近年、港や造船所で本来は船内機(シャフト)仕様の艇体に船外機艇へと仕様変更している船を多く目にする。この現象は、船内機から船外機への換装が増えていることを物語っている。なぜこのような変更が行われているのだろうか。
船内機艇は、エンジンが船底に設置されており、重心が低いという利点を持つ。この設計は安定性や走行性能の向上に寄与するが、エンジンが故障したり寿命を迎えた際の換装には多大な手間とコストがかかる。
配管や配線を外して、エンジンを船体内部から取り出す必要があり、その作業は通常、専門的な設備を必要とする。また、船内機用のディーゼルエンジンは船外機に比べて高額な印象があり(間違ってたらごめんなさい)、換装の工賃も船内機の特性などを考えると高額になりがちである。
一方、ハル(艇体)に大きな損傷がなければ、シャフト孔を閉じてトランサムを強化し、船外機仕様に改造することが合理的だと考えられる。
船外機はその設置の容易さが大きな魅力である。取り付けや交換が比較的簡単で、費用も抑えられる。そのため、古い船内機艇を船外機仕様に変更する動きは、コスト削減と効率化の観点から一定の合理性がある。
とはいえ、船内機艇はもともと船内機を搭載することを前提に設計されている。船外機への改造は設計思想に反しているとも言えるし、船体全体のバランスや性能に影響を及ぼす可能性も否めない。
また、船内機には船外機にはない重心の低さや燃費性能の良さなどの利点もあるため、エンジン換装の際に船内機を採用し続ける方が、設計者の意図を尊重するという意味では望ましい選択肢かもしれない。
それでも、色々と考えた末に船内機艇を船外機仕様に変更しているケースを見ると、比較的小型の艇においては船外機仕様への変更が良い選択肢となる場合もあるのだろう。こうした改造は、コストや作業効率を重視する現実的な判断と言える。
あとは、艇の構造にかかる法律の問題かな。これをクリアする金額も要考慮だし。
今回は以上とする。