OM-1 取扱説明書

OM-1の取扱説明書(以下、取説)は、厚さ約15㎜、目次7頁、取説部分282頁、索引約5頁の大作である。

ボディー表面に与えられた名称部位29か所、ファインダー内に表示される情報シンボルは88種類。OM-1 の小さな機体には実に多様な機能が実装されていることがよく分かる。

取説の構成は至ってシンプルだ。まず各部の名称の説明があり、続いて①準備する、②撮影する、③メニューの使い方、③撮影機能を設定する、⑤再生する、⑥カメラをカスタマイズする、⑦カメラ本体をセットアップする、⑧外部機器と接続する、⑨ご注意、⑩資料、⑪安全にお使いいただくために、の章立てになっている。

シンプルな構成だが、内容は盛り盛り盛り沢山で、情報が溢れかえっている。

全体にザックリと俯瞰すると、この取説はOM-1事典のような内容である。それなりに写真経験のある人が実際にOM-1に触って撮影して、分からない事があればその度に取説にあたって問題を解決する…と、そういう使い方を前提にして作成されたような気がする。

なので「え~、あたしこんなむずかしいのわかんなあいい~」という御仁にはあまり向かない機種だと思う。

「やれば絶対に出来る、だって人が作った機械だし」という確信がないと、この面倒臭さを乗り越えるのはちょっと無理かも。

その理由は、この取説に芯となるような説明の流れが見当たらないから。困ったときに、目次や索引はファインダー内のシンボルや機体各部の名称を切っ掛けににて、ユーザーが都度自分で調べて解決してね…と、そういうスタンスの取説だ。

このカメラを購入した時には『理屈コネ太郎』も取説の厚さと説明の芯のなさに驚いたが、今はとにかく実行⇒疑問発生⇒取説で解決⇒再実行のサイクルでなんとかなっているし、制作陣が完璧を期して作成したのだろう。この取説には遺漏がいまのところ全くないし、記述と現実の齟齬がない。

面白くない取説だが、完結した取説であり、製作陣に敬意を抱いてしまう。

ちなみにLumix G100の取説は小難しい事はネット取説を見てくれというスタンスで、紙媒体取説としての完成度はイマイチである。

OM-1では取説に書いてある通りにすれば、書いてある通りの現象が起きる。

読んで楽しい取説ではないけれど、信頼できる取説だといまのところ思っている。取説によっては、内容と実際が違っている事があって、信頼する気持ちが一気に醒めてしまうものもある。

今回は以上

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