古典的な3ペダルHパターンMT(以下、3HMと記す)では、よく出来た2ペダル車に比べてギアチェンジに時間がかかるのは今ではよく知られた事実。
本ページでは、直線でのタイムアタック、具体的にはゼロヨンなどのドラッグレース的な状況について考察する。
以下、本ページで記述する内容はいつものように理屈コネ太郎の管見内での独断と偏見による私見である旨ご承知おき頂きたい。
3HMではギアチェンジする度にクラッチを切って前後方向だけではなく横方向にもシフトレバーを操作する場合が頻繁にあって、これが3HMの煩雑性を上げている。
また、クラッチを切る度にトラクションゼロの時間が発生してしまう。
だから、3HMでのギアチェンジは正確な操作を電光石火の素早さで行う事が昔からタイムアタック的にヨシとされてきたし、カッコいいともされてきた。
現在ではよく出来たATの方が並みのドライバーよりも正確かつ素早くギアチェンジをしてくれるので、ゼロヨンではAT車の方が良い成績を上げる事が珍しくない(後記:2024年にGRヤリスがマイナーチェンジされ、GR-DATと呼ばれるAT仕様がRZグレードで発売される予定)。
参考動画として⇒【新型 GRヤリス!】開発者インタビュー&ドラッグレース (youtube.com)を挙げておきたい。
3HMよりATの方が速いとなると、運転に興味のない人は3HMで求められるような面倒くさい作業はそもそも必要があるのか?と疑問に思うのは当然だろう。
この考え方にも一理ある。何故なら、クラッチも変速機も、内燃機関の弱点をカバーするために導入された機構だ。2ペダル車のように、クルマ側がその弱点を補ってくれるのなら3HMに固執するのは不合理ともいえるから。
AT限定免許が普及するのは尤もなのだ。。
だが、この面倒臭い作業を、面白いと感じる古典的価値観の持ち主には、3HMクルマの運転はもうメチャクチャ面白い行為なのである。
GRヤリスにはiMTっていう賢い機構がついていて、シフトダウン時にエンジンの回転を合わせる作業に神経を殆ど使う必要がないのだが、このクルマに乗っている人の殆どはiMTをOFFっていると理屈コネ太郎は思っている。
噂では、このiMTはなかなか優秀なやつで、シフトダウン時にはわりと無頓着にクラッチを繋げても回転を合わせてくれる賢い機構らしい。
まだ使った事はないけど。
理屈コネ太郎は回転を合わせるために時にダブルクラッチやヒール&トーを使ったりして運転しちゃったりしている。
因みにGRヤリスはヒール&トーはめちゃくちゃ遣りにくい。多分その理由は、ブレーキをかなり踏み込まなくてはアクセルペダルと同一平面にならず、それでもまだブレーキとアクセルの間隔が広いからだと思う。
理屈コネ太郎の足はそれほど大きくないので、二つのペダルを右足ひとつで操作するのが難しいのだ。
多分、下手くそなので、ヒール&トーなどをやらずに、普通に運転している方が速くてスムーズだとおもう。
でも、そうした操作をするのが面白くて、スパッと決まった時は「今のオレ、カッコ良かったよね?」みたいに嬉しくて自画自賛する。
理屈コネ太郎は今だにその価値観で生きている。
しかし同時に、速く走るにはよく出来た2ペダルの方が有利だともわかっている。DCTとかATだと、トラクションゼロとなる無駄な時間がないか極端に短い。しかも8速などの多段でクロスミッションであれば、より状況にマッチしたギアが選択できるだろう。
なので速く走りたい人にはDCTやATのマニュアルモードは大変に有り難いメカニズムである。
残念ながら(喜ばしいことに)我が愛機GRヤリスRZHPにはこうした機構は実装されていない。古典的な3HMにiMTという回転合わせの機構がついているだけだ。iMTを使うと、恐らく回転合わせのために使う神経や時間が軽減できるとは思う。
しかし、速く走る事が目的ではなくて、ちょっと複雑な作業をこなしたうえでビシッと走りが決まった時の快感を目的にGRヤリスを手に入れたわけだ。
さてある朝、いつものワインディングに走りに行って時のこと。山に入って暫くすると地元の軽トラと思しきクルマの後ろに3台のドイツ製ミッドシップが追走している最後尾に辿りついた。
軽トラに道をふさがれて3台がノロノロ運転に付き合わせている最後尾に私がやってきた、とまあそんな状況である。
もちろん、3台は大人しく軽トラのペースに付き合っている。決して煽ったりしない。煽るという行為は若干野蛮だし、クールにクルマを操る精神に欠ける行為だから。
そもそもその道は、おそらく軽トラドライバーにとっては生活道路なのだろう。道楽で走りに来ている余所者は、地元の生活に密着したルールに従うべきだ。だから軽トラの走り方に従うのである。
暫くすると、軽トラは道幅があり、かつ見通しの良い場所で後続車に道を譲ってくれた。
で、韋駄天のように先頭のミッドシップが加速して、2台目、3台目、そして私とがそれに続く。
暫く走って気付いたのは、先頭のミッドシップが殆どブレーキをかけずにコーナーに進入している事だ。
その後ろの2台は私と似た様な地点でブレーキを使ってフロントに荷重を移して旋回のきっかけを作っている。
他の2台は不明だが、先頭のミッドシップは恐らく2ペダルなのだろう。トラクションゼロの時間がほぼ皆無なのでフラフラせずにシフトダウンとアクセルオフで上手に減速してフロントに荷重移動して旋回を始めているに違いない。
もしかしたら、オーバーレブ回避目的でコーナー奥の私からは見えないところで若干はブレーキを使っているかもしれないけど…。
後続の2台のミッドシップと私はチョボチョボなのだが、先頭のミッドシップにはコーナーごとに確実に離されていく。
私のGRヤリスにはクイックシフターもつけた(詳細は”ココ“をクリック)、クラッチストッパーも装着した。あとは、電光石火のギアチェンジに磨きをかけていくだけだ。
でも、単純に速く走る事に関しては、やっぱりクラッチ切らないで済む方式は魅力的ではある。
だからもし、GRヤリスRZが2ペダル&パドルシフトを実装したら、それはきっと素晴らしいクルマの筈と確信している。(2024年春のマイナーチェンジでGR-DATと呼ばれるオートマが四輪駆動モデルに実装される事になった)
とは思いつつなぜか、GRヤリスRZHPが3HMであることが気に入っている理屈コネ太郎。
運転席と助手席の間にニョキっと突っ立っているシフトレバーが、なんとも可愛くてしかたない。
コイツとABCペダルを使ってシフトチェンジを電光石火にキメる。
それが理屈コネ太郎の趣味なのだー。とはいえ、2ペダルのGRヤリスRZHPが出たら購入するね、絶対。(そういうわけでMC後のGRヤリスを購入する気まんまん)
だって、理屈コネ太郎の操作よりオートマの変速の方が絶対に速いし、シフトミスも起きないからエンジンにも優しいはずだし。
というわけで、クラッチカットのタイムラグのあるGRヤリスが、それのないドイツ製ミッドシップに置いて行かれるのも無理からぬ事であると、自分の技量を棚にあげて納得してみました。
今回は以上ん。
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