胃内視鏡のヒント③ 出来るだけ生検しよう

以下、いつもの通り『理屈コネ太郎』の管見による私見である旨をご銘記のうえ読み進めて戴きたい。

消化器内視鏡検査全般に言える事であるが、何等かの粘膜異常がみられたら、施設の方針と矛盾しない限りは出来るだけ生検した方が良いというのが『理屈コネ太郎』の考えだ。

その理由は、私達医師は比較的頻繁に職場を移動するから。

ずっと定年までひとつの職場でほぼ毎日勤務するのであれば、内視鏡検査における肉眼初見で診断して、不要と思われる生検はしなくてもよいだろう。

しかし、肉眼的に良性であっても、病理学的に悪性であった…!というケースを経験することは稀ではあるが、それなりに症例数としてはある。

では、自分が去った後の医療機関で、何年も前に自分が肉眼的に良性と判断して生検しなかった病変が悪性と診断されて過去のカルテを見返す必要性が何等かの事情(たとえば訴訟などで見落としを疑われて)で生じた場合、残された人達が抗弁する根拠が退職した内視鏡医の肉眼診断だけしかないのは申し訳なくはないだろうか。

もし生検して病理学的に良性であると報告されていたなら、それは見落としではないと残された人達が抗弁するひとつの大きな根拠になるだろう。

もちろん、病理学的診断も完璧ではないが、それはそれで別のハナシであるし、なにより内視鏡医の業務としては完結していた事は証明できる。

ところで、生検したらその病理結果は必ず確認しよう。それがバイト先のクリニックでもお願いして見せてもらおう。肉眼所見と病理報告の突き合わせは物凄く勉強になる。

そういう作業を繰り返すうちに、本当の意味で肉眼診断が出来るようになってくる。自分自身でそのレベルに到達したと思うなら、自分の責任において不要な生検をしない判断が出来るようになるだろう。

さらに生検という手技は、とくに狙撃生検は、すべての内視鏡的検査や治療の基本的な技なので、新人内視鏡医には出来るけ早く狙撃生検に自信を持ってもらいたいという理由もある。

ただし、指導医によっては新人内視鏡医にも「無駄な生検はするな!」って事を指導する先生もいるだろうから、そこはケースバイケースで宜しくね。

以上。

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