医療機関に対する不満はダントツで長い待ち時間である。しかし現状では、この長い待ち時間を解決する手立ては殆どない。換言すれば、長い待ち時間を受容しなければ受診の機会を失う…という事。
このどうしようもない長い待ち時間について、私『理屈コネ太郎』の知るところ、考えるところをまとめてみる。
医療機関での待ち時間の原因は主に3つ。第1は医師や看護師の数に対して受診者数が多いこと、第2は医療機関が予期せぬ緊急事態に対応しなくてはならないこと、第3は医療提供体制のICT化の遅滞、である。
決して、医療従事者が怠惰で時間にルーズだから受診者達を待たせているわけではない。もとより、これら3点は簡単に解決できる問題ではないので、今後も10年位は受診者は待合室で長い時間すごす事を余儀なくされそうだ。
ところで第1の診療者の数の多さについてはタルコット・パーソンズが『社会体系論』(←当サイト内関連頁を開く)で提唱した”病人役割”が良い説明モデルを提供してくれると思う。パーソンズによれば、社会は受診者を増やすメカニズムを内在していることになる。
第2の緊急事態への対応は、これはもう仕方ない。
改善すべき点があるとすれば、待合室で待っている受診者達が、今どういう理由で診療が遅延しているのか、如何なる理由で待たされているのかが分かるような方法が採られてしかるべきだとは思う。
第3の医療提供体制のICT化の遅滞についてはそれなりに解決策はあると思う。ただ、簡単ではない。電子カルテが日本の医療に導入されて久しいが、いまだに強烈に使い勝手が悪い。導入当初は使い勝手の悪さから日本中の医療機関に混乱が発生した。この時の混乱に懲りて,ICT化に否定的な医師も少なくない。
受診者からの苦情に、医師がパソコン画面ばかりみて受診者の顔をみない…みたいなのがある。だって、電子カルテの画面って本当にわかりにくいのだ。
フロントエンドエンジニアと医療従事者の意思疎通ができていないせいだろう。医師の業務を知悉するフロントエンジニアは皆無だし、エンジニアに近い知識を持つ医師は極めて少数だ。
なにより、健康保険証にICチップを導入できていない日本国なのである。
バーコードやQRですら導入できていない。病院の待ち時間の長さや医療機関のせいだけではないのだ。日本の医療制度そのものICT化に乗り遅れているのである。
どうしてこんな事が起きるのか。じつは、私もわからない。運転免許にすらICチップが入っているのに、健康保険証に導入されない理由はなんなのか?
とにかくなんにでも反対する人は何処にでもいるから、そういう人達のせいでICチップ化は出来ないのかも知れない。
断言するが、現代の標準的で安定的でセキュリティーバッチリな情報技術で日本の医療提供体制の仕組みを再構築したら、待ち時間は半分以下に減る。
身近な例でいえば、高速道路料金所のETC化の、それ以前と以降を思い出してみればお分かりいただけるはずだ。
通行料を計算して支払しておつりを渡す。この手間を情報技術が一気にコンマ数秒に短縮した。
医療にもそういう事が可能な余地が沢山残されているのだ。
と、そういう事を書いていたら、数年後に健康保険証にマイナンバーがヒモ付される事になったとの報道があった(2020年11月25日時点)。
保険者側の名寄せはこれで格段に楽にはなるが、医療機関には恩恵が少ないと思う。
でも、ヒモ付しないよりはbetterだとは思うけど。
今回は以上。
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