Sex And The City Season4 濃くて長くて知恵いっぱいのドラマ

Sex And The City は6シーズンのドラマ版と1本の映画で、主人公キャリーとその親友3人の恋愛ドタバタ模様と、キャリーが幾多の困難を乗り越えてビッグと結婚する物語である(Movie2は除く。Movie2は結婚後のお話)

以下、ネタバレありまくりです。

『理屈コネ太郎』の考えでは、キャリーはロマンティクラブの人で、S1E1でビッグの一言で呪文をかけられたかのように、ビッグが運命の男性かも…と信じたり疑ったりを繰り返して彷徨う愛の旅人。

Season1では、キャリーはビッグを運命の人だと思い込んでいた。しかし、ビッグはとうとうキャリーに「君が僕の運命の人だ」…みたいな事を言わなかった。それゆえにキャリーはビッグと別れた。
それは、キャリーが自尊心が高いからではない。既述したように、キャリーが思い込んでいる恋愛観であるロマンティックラブイデオロギーには相思相愛の唯一の人という概念があり、その概念にビッグの行動が該当しなかったから。
キャリーの人物像の詳細はココをクリック、ロマンティックラブイデオロギーの詳細はココをクリック。

Season2では、ビッグもキャリーを失った痛みに懲りたのか、前seasonよりはキャリー側に行動を寄せてくるが、やはりキャリーはビッグの世界に入り込めていない気がする。そしてなにより、キャリー自身もビッグを受け入れていない事に気付くのだ。
ビッグは仕事のためにパリに長期滞在するという。いつ帰ってこれるかわからないという。そんな身勝手なビッグにキャリーは疎外感を感じる。キャリーはビッグがパリに行くのを機会に別れることにした。
 キャリーはビッグとの別れにダメージを負っていた。そしてそのダメージをより深刻で決定的にしたのは、パリに行ったはずのビッグがいつのまにか帰国していて、おまけに若くて長身で美人の婚約者ナターシャまで見つけてきた事だ。
このナターシャ、And Just Like That…でも興味深い登場の仕方をするので脳内メモリーに余裕のある人は覚えておいて。

Season3では、キャリーは新しい恋人エイダンとの交際を順調に進めていた。エイダンは過去の恋愛の反省から本気になるまではセックスしない事に決めている人だった。エイダンは過去の恋愛におかる失敗からの再生途中だったのだ。

一方、詳細は不明だがビッグとその妻ナターシャの間に亀裂が入る。ビッグはキャリーに会いたいと言いだし、2人は逢ってしまい、そして肉体関係までもってしまう。それも一度だけでなく、何度も。

そしてその不貞な関係はビッグの妻のナターシャに露見する事になる。

キャリーが今はビッグとナターシャの家となった部屋で情事の後に1人で食事を摂っていたところへナターシャが想定外に早い帰宅をした。キャリーはナタリーに見つからないためにコソコソと逃げ出すのだが、ナターシャに見つかってしまう。

逃げるキャリー、追うナターシャ。追う途中、ナターシャは転倒して前歯を2本折り、唇を切る。

そしてキャリーはシャーロットの結婚当日にエイダンにビッグとの関係を告白する。自分の愚かさと後悔を伝え、許しを請うが、エイダンは1人になる時間が必要だといってキャリーの前から姿を消す。

エイダンも過去の辛い恋愛からの後遺症からの再生の途中だったことは既述した通りだ。キャリーとなら再生できるかもと思っていたエイダンを襲ったキャリーのビッグとの不貞な関係。エイダンの心中いかばかりか。

キャリ-はビッグとエイダンの2人を失ったのだ。

ビッグはナターシャと離婚したとのうわさがキャリーの耳に入る。キャリーはナターシャに会い謝罪するが、ナターシャはビッグに出会って以降の全てがただただ自分にとって不幸な出来事だったといい、キャリーの謝罪を全く寄せ付けない。

ビッグとの離婚はキャリーだけが原因ではなかったかのような態度。

街でキャリーとミランダが偶然にスティーヴとエイダンと行き会う。その時はすでに両者とも新たな女性と付き合っているようだ。

Season1~3まで復習はこれくらいにして、本Seasonの各話を見ていこう。

S4第1話 独りぼっちのお姫様
今回はソウルメイトについてのお話。仲良し4人組みが運命の人はソウルメイトなのかどうかについて話をする。

キャリーの35回目の誕生日を友人達と食事会で祝う筈だったが、キャリー以外は誰一人その食事会に現れない。いたたまれなくなったキャリーはレストランを出て自宅に戻る。

留守番電話には、仲良し3人組とスタンフォードからのメッセージが残っていて、みな交通渋滞その他の理由で遅れる旨の内容。ミランダはキャリーが携帯電話をもっていないから連絡できないとも。

キャリーが自宅で1人で孤独に咽びながらシャワーを浴びていると、シャーロットが迎えに来て、皆が待つコーヒーショップに場所を変えて誕生日を祝う。

そこでキャリーは祝ってくれる友人達がいないレストランのテーブルで、自分の人生がいかに孤独と感じたかを喋る。

みな押し黙るが、そのときシャーロットが、私達4人がソウルメイトなんじゃないかしら?みたいな事をいう。みな、その考えに同感する。この事は伏線としての役割を果たし、映画版Sex and the City 2でサマンサの発言で回収される。

普段のシャーロットは生ぬるい綺麗ごとばかりを言う人物だが、芯の部分では教養と芯の強さと愛情のある女性なのだ。

機嫌をなおしたキャリーが帰途につくと、自宅の前にビッグのクルマが。

ビッグはキャリーの誕生日を祝うために来ていたのだ。

キャリーは自分の現状も悪くないと思いなおすのだった。

S4第2話 素顔のままで
キャリーが友人のファッションショープロデューサーからファッションショーに「かっこいいニューヨーカー」として出演を依頼される。

キャリーな悩んだ末に出演する事にした。当日の舞台裏のドタバタやランウェイでの出来事とそこからのリカバリーがキャリーとその友人達を元気にした。

S4第3話 恋愛の測り方
ビッグに連れられて行ったジャズの店で、キャリーはジャズマンと知り合い、デートする。

キャリーはビッグとの曖昧な関係よりも、ジャズマンとの新しい関係に踏み出す一歩を見出す。

S4第4話 セックスと恋愛の両立?
4人はそれぞれに小さな転換点を通過する。あまり大筋には関係のないエピソードかも。

S4第5話 過去という名の亡霊
ミランダが偶然スティーヴと出くわす。スティーヴはエイダンと2人でバーをオープンするので、ミランダとキャリーには開店パーティーに出席して欲しい旨の話しをする。

キャリーはそのパーティーには行きたくない。そこには、エイダンがいるはずから。

エイダンに酷い仕打ちをしたのは自分だが、しかしエイダンを愛していた気持ちに嘘はない。

そしてその気持ちは今も心の何処かで熾火のように灯っているようだ。

パーティーでエイダンと再会するキャリーだが、エイダンの他人行儀な印象にややご不満。

喧噪を抜け出して、1人になるために裏口から外に出たそこには、エイダンが葉巻を吸って1人で時間潰しをしているところだった。

キャリーはあれほど喫煙を嫌っていたエイダンの変化に驚く。体重も絞れていて、若干薄かった前髪が濃くなっていたのだ。

外見や振る舞いが以前と多少変化していても、エイダンの穏やかさは変わらない。キャリーはエイダンをまだ愛していると再確認する。

『理屈コネ太郎』的には、ここで少し不思議に思う事がある。字幕では「運命の人」、英語では”The One”と表現するように、ロマンティックラブにおける愛する人はただ1人の筈だ。

実際に、キャリーはseason1でビッグから”The One”という言葉を言って貰えなかったばかりに、旅行出発の当日に別れた。

本season第1話では、ソウルメイトと運命の人の関係が4人組の間で話題になったとき、サマンサが「もしソウルメイトがこの世にたった1人だけなら、そりゃ出会えっこないわよ」みたいな事をいい、他の3人もまあまあ納得していた。

その理屈を運命の人、すなわち”The One”に適応すれば、運命の人が1人なら、出会える確率は極めてゼロに近いはずだ。

たぶんキャリーは、運命の人或いは”The One”は世界に1人だけだと思っていない。実際にビッグとエイダンの2人を同時に愛していて、その際は本人自身も心が2つに割けるような苦しみを味わっていた筈だが、どちらが運命の人か?とは疑問に思っていなかった。

ここが、キャリーという人物の非常に興味深いところである。

S4第6話 赤ちゃん注意報
キャリーとエイダンがヨリを戻す回。キャリーがエイダンにまた付き合いたいみたいな事を言って、エイダンは暫く悩むのだが、とにかく2人はまた付き合うことになる。

エイダンがキャリーとの過去をどのように気持ち的に処理したのかは全く触れられていない。SATCはキャリーの一人称ドラマであることを思い出させる。

とにかく、エイダンは減量し、前髪も増え、シャツの趣味も変わり、前よりはカッコよくなっていた。キャリーに酷い仕打ちをされた後、研鑽に励んだのかも知れない。

が、記述した通りエイダンがキャリーとの過去を内面的にどのように処理したのかはまるでわからない。エイダンがキャリーを赦す心の過程が全く描写されていないから。そしておそらくそのプロセスをエイダンはキャリーに話さなかったのだろう。

S4第7話 女と男と罪と罰
やはりエイダンは許してはいなかった。そしてキャリーも自分を許してはいなかった。

エイダンとキャリーがビッグの事で議論する際の、キャリーの論理展開が凄い。

このキャリーの論理をいったん飲み込むエイダンも凄い。

しかし、キャリーとエイダンはそれもコミコミで交際を続ける事にする。

シャーロットは主婦業とチャリティーに精を出すために画廊を辞める。画廊を辞職する事についてはミランダと意見が対立する。

S4第8話 私とマザーボード
ミランダの母が他界する。ミランダの母は病状が安定していたので家族が帰宅していた間に、誰にも付き添われず1人で旅立ってしまった。

他人からの助けを過剰に期待してはいけないが、思わず助けられたとき人は本当に救われる。

ミランダが黒い下着を買いに行くと、売り場の無神経なオバちゃん店員がミランダの神経を逆なでするが、しかしこのオバちゃんは善人だった。ミランダはこのオバちゃんに抱擁された事で母を失った悲しみの中で正気を取り戻す。この時のシンシア・ニクソンの芝居がいい!

サマンサの優しさが垣間見れる回。教会でサマンサとミランダが距離を置いて目と唇の動きだけでお互いに一言だけの会話をする。そのとき、サマンサの口の動きははI’m sorry. なのだが、字幕では「元気を出して」になっている。名訳である。因みに吹替え版では「お悔みを…」に聞こえる。

S4第9話 愛は妥協の産物
スティーヴに精巣がんが見つかり手術を受ける。ミランダがつい手助けする。

ビッグに女優の恋人が出来る。キャリーの気持ちがザワつく。

S4第10話 男はタマのついた女?
ビッグの女優の関係が怪しくなり、ビッグはキャリーと喋りたくなる。エイダンの別荘にキャリーを訪問したビッグはそこで、エイダンと初めて掴み合いの喧嘩をする。この喧嘩により、エイダンとビッグの間の憂さが少し晴れたようだ。

精巣をひとつ手術で摘出したスティーヴは男性としての自信を失いそうになるのをミランダが助ける。

サマンサはホテルオーナーのリチャード・ライトと出会い、彼の会社と業務契約する。

S4第11話 女たちの交差点
んー、考えさせられる回。

妊娠と性について、いかに男性が当事者意識を持たない生物かを思い知らされた。

ミランダがスティーブの子を妊娠する。堕胎すると1度は決意したミランダだがしかし、土壇場で生むことを選ぶ。

男性諸氏、この回は是非みて欲しい。女性が背負っているモノが男性とは全く違うことを痛感させてもらえるから。

S4第12話 結婚は正しい選択?
キャリーはエイダンが婚約指輪を準備しているのを知る。しかしこの指輪がキャリーの趣味には合わない指輪だった。

ビッグには君は結婚には向かないタイプの女性だとキャリーは言われるが、S1E1のときのキャリーとは違って、この時はビッグの言葉に耳を貸さない。

そしてキャリーはエイダンからの求婚を受け入れる。

サマンサは、自分同様に異性に特別な意味を持たないホテルオーナー、リチャード・ライトとセックスをする。

ミランダはスティーブから求婚される。

シャーロットは自分の思う通りに妊活が進展せず養子の可能性を模索するが、義母から養子には賛成しない旨を告げられてしまう。

そして肝心の旦那からも子作りは大変なのでもう辞めたいとの申し出が…。

物語の外の話しだが、この回の放送は2001年8月12日。この放送の約1か月後に9.11同時多発テロが起きる。

その影響もあってか、次の回が放送されるのは翌2002年1月6日。この2002年1月6日の放送では、ドラマ中に9.11の事は全く話題に上らないし、まるでそんな惨劇は無かったかのようにドラマは進む。

そう、SATCはロマンティックコメディーなのだ。『理屈コネ太郎』には、ロマンティックコメディーの存在意義は人々を愉しませる事ゆえ、あえて同時多発テロと関連する場面を作らなかったのだろう。

では、同時多発テロ後の最初お放送を次にみてみよう。

 

S4第13話 愛と戦いの日々
2001年9.11同時多発テロが起きてから最初の放送。この回のオープニングには貿易センタービルは出てこないし、物語中でも同時多発テロを示唆する情報は一切でてこない。

さて、キャリーの部屋に引っ越して来たエイダンの荷物にウンザリするキャリー。

ミランダは国務省の通訳相手に毎回これが最後のセックスかもと思いながら関係を継続する。

シャーロットはトレイとの関係が剣呑な雰囲気を帯びてくる。

そしてサマンサはリチャードを好きになる。

S4第14話 恋愛のオモテとウラ
サマンサはリチャードに、ドラッグでハイになっている勢いもあってか I love you と言うが、リチャードは知らないフリ。

シャーロットはトレイといよいよ別居(実際は離婚の婉曲な表現だったようだ)をすることになる。

キャリーは自分のパリピな性分と、エイダンの生活様式の違いに、次第にズレを感じ始める。

S4第15話 愛と拘束の約束
トレイと離婚したシャーロットは新しい生活のルーティンを構築しようとするがなかなかうまくいかない。

サマンサはリチャードへの思慕が空回りする。

キャリーはエイダンと婚約したものの、自分がまだ結婚に準備が出来ていない事で悩む。エイダンはまだキャリーを信じられずにいて、それゆえに結婚に急いでいるのだ。

キャリーに結婚に踏み切れない心情を告げられたエイダンは、翌日キャリーの家から出ていく。S4E12でビッグに言われた通りになる。

S4第16話 独身女の査定価格
エイダンと別れたキャリーに、お金と住居の問題が発生する。

3人の女友達とビッグとすったもんだの末、なんとか問題解決に見通しを付ける。

S4第17話 “ヴォーグ”なアイデア
キャリーは雑誌ヴォーグで連載を持つことになる。そこには、奇天烈な人々が存在していた。

『理屈コネ太郎』的に気になったのは、キャリーが仲良し4人組でお茶をしている最中に、紙の資料をめくる際に指を舌につけて唾液で滑りどめにするところ。

キャリーの成熟ぶりを感じられる場面。

S4第18話 我が心のNY
キャリーは、ビッグがカリフォルニアに引っ越すのを偶然に知る。

エイダンと別れ、ビッグとも離れ離れになり、キャリーは1つの時代の変化を感じる。

そのころ、ミランダは男子を出産する。

これが、Season4の全Episode. このシーズンでは、キャリーとビッグは恋仲にはならない。キャリーとエイダンとの恋愛模様と、仲良し4人組の起伏のある感情のぶつかりあいを描いている、そんなシーズンだったと思う。

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