STAR WARS 面白さと愉しみ方 ネタバレあり版

STAR WARSの面白さを、主に映像作品を題材に語ってみたい。あくまで『理屈コネ太郎』の独断と偏見に満ちた私見である事を御銘記のうえ読み進めて戴ければ幸いである。

STAR WARSの面白さはまずその世界観だろう。George Lucasが創造した遥か彼方の太古の銀河系の世界はとても不思議な世界だ。

そこでは、地球上では成立しないような飛行物体が空や宇宙を駆け巡り、多種多様な異星人たちがドロイドと呼ばれるロボット達と共生して社会を構成し、車輪は殆ど見られず、歩行型の乗物が数多く見られ、銀河の星々には適切な大気と重力が存在し、一部の者はフォースという特別な”力”を使いこなして地球で呼ぶところの力学の法則を無視した現象を引き起こす事ができる。

この銀河にニュートンが間違って生まれたら凡人以下だったに違いない。

STAR WARSの第2の面白さは、この銀河の統治機構である。

共和国時代は星々の代表者の投票による民主主義的統治が行われ、ジェダイ騎士団は平和維持の役目を担っていた。

その共和国のトップに民主的手続きで上り詰めたパルパティーン議長(実は悪の超親玉)の策略により、ジェダイ騎士団は抹殺対象にされてしまい銀河中に指名手配されてしまう。

そしてパルパティーン議長自身が皇帝を名乗り共和国は帝国へと変貌する。

STAR WARS第3の面白さは、共和国の超エリート集団であるジェダイ騎士団が優秀さと間抜けさを併せ持っていること。

ジェダイの騎士になるには先天的なフォース感応能力と幼少期からの集中的訓練が必要である。

フォースとライトセイバーと高い身体能力を持つ彼らは戦闘者としては一騎当千の実力を持つが、ジェダイの掟を信じるあまり、あるいは自分達の高い能力を過信するあまりか、やることにいちいち穴がある。画竜点睛を欠くというか。

彼らにもう少し謙虚さとイノベーションを目指す意識があれば、防げた悲劇は少なくない。

STAR WARS第4の面白さは、自分の為すべき行動に全力を惜しまない人々が多く登場すること。

それは時に大きな悲劇をもたらすが、時代が大きくうねりながら前進するには、為すべき事を為すために全力を惜しまない人々が不可欠なのだ。

STAR WARSにはそういう人々が多く登場する。

その点、ジェダイ騎士団は実力を出し惜しみする気風があるように『理屈コネ太郎』には感じられる。

STAR WARS第5の面白さは、登場人物達そのものである。

EpisodeⅠで登場した聡明で可愛いアナキン坊やは、成長してジェダイになったあとは、自己評価が極めてたかく自信過剰であり、師であるオビワンより自分の方が強いと思っているが、しかしそう思いつつもオビワンから学ぶ事も多いと知り、またオビワンの人間性やジェダイ騎士としての規範に則る行動を尊敬していた。

そのアナキンが、パルパティーンに唆されドゥークーの後釜として闇落ちし、オビワンに一騎打ちを挑んだあげくに両足を切断され燃えたぎる溶岩に落ちて着衣に炎が燃え移りトドメは不要と判断したオビワンがその場を去ったあと、パルパティーンに救出され全身の創傷から生命を維持するためにサイボーグ化されダースベイダーへと変化する。

映画版では描かれなかったが、クローン戦争というアニメシリーズ(EpisodeⅡとⅢの間の時代の物語)では、アナキンはアソーカという聡明で優しくて心の強い弟子をとり、強い信頼関係を築いていた。

アソーカは犯罪の濡れ衣を着せられ、最終的には無実は証明されるのだが、その過程でジェダイ騎士団に失望し、無実が証明された後に騎士団を去っている。そのため、EpisodeⅢに登場しない。

アソーカとアナキンの信頼関係は、オビワンですら合理的判断にて退避を主張する状況下でも、アナキンは戦地に残されたアソーカの救出可能性を信じて残留を希望する。

同じころ、戦地に残されたアソーカは絶対にアナキンなら自分を助けに来ると希望を棄てず、その状況でもやれる事をやろうとする。

こうした強く深い関係性は、アナキンはオビワンとも構築していた。ダースベイダーになったあとも、彼の心にはオビワンへの教敬や思慕が間違いなく残っていた。ダースベイダーはオビワンへのそうした感情を憎しみへと転換することに膨大なエネルギーを使っていたと思う。

人間(遠い銀河の太古の生物を私達と同じ人間と呼べるかは疑問だが)、アナキン・スカイウォ-カーは魅力ありまくりである。

話を元に戻そう。

STAR WARS第6の面白さは、チョロ出しされたヒントから隠れたドラマを推理してみることだ。TVシリーズのオビワンケノービで、リーヴァをオーダー66の際にアナキンに襲撃されたヤングリングスの1人だと見事に推理した人も多かった。

そしてSTAR WARS第7の面白さは、DisneyがSTAR WARSの権利の入手してからの、ドタバタ作品の鑑賞である。作り手が作品に愛情や敬意を抱いていないと、こうも違った作品が作られるのか…と分からせてくれる一方で、資本がどこであろうと作り手が作品に愛情と敬意をもってさえいれば、良い作品が作られることも分からせてくれた。

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