初めてセイリングを楽しめた

タックの際にセイルが左に振られている

セイリングを初めて楽しいと感じたので、今回はそのご報告。ちなみに、折り畳み式ウインチハンドルを装備して初めてのセイリングでもある。

全てにおいて無理をしない。新しい事柄に一切チャレンジしない。今持っているスキルと集中力の6割くらいでセイリングをすると、とてもとても楽しかった。

いや逆だな。

持てるスキルの6割程度で31Ftヨットをシングルハンドで操船できるだけの技量が身に付いたからセイリングを楽しめたのだと思う。

思えば、2023年GWの最中に私の手元にきたヤマハFesta31に独学で乗り始めた当初は、もう一台の愛艇である船外機艇とは違う舵の効き方に戸惑い、またバウスラスターが付いていないこともあり離接岸も覚束なかった。

恥ずかしながらハリヤード(帆を上げるためのロープ)とシート(帆に下方向のテンションを掛けるためのロープ)の区別すらついていなかったし、その名称すら知らなかった。

持っていた知識といえばずいぶん前に少しかじっただけのウインドサーフィンで培った、セイリングに必須の風向きとセイル角度と艇の進行方向の関係性の知識だけ。

ウインドサーフィンでは、セールは一枚しか使用しないが、マストが自由自在に動く構造ゆえに、セイルが動く範囲が非常に広い。

ヨットでは120度くらいの角度しかセイルは左右に振れないが、複数枚のセイルを同時に使用する事が出来る。

ようするに、風向とセイル角度と進行方向の関係性に関していえば、ウインドサーフィンの方がヨットよりも対応範囲が広い。

故に、ウインドサーフィンで風向きとセイルの角度と進行方向の関係性を理解していれば、ヨットでのセイリングへの応用はそれほど困難ではない。

それからもう一つ、ウィンドサーフィンではセイリング中は体で風向を察知する。つまり、風向風速計がなくても、ヨットでのセイリングが可能である事も教えてくれた。

ヨット関連書籍を読み、セイルではジブとメインとジェネカー、構造物ではマストとブームとステイ、ロープではマストの中を通るジブ・メイン・ジェネカーのハリヤード、ブームとメインシート、ジブとジブシート、ジェネカーとジェネカーシートなどの関係性を出来るだけ理解した。

You Tubeでは何度も何度も繰り返し動画を見て、タックやジャイブの際のジェネカーシートの操作を学んだ。(ヤマハフェスタ31にはセルフタッカーが装備されていたのは助かった。

何度も紙にジブとメインとジェネカーの上げ下げの段取りを描きだし、イメトレし、実際に艇にのって実践した。

シングルハンドでは、オートパイロットを上手に活用する事がひとつのキモである。直進する際にはオートパイロットがあるおかげで周囲の他の船舶をwtach しやすくなるし、危機予知可能性も高くなる。

メインやジブを上げ下げするときには艇を風に立て続けるのに役立つし、ジェネカーを上げ下げする際には、風に対して艇を一定の角度に維持するのに役立つ。

だから、オートパイロットの操作にも熟達する事が必要になる。

とはいえ、オートパイロットは別にオートパイロットである必要はない。大切なのは、艇の進路を一定時間一定方向に維持する事なので、ぶっちゃけ適当な長さの棒でティラー舵を直進方向に固定できれば、それだけで十分に用が足りるのである。

進路を変更したいときは、棒を外してティラーを手動で操作して向けたい進路に船首を向け、再び棒をティラーにセットして進路を維持すればよい。

そんな気づきを織り込みながらPDCAサイクルを何十回と回した。

そうすると、2023年内には、気象条件さえ整えば、ジェネカーを1人でホイストしてセイリングして取り込むところまでできるようになった。(再ホイストいまだ挑戦中)

とはいえ、ジェネカーのホイストと取り込みはシングルハンドにおける一つの大きな壁であり、この壁を超えるにはそれはそれで一回ごとに新な工夫を加えたPDCAサイクルをそれなりの回数まわす必要があるだろう。

というわけで、ここでいったんジェネカーについての訓練は棚上げにして、すこしノンビリとセイリングしてみたくなった。

そんな気持ちでいた某日、丁度よい気象条件の日があってので、さっそくヤマハフェスタ31にのって海にでた。折畳み式ウインチハンドルの操作感も知りたかったし。

平日の朝8時頃は船も少なく、ゆっくりマイペースでセイリングをすることができた。特に難しい事はしない、まずメインセイルをホイストし、もっとスピードが欲しいと感じたのでジブを展開した(愛艇のジブはファーリングジブである)。

エンジンを切ると、波が船底を叩く音と風の音しか聞こえない。この日は本当に調子よかった。

あっちに行こうと思ってあっちに船首を向けて、セイルを見上げて、即座にそれなりにセイル調整が決まる感じ。

こっちに行こうとおもってこっちに船首を向けると、同様にセイル調整が決まる。

風上にも、風下にも、今までにない自由自在感を感じる事が出来た。

ヨットマスターたちが海上でヒラヒラと遊んでいるような、そういう操船を私もできているだろうか? 

たぶん、まだまだだろう。

ジブとメインでノンビリセイリング
ノンビリセイリングを楽しむ

ヨットという乗り物は、セイリングという行為は、穏やかに楽しく遊べる事が出来るのだなあ…と初めて知った日だった。

「地球に遊んでもらう」…マリーナで出会った見知らぬ人に教えてもらった言葉だが、この感覚のほんの端っこを少し掴んだ気がした。

これまでは、乗船事に何かの課題に取り組んで、何かの問題をクリアする事を目的にしていた。

それはそれで楽しい。ただ、その楽しさは自分の能力の限界を『状況』が超えてしまうかも知れないという一抹の恐怖感が常に付きまとっている。

いまやっと、ヨットで楽しく無邪気にセイリングを楽しめるところまできた。これからは、この状態を色々な事象下でも維持できるように、ヨットに乗る頻度を上げて行こうと思う。

愛艇にもっともっと体を馴染ませたい。また、私の体に馴染むように愛艇に改修も加えたい。

長期間航海もできるように、艇内を整理整頓できるようにしたい。

まだ東京湾を横断していないし、もちろん外洋に出てもいないけど、そういう夢想をワクワクしながらできるようになったのは、やっとセイリングが楽しいと思えるようになったからだろう。

今回は以上。

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