初めての伊豆大島単独行でブローチング初経験

2022年12月30日、初めて伊豆大島に単独行した往路で、ブローチングを初体験したので今回はそのお話。

伊豆大島は房総半島と伊豆半島の最南端同士を結ぶ直線上にあって、まさに外洋の玄関ともいうべき島である。この島には幾つかの漁港があるが、プレジャーボートに開放されているのは、伊豆大島の最南端に位置する波浮漁港だけ。

つまり、伊豆大島にプレジャーボートで行くということは、波浮港に寄港する事であり、波浮港に入港するためには、伊豆大島の最南端に回り込む必要があり、まさに外洋の肌触りを経験する事に他ならない。

よって東京湾のプレジャーボート乗りにとって伊豆大島行は、ひとつの力試し的な目的地になっている。

『理屈コネ太郎』はボート購入決意してから、可能な限り早期に伊豆大島寄港を実現したいと考えていた。

三浦半島にあるホームマリーナから波浮港まで直線で約24海里ほど。海況の安定した日ならばそれほど困難ではないだろう。

納艇日以来、①離接岸の技術向上、②ロープワーク技術の習熟、③GPS・レーダー・オートパイロット使用法の習熟、④出航の度に航海範囲を拡大する、の4点に注意した。

離接岸は右舷のみに絞り何度も何度も色々な角度からの練習をした。

ロープワークはクリートヒッチとバウラインヒッチの2つを左右の手で遣り込んだ。

GPSは縮尺変更時の表示内容の変化を、レーダーは目視との符合性を、オートパイロットは保針の正確さを、出航の度にアタマに入れた。

航海範囲はそれまでのGPSに残る航跡を参考に、出航のたびにより遠いところに行くようにして効率よく経験を積んだ。

風速も波高も高くない予想が出ていたその日の朝6時(以下、0600表記)に伊豆大島行を決定。マリーナ到着が0900、出航が1030頃だったと思う。

同予報では大島の南の海は西風とあったので、東京湾から伊豆大島西端を目指してひたすら南下し、島の西端をクリアした頃から徐々に東に進路を変更し西から波浮港に向かう。

道中、オートパイロットをつかって殆ど蛇行せずに進む。蛇行が無ければ時間も燃料も節約できる。

大島の南に回り込んだ頃から、海面の波長と振幅が大きくなり、ときどきバウが水面に刺さりそうになった。

今思えば、この時はブローチング現象が起きていたと思う。一回だけ全く舵が効かなくなり、横転しそうに感じた瞬間があり、とても恐怖心はあったが当時はあまり問題意識を抱かなかった。

無知は本当に恐ろしい。

とはいえ、もしこの時にブローチング現象が起きていると認識しても、最寄りの港は既に波浮港となっていた。

ところで、You Tube で大変興味深い動画を見つけたShip broaching to (youtube.com)是非参考にしてほしい。

一方、You Tubeで見つけた別の動画 J-Bay’s Surfer Boat (youtube.com)では斜め後方から追いかける波をエンジンパワーと巧みな操舵によってでサーフィンのように滑走し続けている。

ブローチングとサーフィンの違いは一体なんなのか? これは、理屈コネ太郎が最近根をつめて考えている事である。

いまの所の推理では、斜め後ろからの波に追っかけられても、サーフィンのようにバウの先に次の波の隆起がない場合なら、サーフィンの滑走を邪魔する水塊が存在しないので、船でサーフィンは可能だと思う。

一方、ブローチングが発生する現場では、ある一定の周波数と波長を持った波が一定領域の界面に展開されるため、仮に船をサーフィン状態に持ち込めたとしても、すぐ前方に隆起して出現する次の波にバウが刺さり海面をしゃくる。船は前後二つの波の谷底に横方向にはまり込む事になる。

その際、斜め後ろからの波が船尾を持ち上げて、船の自然回復力を上回ってしまった場合にCAPSIZEが発生してしまう…と理屈コネ太郎は今の所推測している。

ブローチングは船のハル長(艇長かな?)前後の波長の波が後ろから追いかけてきて船体の逃げ場がなくなり危険だが、サーフィンではボード長より何十倍も長い波長の波で行う遊びだから技術が十分であればサーフィンという遊びとして通じるのだと思う。

要点をまとめると、ちょうどハル長(艇長かも)前後の波長で高い波がブローチング現象を起こし、波長が長~い高低差のある波がサーフィンを可能にするって事かな。

さて、ハナシを大島行に戻すと、とにかく船が安定する速度や舵の角度を探しつつ気長に進むしかない。急ぐ道行ではない。場合によっては波浮港に一泊してもよいと肚を括った。

ラジオやブルートゥースで音楽を聴いたり水面のうねりを観察しつつ時間を潰す。

こんな時はGPSがありがたい。ゆっくりだけど確実に波浮港に近づいている事に確信が持てる。

そろそろ波浮港が視認できる筈の場所に来ても、なかなか港の入口は見えてこない。大島の岸壁に波が当たって砕けているのが見える。

周囲に漁船がいないのは年末(2022/12/30)だからか、もしかして海況が悪いからか?ちょっと不安。

そろそろ入港しますよーって波浮港にお知らせするために、電話をかけるが誰も出ない。そう、年末でもう休暇なのだ。だから漁船も出ていないのだ、と納得。

入港が近いので、それまで左右のエンジンを1本のレバーで同調制御していたのを、2本レバー制御に変更する。左右のエンジンを別々に制御すると、狭い場所での転回が格段にしやすくなる。

舵(船外機船なので正確にはエンジン)がよほどの反対方向でなければ、船首を左に向けたければ右のエンジン回転数を上げるか、左エンジンの回転数を下げるか逆回転させるかすればよい。船首を右に向けたければその逆の行動をとればよい。

この操縦性を目的に『理屈コネ太郎』は2機掛けの船を選んだと言っても良い。

バウスラスターも併用すると、デッドスローでの自由度が劇的に高まる。マリーナのゲストバース前で、離着岸に関連する様々な実験をした。

風と潮を読んでエンジン一機掛けでバウスラスターのない船で巧みに離着岸をする熟達者もいるが、『理屈コネ太郎』がそのレベルに到達するのはもっと将来の事だと思う。

さてGPSを頼りにゆっくり進むと、水源に向かって右側の堤防の先端が見えてきた。

左の堤防は見えてこないので、左堤防との衝突を回避するためにすこし右堤防に寄り気味にしてゆっくりと舵を左に切るが船首が左に向かないし、おかしな感触が手に伝わってくる。

レバーをニュートラルにしてもいきあしで右防波堤が確実に近づいてくる。

一瞬「え、もしかして故障?やばいぶつかる!」と思い、とにかく衝突回避を目的に両エンジンを逆回転させていきあしを殺してから船首を左に向けるために右エンジンだけを順回転にしてガっと回転数を上げた。

すぐに船首が左に向いてくれたので、左エンジンも順回転にする。堤防との距離が開いた。

エンジン2機掛けのお蔭である。

するとすぐに水源に向かって左の堤防が見えたので、船首が湾奥に向かうように左右のエンジン回転数を調整する。

堤防との衝突を回避して船首が安定して湾奥に向いたころ、ようやくオートパイロットをキャンセルし忘れていた事に気が付いた。

オートパイロットをオフにすると、舵はいつもの機能と反応に戻った。

「あー、よかった!」

これからは、オートパイロットのオンとオフについて明確に意識しようと決意した。

波浮港では先に伊豆から来ていた見知らぬ大先輩がロープを受けてくれて無事に接岸。

一息ついてから、風速風向と波高の予報を考えて計算すると、島の東側を通る経路なら、今からでも遅い速度でもマリーナの営業時間内に帰港できると判断し、帰途につくことにした。もちろん燃料も十分ある。

ロープをとってくれた大先輩にお礼を言って離岸し、波浮港を出てからエンジン制御を別々制御から同時制御に変更しオートパイロットをオンにする。

そうだ、これからエンジン制御設定の変更の度にオートパイロットのオンオフを確認しよう。

島との距離を必要十分程度にとりながら東北東に進路を取るようになると波高が低くなり速度が出せるようになってきた。

北上するほどに次第に速度が出せそうな海況。目視では全く、レーダーに殆ど船影はない。十分に安全を確認しつつ次第にエンジン回転数を上げていく。

みるみる大島が後方に去る。エンジントリム角度やトリムタブを調整しながら快適に走れる設定を探る。

船が25ノットくらいで水面と並行に近い角度で走れる設定を見つけたので、その設定で行くことにした。

午前中は曇りがちだった空も、次第に晴れ間が多くなり、午後の柔らかい日差しが冬の澄んだ大気に柔らかく広がる。

島の南西側のあの海を体験した同じ日だとは思えないくらい、安定した帰路だった。

帰路での事件といえば、フェンダーをひとつ紛失したこと。

波浮港で接岸する際にフェンダーの高さを調節したのだが、その時の結び方が悪かったようで、風に吹き飛ばされてしまったようだ。

幸い、マリーナ営業時間内に帰港できたので、慎重に接岸して新しいフェンダーを1つ買い入れた。

今回の大島行からは非常に多くの反省点を得た。ひとつひとつ改善してますますボートライフを楽しみたいとおもった。

今回は以上。

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