本書は日本人医師、Hiromi Shinya. 新谷(Shinya)が1982年に医学書院から全編英語で出版した当時としては画期的な内容の本である。
現在、一般に”大腸内視鏡”と呼ばれる検査器具によって、全大腸を初めて観察したの1970年頃のは田島だと何かの本に書いてあった。この田島の功績により大腸内視鏡検査は全大腸(直腸から盲腸まで)観察の時代に入った。その意味で田島の功績はEpoch-Making な出来事であった。
しかしその頃の大腸内視鏡検査はまだ黎明期で、器具も検査法もまだまだ進歩の余地があった。当時はレントゲン装置でお腹の中の内視鏡走行を確認しながら、2人の医師が1本の大腸内視鏡を持ち、1人が内視鏡の押し引きやローテテイションを担当し、別の1人が内視鏡画像を見ながら内視鏡先端を上下左右に動かす役目だった。
その約12年後、新谷が医師一人だけでレントゲン装置を使わずに全大腸を観察しポリープを切除する手技を英語の本にまとめて出版し、1人法を世界に知らしめたた。
挿入法、病変の内視鏡カラー画像、処置方法解説、処置中カラー写真、検体の病理画像。今みても実に完成度の高い内容の本である。それが、本書である。
その後、新谷は日本を離れ米国の医学会で消化器内視鏡を武器に活躍したという。米国医療会ではBig NameであるBeth Israel Medical Center ではChief of Surgical Endoscopyを務め、Mt. Sinai School of Medicine ではClinical Professor を務めたとの事。
1982年ごろの器具や手技、画像処理技術でこの本を作り上げた事は、私から見ると驚異的なWorkである。