B2Cサービスの歪みとコンビニオーナーの現実

日本のB2Cサービス業の歪みを目撃したので、記しておく。

『理屈コネ太郎』が勤務する医療機関に、日本最大手コンビニチェーンのフランチャイズ契約を結ぶ50代のオーナーが受診した。各種検査の結果、入院治療が必要と判断された。しかし、本人は「人手不足で入院できない」と言う。

「店を数日閉めたらどうか」と尋ねると、「本部が許してくれない」とのこと。同席していた奥様も同意見だった。「この状態では売り場に立てないでしょう」と伝えても、「バックヤード業務が山ほどあり、自分以外にできる人がいない」と返ってくる。

この受診者の病気は適切な治療を施せば薬である程度は回復する。しかし、悪化すると大腸に穴が開き、腹膜炎を引き起こす可能性がある。その場合、緊急手術で人工肛門を造設することになるし、入院期間も長引く。

それでも「本部が許してくれない」「お客さんに迷惑をかけられない」という理由で入院を拒否する。だが、深夜に病状が急変し、救急搬送されても受け入れ先がなければ、手遅れになるリスクもある。最悪の場合、命を落とす可能性すらあるのだ。

生命の危機を冒してまで守るべき業務契約など存在しないはずだ。もしそのような契約があるならば、違法性が高い。弁護士を立て、法的に整理すれば別の選択肢も見えたかもしれない。

結局、その受診者は奥様に付き添われ、自宅に帰っていった。しばらくは毎日点滴通院で対応することになった。

『理屈コネ太郎』は複雑な気持ちだった。こうした勤勉な人々のおかげで、私たちの生活は便利に成立している。しかし、この受診者の置かれた状況は、あまりに無茶ではないか。

『理屈コネ太郎』は、これまでこの大手コンビニのスタッフに敬意を払ってきた。大晦日や元旦、祝日、コロナ禍においても営業を続けてくれることに感謝し、支払いも丁寧に行い、苦情も一切言わずにきた。客の心得だと考えていた。(当サイト内『客の心得』、『客の心得②』を参照)

しかし、それが「客 対 店」の関係では善であっても、「客・本部・現場」という大きな枠組みで考えると、必ずしも正しいとは言えないのかもしれない。

日本のB2C業界が生み出す歪みは深い。

今回は以上。

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