もう一度やり直す心電図・循環器

循環器診療・心電図をもう一度独学でやり直したい医師に向けた書籍・DVDのご紹介。

救急医学、総合診療、呼吸器、消化器など循環器非専門の医師は、循環器疾病に言い得ぬ恐怖を感じているはずだ。そうした臨床医たちに最適な書籍・DVDをご紹介する。

以下、書籍やDVDの名称部分をクリック戴ければ、当サイト内該当頁が開くので、ご活用いただければ幸甚だ。

循環器非専門医には出来れば避けて通りたい循環器疾病であるが、そうも言っては居られない。今日も明日も明後日も、胸部・心窩部の疼痛・違和感を訴える受診者はひきもきらない。

救急医学、総合診療、呼吸器、消化器それぞれの診療領域の専門家としての切れ味を維持しながら、どうしたら循環器・心電図について独学でやり直したらよいのか。

循環器診療といえば、なにはなくても心電図であろう。心電図は安価で非侵襲的検査であるため、極めて普及度の高い検査機器だ。

最近はレントゲン設備を持たないクリニックも増えたが、それでも心電図は設置しているのが普通だろう。

だから、全胸壁・心窩部の疼痛・不快や、動悸を訴える患者に心電図を実施しないで済むケースは多くない。

そこで、とりあえず独学で心電図のやり直しと考えている人には、書籍では『3秒で読める心電図』を、DVDでは『もう迷わない、好きになる心電図』をまずは奨めたい。

この本とDVDは同じ著者によるものだが、心電図の成り立ちとか各波形とかの生理学的な解説は大胆に省略して、循環器非専門医が臨床現場でどのようなスタンスで心電図と付き合ったらよいのかを教えてくれる目から鱗が落ちる経験間違いなしの教材だ。

とかく心電図の本はアイントーベン(Wikipediaのアイントーベンの頁を開く)の三角形や、各波形の電気生理学的成り立ちからの解説で始まりがちであるが、この書籍とDVDでは、そこには一切触れない。

診療現場で心電図とどう向き合うか。この点に議論が尽きている。臨床医の視点では、そこが素晴らしい。

さらに、循環器非専門医として知っておきたい循環器診療のエッセンスを学ぶには、『Dr.香坂の循環器診療最前線シリーズ①~④』『激辛!  伊賀流心臓塾①~④』のいづれかを勧めたい。

この2つのシリーズは異なるアプローチで循環器診療を紹介してくれるので、両方購入しても損はないと思う。

DVDだから、わかりにくかったり、気になった箇所は何度でも再生できるのも魅力だ。

さて、更にもう一歩進んで、やっぱり生理学レベルで心電図をきちんと理論的に理解したい人には、『Dr.東田の「名物講義」実況中継シリーズ』の心電図編か、山本武志著『心筋細胞の電気生理学』をお奨めしたい。

この2つの教材は、12誘導心電図がどのような電気生理学メカニズムで描かれるのかを丁寧に解説してくれる。

どちらも優れた教材だが、DVDの方は分り易さ追求のためやや発話の速度が遅い印象なので、再生速度調整機能付きDVDプレイヤーがあると有用だろう。

心電図の素晴らしさと、後壁の虚血には検知能力が劣るなどの12誘導心電図の限界もわかるようになる。

さらにもう一歩すすんで、循環器非専門医ながら心エコーをも射程に入れたい方の独学には、種村正著『エキスパートが教える心・血管エコー計測のノウハウ』を読んだあとに、『DVDで学ぶ心エコー図診断シリーズ』をお奨めしたい。

実際の心エコーレポートを読めるようになりたい人には戸出・岡庭編集『動画で見て学べる 心エコーレポート実例集50』がコンパクトで宜しいと思う。

検査レポートを読めるということは、その検査についてそれなりの見識を持つことなのだ。

循環器非専門医にとって心エコー検査レポートを読んで心機能の概略をイメージできれば、絶対に及第以上のレベルだ。

これらの教材を使って折に触れて学習すれば、日常診療で遭遇するビビる症例を減らせる事は間違いないと思う。

私も頑張っている。

健闘を祈る、同志諸君。

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