所変われば品変わる。国が変われば制度も変わる。日本ではあまり知られていないが、“Doctor of Osteopathy”(D.O.)は、米国では”Medical Doctor”(M.D.)と同等の正規の医師資格である。
米国の医師といえば**M.D.(Doctor of Medicine)**が一般的だが、D.O. も同様に診療・手術を行うことができる。実際、日本から米国に留学した医師の中には、この事実を知らず、D.O. の肩書きを持つ同僚が気胸の手術をしているのを見て驚いたという話もある。
“Osteo-“ という接頭語が「骨」を意味することを知る人なら、「D.O. は整骨やカイロプラクティックの専門家なのでは?」と誤解するかもしれない。しかし、実際にはD.O. はM.D. と**equivalent(同等)**な医師資格である。この違和感は、米国の医師養成課程の歴史を知らないと理解しづらい。
日本ではD.O. の存在すら知らない人が多いが、米国では医師の一定割合を占めている。これは単なる肩書きの違いではなく、医療制度そのものが日本と異なるためだ。
同様に、日本に存在しない医療分野として**”Podiatry”(足病学)**も挙げられる。米国では「Podiatrist(足病医)」という専門職があり、診療や手術を行う。しかし、日本にはこれに相当する分野や資格が存在しないため、Podiatryの概念自体が理解しにくい。
国が違えば制度も違うことは多くの人が知っている。しかし、その違いの細部までは一般に認識されていない。時折、各国の医療制度比較が行われるものの、こうした具体的な違いにまで踏み込んだ調査は少ない。もし細部まで掘り下げられれば、より有益で興味深いものになるだろう。
米国のD.O. やPodiatryの認知度が低い現状を考えると、フランスやドイツの医師養成課程についてはさらに知られていないに違いない。
今回は以上。