GRヤリスを楽しむオーナーたちの間で知られる「一人病み」という言葉。この言葉は、愛知県岡崎市のプロフェッショナル「ビークルフィールド」(詳細はこちら)が提唱したもので、GRヤリスのエンジン制御に関連する問題を的確に表現している。本記事では、この「一人病み」の原因や背景について、ビークルフィールド氏の発信を参照しつつ理屈コネ太郎の私見をお話したい。
以下、他のページと同様に、本ページの内容は理屈コネ太郎の管見内の独断と偏見による私見であり、知ったかぶりである旨ご銘記の上読み進めて頂きたい。
一人病みとは?
ビークルフィールド氏の発信を理屈コネ太郎的にう理解すると、一人病みとは、エンジン制御のノック補正値やその他の学習値が不適切に学習されて、本来の性能を発揮できなくなる現象とのこと。非常に鋭い洞察で、興味深い概念だと思う。
この現象は、私見だが、メーカ-ーが仕掛けた盗難防止や機能乗っ取り防止のセキュリティー以外に、以下の2つのエンジン制御に関連するループが関係していると考えられる。
こうしたループの直接の原因は社外パーツの取付が殆どであるが、稀にまったくノーマル車両でも発生するらしい。ノーマル車両での発生は、おそらく走行速度が極端に遅い事が原因ではないか…というハナシも耳にした。
1. 制御系のループ
現代の車両はセンサー、処理、制御の技術を駆使しているが(詳細は理屈コネ太郎の電子制御の考えからや電スロなどの電子制御介入による違和感?や組み込み製品としてのクルマを参照のこと)、カスタムによってセンサーの配置や環境(熱や湿度など)が設計の想定外になることがある。この結果、不適切な値がセンシングされ、それが悪影響を及ぼして制御系全体でループを形成する。最終的に、ノック補正値その他が誤って学習される原因となる。
2. プログラム上の意図しない処理ループ
システム開発の階層的な分業体制では、個々のプログラムは正常でも、複数のプログラムが結合されるると、なんらかのキッカケで想定外のデータ交換をループ的に繰り返す場合がある。このような意図しないループが、エンジン制御に影響を与え、誤った学習値となり、一人病みを引き起こす可能性がある。
一人病みの実例
YouTubeチャンネル「GT-Studio」(チャンネルはこちら)では、一人病みに関する実例が取り上げられている。具体的には、OBDⅡ端子を使用した情報取得に伴うトラブルや、一見無関係に思える補強パーツが原因となるケースが報告されている。そのパーツの中には、理屈コネ太郎が装着を検討しているモノも含まれていた。GT-Studio氏は、サードパーティー製の補強パーツメーカーがこうした問題にまだ気づいていない可能性も指摘している。
中古市場における一人病みの影響
GT-Studio氏によれば、一人病みを抱えたGRヤリスが「なんとなく遅い車」として中古市場に流通している可能性があるという。このような車両を購入した新しいオーナーが、一人病みの存在を知らないまま失望するリスクがあると警鐘を鳴らしている。
一人病みはカスタムを施した元オーナーの問題にとどまらず、中古市場全体の課題ともなり得ると指摘している。これは大変に重要な指摘で、中古車市場の信頼性を損なう可能性があるとも。
一人病み解決の難しさと考察
理屈コネ太郎の私見では、一人病みには以下のようなケースが考えられる。
- 第一の制御系ループ単独の問題
- 第二のプログラム上の意図しないループ単独の問題
- 両者が複雑に絡み合ったケース
第一ケースであれば、問題のあるセンサーやカスタムパーツを取り外すことで解決できるだろう。第二のケースであれば、プログラムの再インストールで改善する可能性がある。しかし、両者が絡み合った場合には、車両を完全にノーマルに戻したうえでプログラムをリセットしない限り、問題を解消するのは難しい。
また、一人病みはノック補正値だけでなく、他の学習値の不適切化が原因の可能性があるため、問題の特定と解決には高い専門性と労力を要する。
さらに、一人病み現象は再現性が低い…のかもしれない。再現性の極めて低いトラブルは、認識されずらいし、そのため解決も難しい。
まとめ
GRヤリスの一人病み現象は、エンジン制御技術の高度化とカスタムの複雑さが絡み合うことで発生する問題であるし、カスタムの宿命のひとつのようにも思われる。
トラブルを避けるにはフルノーマルが一番だが、しかしそれではちょっと物足りない。愛車を美しく、速くしたいと思うのは、クルマ好きなら当然の心理だ。
GRヤリスのように台数の多いスポーツカーは研究熱心な人たちがこうした課題を発見し解明してくれるおかげで、貴重な知見が蓄積されている。
一人病み、今後の知見の集積を待ちたい。
GRヤリス、これからますます愉しくなっていくだろう。
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