GRヤリス 7320km走行レビュー|耐久消費財としてのスポーツカーの魅力

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本記事では、GRヤリスの走行距離7320km時点での気づきや考察 をまとめた。
なお、本内容は理屈コネ太郎の個人的な視点に基づく私見 であり、その点をご理解のうえ読み進めていただければ幸いである。


Contents

トヨタのものづくり哲学とGRヤリス

トヨタは 耐久消費財メーカー であり、販売したクルマの寿命が尽きるまで面倒を見るという理念を持っているに違いない。
加えて、クルマは 多くの人の役に立ち、命を守るものでなければならない という考えのもと、設計・製造されている。

製造業の現場では 100%の完成度を目指しても、不良品の発生は避けられない
だからこそ、ダブルチェック・トリプルチェックを行い、製品品質の向上に真摯に取り組んでいる。

こうした理念のもとで作られたGRヤリスも、トヨタが定める厳格な品質基準をクリアしているのは間違いない。


製造業とICT業界の開発スタンスの違い

話が少し脱線するが、製造業とICT系企業では、開発の考え方に大きな違いがある
特に、SIer(システムインテグレーター)とWeb系企業では、そのスタンスが大きく異なる

  • SIerは製造業に近く、完成度をできる限り高めた状態で納品する
  • Web系企業は、80%程度の完成度でもサービスをリリースし、後からアップデートで改善する

どちらのアプローチにも一理あるが、トヨタは完全に「製造業の流儀」でGRヤリスを開発 したはずだ。
つまり、走行性能を最大化しつつ、耐久消費財としての基準をクリアするための絶妙なバランス を取っているのだろう。


GRヤリスの標準シートに感じる「メーカーの哲学」

GRヤリスの標準シートについて、当初は物足りなさを感じていた。
しかし、フルバケットシートに換装し、その ネガな側面を実体験 した今、メーカーの選択には理由があったと納得している。

純正シートは以下のような点で優れている。

  • エアバッグが仕込まれている(安全性確保)
  • リクライニング機能があり、多くのユーザーに対応
  • 適切な座面高さで下方視界を確保

(2024年2月追記:GRヤリスのマイナーチェンジでシートの取付位置が25mm低く変更された)

また、助手席撤去の検討 もしたが、日本の法規がそれを許さないため、2023年の初回車検時に構造変更手続きを行い、3人乗り登録を実施。(詳細は[こちら])


GRヤリスの開発思想とトヨタの決断

GRヤリスは、マスプロダクト(量産品)でありながら、尖った性能を持つという矛盾 を抱えたクルマだ。

この矛盾を解決するために、トヨタは以下のような設計を採用している。

  • 4人乗り登録 → ファミリー層への配慮
  • リアサスをダブルウィッシュボーンにする → 荷室の利便性確保(タワーバー装着の有用性が低いので)
  • 純正アクセサリーとしてフロントストラットタワーバーを用意 → 走行性能向上と実用性の両立

このように、GRヤリスは「耐久消費財としての品質」と「スポーツカーとしての性能」を両立させるための 絶妙なバランス で設計されている。


GRヤリスは特別なクルマなのか?

スーパーカーやプレミアムカーのように、限定台数で販売される宝飾品的な「特別感」こそないものの、GRヤリスには、トヨタの本気の技術が詰め込まれている

このクルマの最大の魅力は、「運転する楽しさを存分に味わえること」に尽きる。
万人向けのクルマにスポーツカーの性能を盛り込むという トヨタの決断 に、心から感謝したい。


スポーツカー市場の未来は?

「スポーツカーは市場が縮小している」と言われるが、GRヤリスの存在がその流れを変えるかもしれない。

  • ランエボやインプレッサのオーナーが感じた楽しさを、GRヤリスでも味わえる
  • スポーツカーの開発・販売を継続する決断ができるのは、今やトヨタだけのように思える
  • 円安の影響で輸出が好調な今、三菱やスバルも復活の可能性があるかもしれない(2024年追記)

GRヤリスは、単なるスポーツカーではなく、耐久消費財としてのスポーツカーの新たな可能性を示す存在 なのだ。


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