されているレバーを解除する。力の入れ方にコツがあり、不慣れな人は指を挟む可能性があるため慎重に行う。

    既述したように、エンジンをマックスにチルトアップし、このL字型の金具を解除する。これによる船外機がチルトダウンできる。
  3. チルトダウン
    金具を手で外し、船外機をチルトダウンさせて走行に適した状態にする。
  4. エンジン始動と冷却水の確認
    エンジンをかけ、冷却水(海水)が正常に排出されていることを確認する。

帰港後の作業

  1. エンジン停止と操舵メカニズムの洗浄
    エンジンを止めた後、露出している操舵メカニズムを真水で洗浄する。
  2. 船外機のチルトアップとロック
    船外機をフルチルトアップし、落下防止のレバーをしっかり噛ませる。その後に油圧シリンダーが完全に収納し、摺動部へのフジツボ付着を防ぐ。
  3. 冷却水径路の真水洗浄
    冷却水径路に真水ホースを接続し、海水が通過した冷却水径路を真水で洗い流す。洗浄終了後はホースを外し、元通りの状態に戻す。

複数機掛けの場合

上記の作業を、船外機の台数分繰り返す必要がある。例えば、2機掛けなら2倍、3機掛けなら3倍の手間となる。2機掛けの場合は、左右からアクセスできるため比較的容易だが、それ以上の多機掛けでは中央の船外機に手が届きにくく、作業が大変になる。


船内機艇との違い

船内機艇はディーゼルエンジンを採用していることが多く、冷却水径路が太いため、海水の塩分をそのまま排出しても問題がないとされている。そのため、帰港後に冷却水径路を真水で洗浄する習慣はほとんどない。

筆者のヨットも船内機ディーゼルエンジンを搭載しているが、冷却水径路のフラッシュ洗浄を実施したことはない。また、メーカー担当者の非公式な見解としても、冷却水径路の真水洗浄は特に推奨されていないとのこと。ただし、この点については自己責任で判断してほしい。


船外機を使用する場合、出航前・帰港後の適切な手順を理解し、確実に実施することが重要である。特に、チルトの調整や冷却水の洗浄を怠ると、エンジンの寿命に影響を与える可能性があるため、日常のメンテナンスを徹底したい。

因みに理屈コネ太郎の場合、こうした作業も、フネとなんとなく会話する時間として楽しんでいる。が、面倒と感じる人はそれなりにいる、

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