本シリーズはSTAR WARS 映画EpisodeⅠ~Ⅳおよび3Dアニメクローンウォーズシリーズの中心人物の1人オビ=ワン·ケノービを主人公にした新シリーズ。本邦では2022年5月27日16時よりDisney+にて配信スタートした
本作だけを取り上げて面白いか面白くないかと問われれば、やや面白いかなぁ~って程度。
凄く面白いって程では全然ない。
しかしながら作品としては良く出来ているし、なにより本作によってオビ=ワン·ケノービが自らを罰するかのように雌伏の時代を過ごし、そしてダース・ベイダーとなったアナキン・スカイウォーカーとの再会と幼少期レイア・オーガナ姫との出会いによって再びジェダイ時代の強さを取り戻す過程が描かれた事、さらにオビ=ワンに兄弟がいた事がわかって、なんとも嬉しい気持ちになれた。
自惚れの強いアナキンをして、ヨーダのように狡猾でメイスのように強いと言わしめたオビ=ワン·ケノービが、アナキンを闇落ちから救えず、あまつさえアナキンを殺してしまった(とオビワンは思っている)後悔と罪の意識に苛まれながら、アナキンとパドメの双子の遺児の1人ルークをタトゥィ-ンで見守りつつ地味に孤独に生活している描写からこの物語は始まる。
市井の小悪党の横柄な態度に、オビ=ワンは多少批判的は目線を送るだけで何の主張もしなかった。あの平和の守護者を自負する、ジェダイ・マスターのオビ=ワンのその時の姿は本当に情けなかった。
更には、自分を頼って近づくジェダイ・ナイトを助ける事を拒み、隠れて生きる事を諭す場面。あのオビ=ワンがそんな事を言う?
アナキンへの罪悪感もわかる。ルークを見守るってのもわかる。だけど、オビ=ワン、あなたは本当にただの腰抜けになったんじゃないの? っと思わせるくらいファンを完璧に失望させた。
ところですこし話しは逸れるが、ムスタファ―におけるアナキンとの決戦の際にオビ=ワンがアナキンにトドメを刺さなかった理由については多くの人が語っているが、EpisodeⅢの当該シーンを素直にみれば、オビ=ワンはその必要を感じなかった、もう衣類も着火していて死が確実にアナキンに訪れると考えたからだと『理屈コネ太郎』には思える。
自分はアナキンを殺した…とオビ=ワンは信じていたのだ。本作でリーヴァにアナキンが生きている事を告げられるまでは。
オビ=ワンはムスタファ―の決戦で勝敗が付いた後、パルパティーンがアナキンを救けてサイボーグ化を施した事などとは全く知らなかった。
両脚を失い、燃え盛る溶岩の炎がアナキンの体表を襲い始めたのを見たオビ=ワンは、アナキンの死は目前だと素朴に確信し、トドメを刺すに忍びなくその場を立ち去ったのだ。
意図的に殺さなかった(=生かしておいた)…というわけでは全くない。と『理屈コネ太郎』は思っている。
本作前半で、ジェダイ時代とは別人のように覇気がないのは、クワイ・ガイから託され、弟の様に可愛がり、ジェダイとしての成長を一手に引き受けていたアナキンを、自分の手で殺害した事への罪の意識が彼を打ちのめしていたから。
愛する者を自らの手にかけて平気でいられるオビ=ワンではない。ルークを見守る使命がなかったら、オビ=ワンこそが正気を保てず闇落ちしていたのではなかったか?
憎くて殺したのではなく、アナキンの悪への暴走を阻止するため、ジェダイナイトの職務を全うするために、嫌々アナキンを倒したのだから。
一方、ベイダー側の心情としては、ダース・ベイダーとしてもう引き返せない悪の道を孤独に突き進む自分を止めてくれる(殺してくれる)のは、師であるマスター・ケノービしかいない…と考えていたのではないかと思う。
だって、パルパに唆されてせっかくダークサイドに堕ちたのに、パドメは助けられないわ、パドメと自分の子供の行方は知れないわで、結局闇落ちした目的をアナキンは果たせずに暗黒卿としてパルパの下請け業をやっているだけ。
自分の闇落ちが失敗だったと気付けないベイダーではないと思う。
殺戮と破壊を続けながら、彼は絶対に自分の闇落ちが失敗だったことに気付いたはずだ。
殺戮の大義を見出していないベイダーに殺された幾千幾万の戦士や無辜の民もたまったものではない。
それはともかく。
ベイダーがもしパドメの死を知っているとすれば、彼の胸中に去来するのはどのような思いなのだろう。
生きて居たいとは、もう思えないのではないかな? 子供(達)がどうなったのかも知らされてないし。
STAR WARSファンなら、アナキンとオビ=ワンの関係性の始まりと終わりを知っている。本作は、本作それ自体の面白さよりも、2人のこれまでとこれからに、より一層深い意味と味わいを与えてくれると思う。
本作中でベイダーとオビ=ワン·ケノービは2度闘う。最初はオビ=ワンが現状に対応しきれず、ベイダーに簡単に敗北する。
ジェダイの能力をかなり失ったオビ=ワンにベイダーは茫然自失となり、本来なら刺せた筈のトドメを刺さず、オビ=ワンがレジスタンスに救出されるのを暇を与えてしまう。
2度目の戦いではオビ=ワンが勝った。しかしここでも、オビ=ワンはベイダーにトドメを刺さずに立ち去る。
そのあとベイダーは闇の虚空に向けてオビ=ワンの名を叫ぶが、その叫びは「なぜ今回も殺さなかったんだ!」っていう風に『理屈コネ太郎』には聞こえる。
STAR WARSは、こんな悲しい話しばかりである。
今回は以上。
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