理屈コネ太郎が愛してやまない海外ドラマ、Sex And The City。メチャクチャ面白く、鋭い洞察とユーモアが詰まった作品だ。そして何より、主人公キャリー・ブラッドショーのモノローグが冴え渡る。
私自身、ただのファンに過ぎないが、世のあらゆることを理屈でコネるのが趣味だ。この濃厚で長寿なドラマを、自分なりにコネてみようと思う。
Contents
Bigの魔法がキャリーにかかった瞬間
Sex And The Cityは、1998年から2004年にかけて放送された全6シーズンのドラマであり、その後、2本の劇場公開映画が制作された。物語の軸は、主人公キャリー・ブラッドショーの恋愛遍歴と、彼女の親友3人との友情だ。
表面的には、派手なファッションに身を包んだ4人の女性がニューヨークで自由奔放に恋愛を謳歌するドラマのように見えるかもしれない。しかし、それは誤解である。この作品は、恋愛・キャリア・友情を通じて、人生の本質を掘り下げた“人生の教科書”と呼べるほどのクオリティを持っている。
その本質を知るために、私は全話にわたって理屈コネ太郎的な視点で掘り下げていくことにする。
S1第1話「Sex And The City」
シリーズの幕開けとなるこのエピソードでは、キャリーと3人の友人、そして舞台となるニューヨークの世界観が紹介される。
最も印象的な場面は、キャリーが過去に遊ばれた男を逆に遊んだつもりが、相手に「Sex without commitment(気楽なセックス)」と歓迎され、逆に打ちのめされるシーンだ。そして、ラストで彼女は初めての運命的な出会いを果たす。キャリーがBigと呼ぶ事になる男と。
Bigはキャリーに言い放つ。「君はまだ本当の愛を知らない」。
その一言に、キャリーはたじろぐ。そして彼女は思わず尋ねる。「じゃあ、あなたは本当の愛を知っているの?」
Bigの答えは 「Abso-fuckin’-lutely」。
この瞬間、キャリーは自分が誰かを本気で愛し、そして本気で愛された経験がないことを悟る。まるで魔法をかけられたように。あるいは、Bigという存在によって、本来の願望を浮き彫りにされたのかもしれない。
表面上は自由奔放に恋愛を楽しんでいるキャリーだが、実は無意識のうちにもっと誠実な何かを求めていた。その事実を、Bigはたった一言で炙り出したのだ。
ここで明らかになる二つの重要な事実がある。
- Bigは過去に本物の愛を経験したことがある。
- キャリーは「ロマンチックラブ」の人である。
ロマンチックラブとは、恋愛・性行為・結婚のすべてをたった一人の相手に求める価値観のこと。本作の主人公キャリーの男性遍歴は、まさにこの“運命の人探し”ではないかと私は考えている。
Bigの魔法に翻弄されるキャリー
世の男性の多くが「Sex without commitment」を求めるなかで、キャリーは“運命の人”を探し続ける。しかし、Bigという存在はその道をさらに困難にする。
例えば、第6話「秘密の関係」では、キャリーはBigとついに関係を持つ。しかし、Bigが自分を友人に紹介しようとしない態度から、「私は彼にとって遊びの相手なのか?」という疑念を抱く。
また、第9話「マンハッタンの結婚観」では、Bigが「もう二度と結婚しない」と軽く言い放つ。この言葉は、キャリーの心を深く傷つける。彼女は「自分は将来、家庭を持ちたいのではないか?」という思いに気づくが、Bigはそんな未来を共有する気がないように見える。
そして、最も衝撃的な展開を迎えるのが**第12話「愛と信仰の新しいカタチ」**である。
キャリーはBigに、「お願い、私を運命の人だと言って」と懇願する。彼女にとってBigは唯一無二の存在。しかし、Bigはその願いに応えず、逃げるように去ってしまう。(筆者注:それは結婚を意味していて、Bigは結婚したくない人なのだ)
Bigにとって、キャリーを「The One(運命の人)」と認めることは、過去のトラウマを呼び起こす恐ろしい行為なのだ。彼はかつて本物の愛を経験し、それを失った。そしてその痛みに二度と向き合いたくないがゆえに、キャリーを本気で愛することを避けようとしている。
この逃げ癖は、後の映画版『Sex And The City』でも顕著になる。彼は結婚式当日にバックれるという最低の行動を取る。しかし、それでもキャリーを手放せない。なぜなら、彼の心の奥底ではキャリーこそが「The One」だと感じていたからだ。
Sex And The CityはBigの再生の物語でもある
本作は、キャリーの「運命の人探し」の物語であると同時に、Bigが過去の傷を乗り越え、再び愛を信じるようになる物語でもある。
Bigはキャリーに出会い、彼女の知的な会話や独立心、そして愛らしい気性に魅了されていく。しかし、彼の心には常に「失うことへの恐怖」が付きまとっていた。
Sex And The Cityの真のテーマは、「愛を求める女性」と「愛を恐れる男性」のすれ違いであり、それを乗り越えようとする物語なのだ。
キャリーにとって、Bigは呪いをかけた魔法使いかもしれない。だが同時に、Big自身もまた、キャリーという魔法にかけられていたのだ。
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