大腸内視鏡挿入法のヒント⑧ 達人の挿入法を無暗に真似しない

大腸内視鏡挿入法上達のヒントとして、初心者は無暗に著名達人達の挿入法を真似しないほうがよい…ということについて本ページで述べる。

以下、『理屈コネ太郎』の管見での私見である事を銘記のうえ読み進めて戴きたい。

大腸内視鏡の挿入手技はなかなかに習得が難しい。そのため、数多達人たちによる挿入法に関する書籍や動画が多数発信されている。そうした情報の殆どには、恐らく編集サイドからの要望なのだろう、挿入法について○○○挿入法といった名称がつけられている。

大腸内視鏡初心者の諸君にあっては、こうした名称つけられた挿入法に拘る必要は一切ないと『理屈コネ太郎』は思っている。

○○○挿入法と呼ばれるものは、膨大な経験の蓄積によって到達した領域の手技であり、○○○挿入法を提唱しているご本人も初心者の頃はそうした挿入法は実践できなかったはず。

つまり、○○○挿入法というものは、ある一定の水準に到達した内視鏡医がその更に上のレベルのスキルを追及した結果として見出した非常に高度な挿入法なのだ。

だから、初心者が真似するのは無理があるのである。

初心者はまず、解剖学の知識を総動員して、Ptの体内における腸管の走行とスコープの関係性をスコープの右手に伝わる感触から想像する事が重要。

そして、抵抗を感じないで次の菅腔を、プッシュ、プル。ジグリング、送気、吸引、送水(横行結腸くらいまでは真水がおススメ)、スコープにトルクを掛ける、スコープをローテイト、用手圧迫、体位変換などの操作を次々に戦術的に繰り出して見つけ出す事に注力しよう。

こういうトライをしていると、プルしているのに視野が近づいてきたり、プッシュしているのに視野が遠のいたり、そのままだと腸管がたわんでしまうのにスコープにトルクをかけながらプッシュすると調子がよかったり、スッコープをローテイトしながらプルするとスコープ先端位置はそのままなのに肛門から口側のスコープ長を短縮できたり、様々な現象に出くわす事になる。

こうした様々な現象を必ず検査終了後に自分で言語化して日記をつけておこう。そうするうちに、こういう状況でこういう操作をしたらこうなる的な法則めいたものが見えてくる。

こうした法則を次の実践で検証して確認していく。このサイクルがある程度出来るようになったら、挿入に関して”平均的”な内視鏡医にはすぐになれる。

『理屈コネ太郎』の周囲では、速い人で50症例くらいから、考え過ぎな人でも100症例くらいから格段の成長をみせて盲腸までの到達率が物凄く向上する時期を迎えるようになる。

こういう時期を迎えてから、先達が見つけた○○○挿入法にチャレンジすればよいと思う。

今回は以上

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