結論を先に言うと、μが不均質な路面状況の方が、GRヤリスの4輪駆動の魅力を堪能できるとおもう。
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ところでμ(ミューと読む)とは、静止摩擦係数という力学で用いられる言葉で、μが大きいと滑りにくいって解釈でだいたいオッケーらしい。
なので、ダンロップのサイトには、舗装路のドライ路面のμは0.8前後、ウエット路面が0.6~0.4、積雪路が0.5~0.2、氷結路が0.2~0.1と記載されいる。
ちょっと注釈させてもらうと、μは路面側の条件だけで決まるのではなく、タイヤ側の条件(材質や形状その他)によっても変化する。
だから冬用タイヤは積雪路でμが上がるような材質や溝の形状で仕上げられている。
よく氷結路ではスタッドレスでも滑ると言われるのはμが低くてタイヤがグリップしないのではなく、車重によって接地面の荷重で氷が解けて水になり、その水が介在してタイヤと路面が厳密には接触していないからと『理屈コネ太郎』は考えている。
氷って圧を掛けると融点が下がって水になる。
水がタイヤと道の間に挟まったら潤滑に作用しちゃうし。ハイドロプレーニングだって起きちゃいそうだ。
本題に戻ると、GRヤリスは例えばジムニーが目指しているような(超低速であっても)もはや道路とは呼べない悪路をとにかく走破することが目的の4WDではなく、平坦だが砂利が浮いていたり、小さな水溜りやヌカルミやマンホールがあちらこちらにあるような道路(つまりμが不均質)を出来るだけ高い速度で走り抜けようとするためのもの。
μが不均質な道でこそ、GRヤリスRZHPは本領を発揮すると、前回荒天時の運転でアタマと身体で納得した。
ところが私達はつい、路面のμは一様であると思いがちだ。
しかし、日常的な現実世界では、たぶんそれは間違っている。現実には多様なμがランダムに散らばっているのだ。
一方サーキットなどでは、均質な高μ路面でコースは作られているので、晴れた日ではコース上のどこもだいたい似た様なμの値だろう。
だから、サーキットでは4駆も2駆も関係ない。2駆でも高いグリップのタイヤなら、宜しく操舵できるしトラクションもガッチリかかるって寸法だ。
むしろ2駆の方が軽量なので速い。
一方、ラリーコースや、我々が普段クルマを走らせる公道は、水溜り、雨、残雪、砂利、小石、ペイント、マンホール、中央分離帯から路肩へと流れる雨水、など、数えきれない要素で4輪の接地面のμは不均質だ。
バラッバラなのである。
前輪の右、前輪の左、後輪の右、後輪の左。どのタイヤの接地面のμは同じではない。
そしてタイヤが回転してクルマが移動すると、タイヤの接地面も変わるので4輪それぞれのμは恐らく何の相関関係なく、かつ急激に変化する。
さらに現実の道路には(道路として許容される範囲の)凸凹が存在してハナシをより複雑にする。凹によって地面とタイヤが接地しなければ、地面のμがどんなに高くてもトラクションはかからない。(ここはサスペンションのハナシ。いつか別頁を起こして理屈コネてみる予定)
そんな状況下では、オープンデフ2駆のクルマでは駆動輪の1つが空転してトルクが持っていかれてしまうと、本来仕事をさせたい荷重が掛っている方の車輪に駆動が伝達しないという困った事態が発生する。
とまあ、そんな理由でLSDの必要性が生じたわけだ。
だからオープンデフの2輪駆動では、駆動輪のどちらかが空転すると0輪駆動になってしまう。
傍目には走っているようには見えるが、実際は慣性で移動しているだけの状態だ。
しかしLSD付2駆では同様の状況下でもどうにか1輪駆動で走り続ける事が出来る。
しかしそれでも最大で2輪までだ。ま、当たり前ではある。2駆なんだから。
駆動輪ではない車輪が接地していてもトラクションはかからない。
GRヤリスRZではどうだろう。
GRヤリスRZHPならトルセンデフや前後をつなぐ電子式多板クラッチのおかげで、μが不均質で凸凹のある路面でも2駆のクルマより多くの駆動輪で地面にトラクションを掛けられる確率が高い。
4輪が浮くようなジャンプ状態でないかぎり、0輪駆動状況にならなない。
いずれかのタイヤが接地していれば、そのタイヤが駆動輪である確率は100%なのだ。
そして理想的条件下では4輪でトラクションをかけられる。
よほど特殊な条件を課さない限り、4駆は2駆の2倍の確率で、駆動輪と高μ(トラクションを掛けられる)の地面とが出会うはずだ。
これがμが不均質な道路では、4駆が2駆に比べて優位に立つ理由である。
高いμが極めて均質に揃えられて凸凹も不自然に少ないサーキットの様な理想的な場所では4駆は2駆に対してアドバンテージにはならない。
あ、ちょっと纏めよう。μがゼロの路面では、如何なる駆動方式も無意味だ。そしてまた、μが高く且つ路面のどこをとっても均質なら駆動方式の違いはあまり意味がない。
4駆と2駆に決定的な差が出るのは、不均質なμの路面の集合体として道路やコースが形成されるようなそんな状況でる。
このような道やコースでこそ、GRヤリスRZHPは強味を発揮してくれる。
だから、雑誌やYouTubeでよく実施されているサーキットでのタイム対決や、滑走路みたいな場所でのゼロヨン対決は、GRヤリスRZHPの性能評価テストとしてはあまり意味がないかも知れない。
だって、そうした場所は凸凹がなく、均質な高μの材質でコースが作られているから。
タイヤのグリップ力とエンジン出力(とマニュアルだったらドライバーのスキルも)がモノをいう。駆動方式はあまり関係ない。
なので『理屈コネ太郎』は、今後は荒天の昼間にGRヤリスで出撃しようと思っている。夜はあぶないからね。
今回は以上ん。
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