人生100年時代と長寿社会が言われるようになり、セカンドライフが注目を集めている。しかし、単なる一般論だけではなく、消費者が直面する現実的な課題や、業者の提示する情報に隠れた問題点を見抜く能力が求められている。本エッセイでは、セカンドライフを成功させるための健康、資金計画、趣味、ライフスタイルの変化について、業者の広告情報よりも一歩踏み込んで考察する。
健康維持と長寿社会への適応
セカンドライフを楽しむためには健康が基本である。健康寿命を延ばすためには、日常的な運動や食生活の見直しが重要とされるが、実際には「シニア向けフィットネス」や「介護予防プログラム」に関する情報が過度に商業化されている側面もある。たとえば、特定のサプリメントや高額な健康機器が必要だと宣伝されることが多いが、そういうモノは殆ど科学的エビデンスがなく、不要なものだ。身体能力の維持は、日々のウォーキングなどの軽い運動やストレッチや柔軟体操など、家庭でできる簡単な事柄で十分な効果を得られる場合が多い。
さらに、心の健康も見過ごせない。社会とのつながりが重要と言われるが、地域活動や趣味の選択肢が限られている地域では孤立感から寂寥感が生まれる場合もある。だからといって、無理にコミュニティーに参加する必要はない。別のページでも述べた通り、退屈さえしなければ孤独など殆ど問題にはならないのだから。
老後資金の計画とリスク管理
老後生活を楽しむためには、資金計画が欠かせない。最近、多くの業者がリバースモーゲージの有効性をとなえるが、この金融商品には消費者が見過ごせない重大なデメリットが潜んでいる。一度家を担保にすると、引っ越しや住み替えが難しくなるだけでなく、家を失った後も家賃を払い続けなければならないケースが一般的である。たとえば、金利上昇や不動産価値の下落により返済負担が増加するリスクがある(出典:みずほ銀行)。さらに、相続人が返済義務を負う場合があり、家族間でトラブルが生じるケースも報告されている(出典:PMAカンパニー)。
また、年金以外の収入源として資産運用を進める人が増えているが、高額な手数料がかかる商品やリスクの高い投資には注意が必要である。特に、近年では高齢の個人投資家が増加しており、60歳以上のシニア層が投資家の過半数を占めている(出典:マネックス証券)。さらに、シニア世代の投資は、若い世代の資産形成とは異なり、リスク管理や資産保全が重要視されている(出典:ダイヤモンドオンライン)。
それに、そもそも「自分の家」にするために一生懸命に住宅ローンを支払って完済したのに、その家に家賃を支払って住み続けるのはいかがなものだろうか。しかも引っ越しの自由も制限されたりする。
要するに、リタイアメントプランを考える際には、現実的な生活費の見積もりが必要である。「老後破産」という言葉が象徴するように、収入と支出のバランスを誤ると深刻な問題を招く可能性がある。たとえば、高額な旅行や過剰な消費に注意し、楽しみと節約のバランスを取ることが肝要である。
趣味と生きがいの本質
セカンドライフの充実には、趣味や生きがいが重要である。しかし、「生涯学習」や「趣味探し」のプログラムには、多額の費用を伴うものも少なくないし、業者や役所が提供するものに愉しいものなどあるだろうか。
新しい趣味を始める際には、必ずしも専門的な指導が必要でないケースも多い。たとえば、サーフィンやSUP、楽器演奏は独学でも十分に楽しめる活動であり、経済的な負担もそれほど大きくない。
また、ボランティア活動を通じて地域社会とつながることが推奨されるが、自分の得意分野や興味に合わない活動に無理に参加するのは逆効果になる場合がある。ボランティアとは無償とゆう意味ではなく、自発的という意味の言葉である。自分がやりたい、自分に合う活動を見つけるためには、フルコミットメントする前に、まずは小規模なイベントや短期間のプログラムに参加し、徐々に自分の希望にフィットするものを探し出す事が重要である。
業者や行政が仕立てたプログラムに乗る事を決して否定はしないが、自分の人生だし自分の時間である、自分でセカンドライフや老後のやりたい事を見つけ出す、作りだす工夫も大切かも。
ライフスタイルの変化と新しい選択肢
住まいに関する選択肢も重要な課題である。多くの人が定年後に田舎暮らしやUターン移住を検討するが、これには隠れたコストや不便や地域住民との軋轢が伴う場合がある。たとえば、医療施設へのアクセスや交通手段が十分でない地域では、長期的に生活の質が低下するリスクがある。
また、「シニアシェアハウス」のような新しい住まい方も注目されているが、まず大体は上手くいかないようだ。若いころから姉と妹のように交流してきた女性同士が、たまたま同居生活をうまくこなせる場合があるが、大抵は上手くいかない。
しかしそれでもやって見たい場合は事前にルールや共生のメリット・デメリットをよく確認する必要がある。共有スペースの利用やプライバシーの確保といった点でトラブルが発生するケースもあるため、自分に合った環境を慎重に選ぶことが求められる。
終わりに
セカンドライフは、健康、資金計画、趣味、ライフスタイルといった多くの要素が絡み合う時期である。しかし、一般的な情報に頼るだけでなく、現実的な課題を見極め、自分自身のニーズに合った選択をすることが、充実した老後を送るための鍵となる。いろいろと交絡する要素を丹念に考えて作り上げるには、それまでに培った知恵や能力がモノをいうだろう。人生100年時代(最後の20年は他人に頼った生活になるだろうが)において、セカンドライフは単なるそれまでの延長線ではなく、セカンドライフ以前に培い磨き抜いた智慧と価値観を土台とした自由と選択肢に満ちた新たなステージであるべきである
今回は以上。
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