本記事では、船外機の2機掛けと1基掛けについて、そのメリットとデメリットを比較する。ここでの比較対象は、船外機同士の構成に限っており、船内機や他のエンジンタイプとの比較ではない点に注意していただきたい。また、あくまで理屈コネ太郎の管見内の独断と偏見による私見である旨もご銘記いただきたい。
メリット
安全性の向上
2機掛けの最大の利点は「安全性の向上」である。近年の船外機は非常に信頼性が高く、1基掛けでも故障による推力喪失のリスクはかなり低い。しかし、万が一のトラブルが起きれば移動手段を失う可能性がある。2基掛けであれば、一方が故障してももう一方で航行が可能であり、緊急時には岸に戻るための余力が確保できる。このため、外洋航行や長距離クルーズでは2機掛けがより安全な選択肢と言える。また、負荷が2基に分散されるため、エンジンの寿命が延び、メンテナンス頻度も軽減される。
加速力と推力の向上
2基掛けにすることで、加速力や推力も向上するが、2基にしたからといって推力が単純に2倍になるわけではない。実際には約1.7倍にとどまる。これは、2基が同時に稼働する際にエンジンの水流が互いに干渉するためである。例えば、400馬力の1基掛けと250馬力の2基掛けを比較すると、推力面でほぼ同等とされる。とはいえ、2基のエンジンで加速がスムーズになるため、重い船体での加速性能が向上する。
小回りの良さ
2基掛けならではの「小回りの良さ」もメリットのひとつである。低速(デッドスロー)で航行中に左右のエンジンのプロペラを逆回転させることで、その場で船体を旋回することが可能である。この機能は1基掛けでは実現できないため、狭い港内や限られたスペースでの取り回しに優れた操舵性能を発揮する。
カッコいい
理屈コネ太郎の完璧な主観で恐縮だが、2機掛けは1基掛けよりかなりカッコいい。これもメリットだと思う。
デメリット
コストの増大
2機掛けの最大のデメリットは「コストの増大」である。2基分のエンジンを購入するため、初期費用が高額であり、メンテナンスや燃料コストも増える。また、2基を連携させるための制御装置や取り付け費用もかかる。さらに、エンジンの重量が増えることで船体にかかる負荷も大きくなり、バランスや船体設計に配慮が必要となる。
推進効率の低下
2機掛けは、効率面で1基掛けに劣ることもデメリットである。2基にしたからといって推力が単純に2倍になるわけではなく、実際の推力増加は約1.7倍程度にとどまるらしい。エンジンの水流が干渉しあい効率が低下するためのか、推力の割にコストや燃料消費が大きくなる可能性がある。そのため、効率を最優先する場合には1基掛けのほうが適している。
帰港後の手間の2倍化
船外機は帰港後に、①プロペラやギアボックスを海水から守るためにチルトアップして、②チルトロックレバーを噛ませ、③冷却径路に真水を通してフラッシュする事と、④さらにトリムロッドを収納するという…手間がある。2機掛けだとこの手間が2倍になる。
陸置きの場合は、③だけで済ませる事が出来る。海上係留の場合でも、毎日乗るひとは①だけしかやらない…という人もいる。
まとめ
2機掛けは、現代の信頼性の高い1基掛けよりもさらに推力喪失のリスクを低減し、安全性や操縦性を高める多くのメリットがある。
2機がけで推力は2倍にはならずに約1.7倍程度とされ、400馬力単機と250馬力2機で同等の推力が得られるとも言われ、効率面では1基掛けが優れる面もあるため、用途や予算に応じてメリットとデメリットを比較し、最適な構成を選ぶことが望ましい。
今回は以上
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