客の心得③ B2Cの現場の歪み

日本のB2Cサービス業の歪みを目撃したので、書いてみようと思う。

『理屈コネ太郎』が勤務する医療機関に、50代のコンビニオーナーが受診した。この受診者は、日本最大手コンビニフランチャイズ事業者と契約して店舗を運営している。

諸検査の結論として、この受診者は入院による加療が必要だった。

しかし、人手不足を理由にどうしても入院できないという。

店を数日閉めたらどうかと尋ねたら、それは本部が許してくれないとの事だった。同席していた奥様も同意意見。

この状態では売り場に立てないでしょうと言っても、バックヤード業務が山ほどあって自分以外に出来る人がいないとの事。

この受診者の病気は適切な治療をすれば薬である程度は治るが、運悪く悪化すると大腸に穴があき、糞便が腹腔にまかれて腹膜炎を起こす。

その場合は緊急手術で人工肛門を造設することになるし、入院期間も長くなる。

だがそれも間に合えば…の話しである。深夜に穿孔して、救急車に来てもらっても近隣の病院がoff dutyであったり、別件で緊急対応中であったりすれば、治療の機会を逸失しかねない。その場合、落命もあり得る。

それでもいいのですか…と尋ねても、やはり本部が許してくれないとの事。それにお客さんに迷惑かけられないし…って。

日本のB2Cサービス業の歪みだ。

結局その受診者は奥様に連れられて自宅に帰っていった。暫くは、毎日点滴で通院してもらう。

『理屈コネ太郎』は複雑な想いだった。こういう勤勉な人のおかげで私の毎日の生活が便利に成立している。しかし同時に、いまのこの受診者の状況はあまりに無茶だと思う。

きちんと弁護士をたてて法的合理的に話しあえば、このコンビニご主人夫婦には別の選択肢だって見えたとも思う。

生命のリスクを冒してまで守るべき業務契約は存在しないはずだし、もし存在していたとすれば違法性が高い。

なんともやるせない気持ちだ。

『理屈コネ太郎』はこれまで、大晦日や元旦、休日、祝日、コロナ禍にあっても営業してくれていたこの大手コンビニチェーンのスタッフには敬意を払ってきた。

支払も丁寧に渡し、苦情の類などは全く言わないようにして来た。いつも有難うと声には出さずとも思ってきた。客の心得だと思ってきた。(当site内『客の心得』『客の心得②』を参照)

しかし、それは客対店の次元では善であっても、客、本部、現場というもう少し大きな枠組みでみたらおまり正しくはないのかも知れない。

日本のB2C事業、もっと言っちゃうと日本の低生産性の歪んだ闇は深い。

今回は以上。

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