後期型GRヤリス 8S-DAT(弐号機)に乗った最初の印象は、普段愛車としている日産ノート e-POWER 4WDのスムーズさとは対照的な、ゴツゴツしてザラついた乗り味と変速時のカックンカックンした挙動だった。とくに市街地では、その違和感から頭痛や悪心を覚えるほどだった。
※本記事の内容は筆者・理屈コネ太郎の個人的な見解であることをご承知おきのうえ、お楽しみいただければ幸いである。
さて、なぜ比較対象が2020年型GRヤリス(壱号機)ではなく、ノートe-POWER 4WDになったのか? それは、壱号機がMTだからだ。ATの乗り味の基準がノートになっていたため、無意識のうちに弐号機と比較対象になったのだろう。
AT特有のタイムラグが生む違和感
3日目になると、弐号機の乗り味には少し慣れ、操作にも習熟してきた。しかし、低速域での加速時に感じるタイムラグは依然として違和感が強い。変速速度が速くても、アクセルを踏んでから車速が上がるまでの「待たされる感覚」が拭えない。
MT車であれば、クラッチ操作やシフトチェンジのすべてを自分の意思で行うため、たとえ変速に時間がかかっても違和感は生じない。しかし、ATではそのプロセスが機械に委ねられることで、短い変速時間であっても「待つ」という受動的な時間が生まれ、それが違和感として際立つのだ。
「ATは遅い」という印象の原因
実際、初めて弐号機でDレンジ&スポーツモードで加速した際、「あれ? 壱号機(MT)の方が速く感じる?」と思った。これは、シフトラグをトルコンの滑りと誤認してしまうことに起因するかもしれない。
一方、ノートe-POWER 4WDにはこの変速のタイムラグが一切ない。そのため、実際の速さ以上に「ダイレクトで速い」という印象を受ける。これは、ドライバーの意思とクルマの挙動が完璧に一致するからだろう。
現時点では、街乗りにおいてはノートe-POWER 4WDのほうが弐号機よりも気持ちよく運転できる。弐号機は変速時に発生するカックンカックンと、ダルで空白な時間がどうしても気になってしまう。これが大排気量・大トルクのAT車なら、さらに顕著になり、街乗りには向かないかもしれない。
ATが本領を発揮する領域
しかし、この印象は低速域での話だ。弐号機の真価は、モーター駆動車が不得手とする速度域に入ったときに発揮される。
高速走行では、アクセルペダルの感触、エンジン音、タコメーターを頼りにシフト操作を行い、エンジンをパワーバンド内に保つことで、まるでクルマと一体化したかのような感覚を得られる。
これは、ノートe-POWER 4WDでは体験できない領域であり、壱号機(MT)でも筆者の腕ではまだたどり着けていない領域だ。そこにあるのは、まさにドライバーズハイな「桃源郷」である。
いい! いいねえええ!
笑みに緩んでいるだろう唇から思わず洩れ出る言葉。誰とも共有できないが、確かにそこにある痺れるような体験。この感覚を大事にし、いつか壱号機でも味わえるようなスキルを身に着けたいと思う。
GRヤリスに関する他の記事
100を超えるGRヤリスに関する記事は
『GRヤリス愛好家必見!オーナー目線の国内最大級オリジナル記事集』より閲覧可能です。
サイト内の全ての記事へは
色々なトピックについての700以上の記事を閲覧できます。
『サイト内記事トピック一覧【最上位ページ】』経由で全て閲覧可能です。