ある日、YouTubeで偶然見かけたSUP(スタンドアップパドルボード)の動画(ココをクリック)に驚かされた。何と、そのSUPの下には水中翼(hydrofoilとも。以下、Foil)が付いており、パドルで漕ぐとFoilの揚力でボードが空中に浮かび上がるのだ。この現象を目の当たりにした瞬間、理屈コネ太郎は思わず「やりてェ~」とつぶやいてしまった。
この驚きは、モス級ヨット(ココをクリック)がFoilで飛ぶのを初めて見たとき以来の衝撃だった。
しかしやりてぇ~とはならなかった。
なぜならモス級ヨットはキールレスのディンギーヨットであるがゆえに沈もするし、競技用なので扱いが非常に繊細。
加えて装備の大きさや水中Foilのせいで、ビーチから出航するのすらひと苦労だ(ココをクリック)。
参考までに、モス級よりは格段に扱いが簡単そうでソロでも遊べそうそうなディンギーにこういうモノ(ココをクリック)もある。
次に目を付けたのが、Foil付きのウインドサーフィンだ(ココをクリック)。
ウインドサーフィンはマストがボードにジョイントで接合されているので、強い風を受けてモス級ヨット並の強烈な速度で走り、中空を飛ぶような動きに強く惹かれたが、これもまたマストやブームのサイズが大きく保管場所に困る。なんなら艇庫を借りる必要があり、結局手を出すには至らなかった。
一方で、最近では40フィートを超える大型ヨットもFoilで飛ぶ時代だ。America’s Cup(ココをクリック)やSail-GP(ココをクリック)、Imoca (ココをクリック)、Vendée Globe(ココをクリック)などでは、Foilを駆使して文字通りそれ以前とは異なる次元でレースが繰り広げられている。
そう、Foilはかなりスピードの出せる方法なのだ。そして近年の素材と成型技術の進歩と普及で、Foilは強力なエンジンによる推力ではなく、風や人力という比較的軽微な推力でも活用できるようになったのだ。
Foilingで飛んでいる艇やボードを見るそのたびに「ああ、Foilで飛んでみたい。でも装備が大きいのは嫌だし、ソロで気軽に楽しみたいな」と考えていたところ、SUP-FOILがその答えになることが分かった。
SUP-FOILの魅力:シンプルな装備で海を飛ぶ
SUP-FOILに必要な装備は実にシンプルだ。独特の形状をした比較的全長の短いボードとFoil、そしてFoilをボードに接続するマスト、それにパドルの4点セット。これだけで成立するのだから驚きだ。Downwindであれば、パドルすら不要だったりする。このサイズ感なら、愛車である日産ノートe-POWER 4WDに乗せて何処へなりとも運ぶ事が出来てしまう。
だが、見つけたショップで購入を検討する中で、甘い期待は打ち砕かれた。Foilで飛ぶには、高いバランス感覚、推力を生むための体力、そしてそれらを連動させる体幹の繊細なムーブが必要だという。
理屈コネ太郎には何一つ備わっていないものだ。
しかし、この挑戦的な条件に逆にやる気が湧いてきた。60代の挑戦として、SUP-FOILに人生の一部を捧げても良いと思えるほどだ。
数週間の待ち時間を経て届いたボード一式。全長は約210センチ、幅はおおよそ40センチ(くらいだと思う)。普通のSUPボードとは違い厚みがあり、ボード下面が水面に張り付かないよう工夫されている。
そのため、ロール方向に極めて不安定で、静かに立つだけでも至難の業だ。水面下に揚力を生むウイングが見え、その姿は水棲哺乳類のように美しい。
初練習の苦戦と今後の挑戦
これまで5回ほど海で練習してみたが、なかなか一筋縄ではいかない。取り敢えずボードの上に立つことすら難しい。だが、既述した通り装備を分解すれば比較的コンパクトになり、車にも、そして愛艇「Merry Fisher 895 Sport」に積み込むことも可能だ。保管もしやすく、さまざまな海域で練習できるのは魅力的である。
この冬はウェットスーツを着込み、SUP-FOILに本格的に取り組むつもりだ。ロール方向の不安定さを克服し、パドルで強烈な推力を生み出して、Foilで自由に飛ぶ日を目指して挑戦を続けたい。
以上。
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