船外機2機掛け vs. 1基掛け|メリット・デメリットを徹底比較

船尾にSeakeeper Rideを装着したところ

本記事では、船外機の2機掛けと1基掛けについて、そのメリットとデメリットを比較する。対象は船外機同士の構成に限り、船内機や他のエンジンタイプとは比較しない。あくまで筆者の個人的な見解である点もご理解いただきたい。

Contents

2機掛けのメリット

1. 安全性の向上

2機掛けの最大の利点は、安全性の向上である。現代の船外機は信頼性が高く、1基でも十分航行可能だが、万が一の故障時に推力を失うリスクがある。2機掛けなら、1基が故障しても航行を継続でき、岸へ戻る余力が確保できる。そのため、外洋航行や長距離クルーズでは、より安全な選択肢となる。

また、エンジン負荷が分散されることで寿命が延び、メンテナンス頻度も軽減されるという利点もある。

2. 加速力と推力の向上

2基にすることで加速力や推力が向上する。ただし、推力が単純に2倍になるわけではなく、実際の増加は約1.7倍とされる。これは、2基のエンジンが同時に稼働することで水流が干渉するためである。

例えば、400馬力の1基掛けと250馬力の2機掛けを比較すると、推力面でほぼ同等とされる。特に重い船体では、2機掛けの方がスムーズな加速が可能となる。

3. 操舵性の向上(小回りが利く)

2機掛けの大きな利点のひとつが、マリーナや狭い港内での取り回しの良さである。低速航行時に左右のエンジンのプロペラを逆回転させることで、その場で旋回する「ツインエンジン操作」が可能となる。これにより、狭いスペースでも高い操舵性能を発揮する。

4. 見た目がカッコいい

完全に筆者の主観だが、2機掛けは1基掛けよりもカッコよく見える。デザイン的な迫力や均衡の取れたシルエットは、大型艇ならではの魅力ともいえる。

2機掛けのデメリット

1. コスト増大

最大のデメリットはコストである。2基分のエンジン購入費用に加え、メンテナンスや燃料コストも2倍近くかかる。また、2基を連携させる制御装置や取り付け工賃などの追加コストも発生する。さらに、エンジンの重量が増えることで、船体のバランスや設計に影響を及ぼす可能性がある。

2. 推進効率の低下

2機掛けだからといって推力が2倍になるわけではなく、実際には約1.7倍程度とされる。これは、2基が発生する水流が干渉し合うためである。このため、燃費やコストを考慮すると、推進効率は1基掛けの方が優れているといえる。

3. メンテナンスの手間が2倍

船外機は帰港後に以下の手順が必要となる。(詳細はココをクリック

  1. プロペラやギアボックスを海水から守るためのチルトアップ
  2. チルトロックレバーの固定
  3. 冷却経路のフラッシング(真水での洗浄)
  4. トリムロッドの収納

この作業が2機掛けでは単純に2倍の手間となる。特に海上係留の場合、頻繁に乗らないとメンテナンス負担が大きくなる点も考慮すべきである。

まとめ

2機掛けは、1基掛けよりも推力喪失リスクを低減し、安全性や操舵性を高めたり、カッコ良いなどの多くのメリットがある。一方で、コストやメンテナンスの負担が増し、推進力や燃料消費などの効率面では1基掛けが優れるケースも多い。

推力については「2倍ではなく約1.7倍」とされ、400馬力の単機と250馬力2基で同等の推力が得られるといわれている。用途や予算に応じて、最適な構成を選択することが重要である。

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