いよいよSeason3。
Season1では2人での旅行出発の日にキャリーにとって重要な一言をビッグに言ってくれなかったために2人は分かれた。
Season2では互いの立脚点の相違を受容できずに別れたうえ、パリに渡ったビッグはそこで結婚相手を見つけて結婚までしていた。
キャリーにとってビッグとの2回の別れは苦痛に満ちたものだった。しかしそれは恐らくビッグにとっても同じように苦痛だったはず。
何故なら、ビッグにとってもキャリーは真に愛の対象だったから。
キャリーのビッグへの愛に負けないほど、ビッグはキャリーを愛していたはずだ。
ではなぜビッグはSeason2でキャリーとの別れの後に別の女性と結婚したのか…との疑問が湧く人もいると思う。
わたくし理屈コネ太郎の解釈はこうだ。ビッグはキャリーを失った悲しみから立ち直ろうとしたのだ。ちょうどキャリーはこれから紹介するSeason3の第1回から、ビッグとの別れの悲しみから立ち直るために、新たな男性との恋愛を模索しはじめるように。
そしてビッグはたまたま相手の女性、ナターシャがキャリーほど攻撃的でない女性だったのだろう。立ち直りの一環としての結婚を選んだのだと思う。
なぜなら、キャリーはビッグとの真剣で正式な交際、それは多分”結婚”を視野に入れたものであるはず、を望んでいた事を、ビッグは知っていた筈だから。
S1E1(←当Site内当該頁を開く)を再度観て戴きたい、キャリーがロマンチックラブの人である事が明示されている。
しかし、ビッグが躊躇したためにキャリーは離れていったのだ。ビッグは飛び込んで行けなかったために、キャリーを失った。
であれば、ビッグが(キャリーの)次の女性を失いたくないと思ったら、キャリーとの交際で犯したミス(結婚を視野に入れない交際)を繰り返す筈がない。
たとえそれがビッグの過去の真の愛の喪失の苦痛や、離婚に纏わるアレやコレやの記憶に繋がるとしても。(ビッグはナターシャ以前に一度離婚している)
ビッグにとってキャリーとの関係終了は、これまでの自身の行動基準を変更するに十分な苦痛と教訓に満ちていたのだ。
Sex And The Cityは基本的にキャリーの1人称物語なので、ビッグの内面の説明は劇中ではなされないのだ。
劇中に現れるビッグの行動の点と点の間にある筈の線を想像すると、ビッグ側のSex And The Cityがあるはずなのだ。
ま、それはともかく。S3E1に話しをすすめよう。
S3第1話 自立した女と王子様
キャリーはビッグとの失恋の痛手を受容した上で、立ち直りを試みる。タイミングよくビッグに見劣りしない年上の端正な外見の政治家、ビルと知り合う。
キャリーはビルに言う「ひどい失恋のあとだから、ゆっくりお願い」と。
S3第2話 恋の本音とタテマエ
前回で知り合った政治家とキャリーの関係に関連して、4人組が政治家とセックスについてお喋りするとき、彼女達が歴代大統領の容貌と名前を知っている事に理屈コネ太郎吃驚した。
4人組の会話の内容はエロで時に下品であっても、なんというのか教養を感じさせる。
ところで、この回で、前回知り合った政治家とは破局したみたい。
S3第3話 女の敵は女?
日曜版の新聞に、ビッグがナターシャと結婚した事が掲載されていた。
この回、シャーロットがキャリーが胸に溜めこんだ苦しみと悲しみを掃き出す手伝いをする。
キャリーは納得がいっていない、結婚しないと明言したビッグがなぜ結婚したのか、その相手がなぜ自分ではなかったのか。
キャリ-のこの苦悩は当然だ。なぜなら、キャリーもビッグも間違いなく互いを一番に愛し合っていたのだから。
ナターシャが参加するであろうパーティーに、キャリーは、ナターシャと張り合うためにキメキメお洒落でに出かけるが、あいにくナターシャは病気で欠席だったのでキャリーは拍子抜けする。
だが暫くして、ナターシャから不在を詫びる手紙が届いた。その中に、キャリーは基礎的なスペリングのミスを見つけてナターシャの教養のなさに大喜びして、友人に電話する。彼女は結婚できたけどバカなのよって。
S3第4話 性のジェネレーション
ニューヨークのセックス事情的には面白い回ではあるけれど、本作の大筋には殆ど影響のない回。
この回では、色々な性的嗜好の人々が一同に会するパーティーが描写されている。この回が放送されたのは2000年。
S3第5話 恋のボーダーライン
この回でいよいよエイダンが登場する。エイダンは喫煙者とは付き合えないというので、キャリーはタバコをやめてみる事にする。
キャリーは、好きな人に好かれる努力をする女性だ。
そしてサマンサはアフリカ系アメリカ人男性と付き合うが、肌の色の違いにこだわる妹に逆らえない男に愛想を尽かせて別れる事にする。
S3第6話 セックスまでの距離
キャリーはエイダンとの関係に新鮮な喜びを見出す。エイダンはこれまでの異性関係を教訓にして、キャリーと本当の関係を築こうとしている。
この回はエイダンとビッグの違いが描かれている。
ビッグは過去の経験からキャリーとの関係に飛び込んでいけなかった男。
エイダンは過去の経験からキャリーに飛び込むための助走を取る男。
キャリーはロマンティックラブの人なので、エイダンのこの姿勢は胸に響いた。
S3第7話 ドラマチックな恋がしたい!
この回は、今後の展開の面白さを予期させる。
先ず、オペラ「アイーダ」観劇中にキャリーはビッグと再会しその場を逃げ出す。
ビッグはキャリーのあとを追うが途中で諦める。
シャーロットは念願の白馬の王子、トレイと出会う。
キャリーは躊躇っていたエイダンの両親との面会を実行する。
S3第8話 恋愛のタイミング
エイダンが家具を出品する催しにキャリーは手伝いにきていた。そこにはビッグ夫婦が来ていて、そこでビッグとキャリーは再再会する。
ビッグはキャリーに自身の結婚生活が破綻している事を打ち明ける。
いつもの4人組での食事会で、早速キャリーはビッグの結婚破綻の報告をする。
サマンサは、「勝ったわね」とキャリーに言うと、キャリーは「これって競技なの?」と質問する。するとサマンサは「惨めな死に方をしないためのレースなのよ」と回答する。いつもながら、サマンサの人生観・世界観は面白い。
キャリーの家で寛ぐキャリーとエイダン。エイダンがコーヒーフィルターを買いにキャリーの家から出ていくのと入れ違いにビッグが現れる。
ビッグを追い返したあとに聞くビッグがキャリーの留守電に残したメッセージは「君の事が忘れられない」であった。
それを聞いたキャリーは1年前に聞きたかったとモノローグで表現しているので、劇中ではあの別れから1年が経っているのだろう。
シャーロットはトレイからI love youを引き出して一歩前進。米国における”I love you”は結婚を前提にした真剣な交際を望む時に、一方がもう一方の当事者に宣言する言葉である。
シャーロットはこの言葉を引き出せないうちは、性的な関係をトレイとは持たないようにしていた。
ミランダは子供をつくろうと言うスティーヴの子供じみた願望にウンザリさせられる。
サマンサは生理がだいぶ遅れたので閉経を心配したが、杞憂に終わる。
S3第9話 右脳の恋 左脳の恋
ビッグと寝てしまい、キャリーがエイダンを裏切る回。
キャリーの居場所をエイダンに教えてもらい、キャリーが仕事しているホテルに行くビッグ。
まともに話をする準備を出来ておらず、心の整理もついていないのに、キャリーに「1分でいいから僕の話しを聞いてくれ」というビッグ。
自分が最も愛するキャリーに言えなかった言葉を、ナターシャに言って結婚した。その自分の過ちを1人で背負い続けられない男、ビッグ。
ビッグのような人物が実業界で業績を残せるとは理屈コネ太郎には思えない。
ビジネス上の約束は守れるけれど、恋愛の約束は守れないというなら、ビッグは見下げ果てた男だ。
と、キャリー目線の劇中の進行では思ってしまう。
行為のあと、ビッグが吸うタバコをキャリーも吸う場面は、なんとも背徳の気怠さが漂っていて、共犯者の2人を上手に表現している場面だ。
キャリーは禁煙するというエイダンとの約束も反故にしたのだ。
シャーロットはトレイからプロポーズを受けてまあまあ有頂天。
ミランダはスティーヴと本格的に別れる。この回で、ミランダの家に猫が居るが、前からいたかな?犬は前回にペットショップで購入したけど。
サマンサは、オーラルセックスがいかに女にとって大変な作業かを男に分からせる。サマンサらしい取引を男に持ちかけるところも面白い。
S3第10話 全てを手に入れた女
サマンサの引っ越しを4人で祝ったあと、キャリーとサマンサは2人きりで後片付けをしている。
その際、キャリーはエイダンを裏切った事をサマンサに告げる。
サマンサは、「エイダンはまだあなたにI love you を言っていないから、キャリーあなたはまだFree Agentなのよ」といって、サマンサ的にキャリーの行動はOKである旨を伝える。
しかしキャリーは「私はFree Agentは嫌なのよ」という。
キャリーが「そんな、私を批判する?」と問うと、サマンサは「私はそんかガラじゃない」と言ってウインク。
キャリーはエイダンの出張中に再びエイダンを裏切る。
エイダンは出張から帰り、キャリーのアパートで、キャリーにI love youを告げる。そしてキャリーもエイダンにI love you, too と告げる。このシーンの間、2人の表情を見て欲しい。I love you が米国文化で如何に重い言葉かがご理解いただけるはずだ。
キャリーが2人の男性を愛して、心が割れる苦しみを耐えているのが良くわかる。
ビッグの話しは直前の数回から二転三転しているが、どうやら妻との離婚を進めていくつもりのようだ。
シャーロットは婚約プロセスと強かに進めていく。
ミランダはスティーヴと別れたあとは冴えない感じ。
サマンサは風邪をひいて孤独を味わった気になる。
S3第11話 リスクの高い恋
キャリーとビッグの関係が次第に周囲に露見する回。
キャリーはミランダにビッグとの関係を打ち明ける。勿論、ミランダはキャリーを批判したりはしない。
そして、偶然にシャーロットにも知られてしまう。自らの幸福な結婚式の付添人であるキャリーが不貞を働いていた事をしり、シャーロットはショックを受ける。
何処にも逢瀬の場を持てない2人は、ビッグの家で会う。
そこは2人が付き合っていた頃にキャリーが楽しい時間を過ごした思い出の場所。ナターシャは外出している。
ビッグが外出した後、キャリーもすぐに出れば良かったのに、キャリーは冷蔵庫のなかの食べモノを食べたり、部屋中にあるナターシャの趣味を眺めたりする。
そして、予想外に早い帰宅をしたビッグの妻ナターシャにキャリーは目撃されてしまう。
キャリーはたまらずコソコソと逃亡するが、ナターシャは「あなたたちの事は知っていたけど、この家ではやめて」と言いながらキャリーを追いかける。追うナターシャは転倒し、歯を折り唇を切る怪我を負う。
キャリーはナターシャに付き添い病院に行く。そこにビッグが現れる。
キャリーからナターシャの状況を聞いたビッグは安堵したのか、ものすごく間抜けな顔をする。
自分はまるで当事者ではないかのような顔。
そしてキャリーの去り際、「ここにいてくれてありがとう」と、暢気な顔で言うのである。
この男が優秀なビジネスマンだとは到底思えない理屈コネ太郎であった。いや寧ろ、優秀なビジネスマンであってさえ、男という生き物はこの程度なのかとも解釈できるが。
S3第12話 恋愛における嘘
キャリーがビッグとの関係をエイダンに打ち明ける回。そしてシャーロットがいよいよトレイと結婚する回。
結婚式前夜、キャリーはエイダンの工房を訪れる。エイダンはシャーロットとトレイのために家具を作っていた。
その家具に傷がある事を見つけたキャリーにエイダンは、それは木目でこの材料の本来の姿だ。そしてこの家具は2つの異なる木材を用いて組んであり、その事でこの家具は長持ちするのだ…と説明する。
それは、エイダンがシャーロットとトレイの結婚に込めた祝福の隠れたメッセージだった。
結婚式に向けて出発する直前に、キャリ-はエイダンにビッグとの事を告白する。衝撃を受けたエイダンは結婚式には参加しない。
式が終わり参加者が建物の外に出たときに、エイダンが現れる。エイダンに近づき後悔を告げ許しを請うキャリー。
エイダンの工房で見た、あの家具の傷のように自分のビッグとの過去の過ちを受容してくれないか、そしてエイダンと自分の2人でこれからも強くなれないだろうか…とキャリーはエイダンに許しを請う。だが、エイダンは1人になる時間が欲しいといい、去っていく。
シャーロット達との写真撮影に戻るキャリー。経緯を見ていたミランダが寄り添う。
この回は、サマンサ以外は何等かのカタチでダメージを受けている回。
エイダンの思慮、思いやりや考え方から推測すれば、キャリーが後悔と自責の念を1人で背負い墓場まで持っていく事ができたなら、キャリーはエイダンと幸せになれたかもしれないと理屈コネ太郎は思う。
現実社会では、多くの人がそうやって身近な幸福を手に入れているのだはないだろうか。
エイダンも過去に色々な恋愛絡みの失敗と後悔を繰り返してきたはず。だからこそ、エイダンはキャリーと本当に付き合う気になるまでセックスしなかった。
それはつまり、エイダンはエイダンで過去の喪失からの再生の途中だったからなのだ。今回の事でエイダンはとても傷ついた。瑕疵は一方的にキャリー(とビッグ)にあるのに、エイダンは傷ついてしまったのだ。
なんと気の毒なエイダン。
因みにビッグは出てこない。
S3第13話 過去からのエスケープ
キャリーはキャリーの本が映画化されるかも…という要件でロスアンジェルスに、ミランダとサマンサと行く。
そこで、プロデューサー兼俳優のマシュー・マコノヒー(本人役)と会い、妙なディスカッションの際に「なぜビッグとキャリーはうまくいかないんだ?キャリーにも問題があるんじゃないのか?原作者としてどう思う?」みたいな事を尋ねられる。
原作はコラムとしての”Sex And The City” なので、それがキャリーの私生活ではないとマシューは思っての質問だ。
ちなみに、マシュー・マコノヒーは2013年の映画、ダラスバイヤーズクラブでアカデミー主演男優賞をとった俳優。
まだこの頃は、彼の本当の実力が世に知られる前である事と、彼の今回の役柄が妙な人物なことから、殆ど印象に残らない感じ。
S3第14話 やっぱり見た目が大事?
夫とのセックスレスに嫌気がさして友人達を訪ねてきたシャーロットも加わって、4人組はロスで散々な目にあって、ニューヨークに帰る。
この回はヴィンス・ヴォーンとキャリー・フィッシャーが出演している。
ヴィンスは今回の軽薄な感じが後年のTrue Detectives 2の濃い存在感と全くリンクせず、プロフェッショナルな俳優の技量を感じる。
S3第15話 大人の女の条件
お金持ちを親にもつ13歳の子供たちにウンザリさせられる回。
シャーロットはトレイとまだセックスできずにいる。
S3第16話 恋愛のエキスパート
キャリーの随分前の元カレとデートするミランダ。キャリーは、その男は最低男だからと忠告するが、ミランダは結局デートして好感触を掴む。
そこでミランダはキャリーの誤解をとくべく、3人での食事を計画する。そこで、例の男性が最低人間だと発覚してミランダの短いロマンスは終わる。
シャーロットは、とうとうトレイのセックスする事に成功し、その結果をサマンサに電話で報告すると、サマンサは自分の事のように喜ぶ。
S3第17話 男と女のカルマ
サマンサはナターシャたビッグと離婚した事を知り胸を痛める。ナターシャに会い、自分が彼女しした事を謝罪する。
言うべき事を伝えたキャリーは立ち去ろうとするが、それを引き留めてナターシャは言う、ビッグと出会った事、結婚した事、ビッグの浮気を見て見ぬ振りしていたこと、階段で歯を折って酷い手術を受けていながら色がまだ戻らないこと、今日あなたが私のランチを邪魔した事。すべてとても残念だわ…と。
ナターシャはビッグとキャリーに傷つけられ離婚した。それでも生活し再生していかねばならない。今更キャリーの謝罪を聞いたところでなにになる。突然あらわれて過去の不愉快な事を蒸し返されて、せっかくのランチが台無しになった。そう言いたかったのだろう。
ナターシャから見ればキャリーは加害者だ。しかしキャリーは苦しみもしたし、罪悪感にも苛まれもした。ビッグを拒みきれなかった自分の非も認めるし、なんども逢瀬を繰り返した事から、自分には被害者面する要素は何もない事も知っている。
キャリ-はビッグだけでなく、エイダンも失った。大切な人を失ったのはナターシャだけではないのだ。自業自得といえばそれまでなのだが‥
S3第18話 みんな私が悪いのか?
キャリーとミランダが歩いていると、スティーヴとエイダンが一緒にそれぞれの犬を連れてお茶をしている。キャリーとミランダが話しかけるとすぐに、スティーヴとエイダンの恋人と思しき女性2人が現れる。
あるひ、キャリーの家にビッグが電話がある。2人は食事の約束をする。その話をミランダに相談すると、絶対にビッグにキスをさせてはダメだとのアドバイス。
当日、キャリーに会うなりビッグはキスをしようとすると、それを避けるために体勢を崩してしまい、2人は池に落ちる。その後、ビッグの部屋でシャワーを浴びたキャリーは何ごともなくビッグの家をでる。
シャーロットはトレイから復縁を求められ、サマンサは柄の悪い近隣住民とのトラブルを収束させるために仲直りパーティーを開催する。
Season3は以上。
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