サービスとは、タダってことではない。(当Site内『サービス、その本来の意味』も参照されたい)
サービスとは価値を創造する人間の行動の事だ。
そしてサービスは人間が関わる全ての産業や事業に内包されている。
Wikipediaによるサービスの定義(Wikipediaの当該頁を開く)とは若干異なるが、ここでは冒頭の定義によって論を進める。
例えば農業。
土地の手配から種子から生産物の育成、収穫、流通経路への販売まで、全て人間の行動によって行われている。
農業は消費者の代わりに、農産物を作ってくれる産業なのだ。
消費者は、自分の代わりに農産物を作る農業従事者の行動にも対価を支払っているのだ。
消費者が自分で農作物を作ろうと思ったら機会費用も含めると大変な値段になる。
しかし農家はプロフェッショナルなので、アマチュアより遥かに低いコストで生産してくれるのだ。
そう、農業はサービスに満ちている。
「お百姓さんに感謝する」っていうのは、こういう背景を考えてのことなのだ。
次は自動車メーカーを考えてみよう。
自動車メーカーは、関連法規や道路事情、景気や社会情勢などの考慮して、消費者の代わりに最適解な車を研究・開発して生産ライン構築や素材調達から修理・部品供給まで一貫して引き受けてくれる。
もの凄いサービスの集合体だ。これを消費者が自分で実行する事はほぼほぼ不可能だ。
次は医療を考える。
医療従事者は、受診者の代わりに専門知識を習得し、場所や医療機器や必要なプロフェッショナルなマンパワーを集めて有機的に組織化してくれる。
もし受診者が自分の体調不良を治療するだけの目的で医師などの医療従事者になろうとしたら、機会費用も含めて莫大なコストがかかる。自分の体調不良治療だけが目的では到底見合わない行動だ。
役所の公務員もサービス業者だ。役所は行政サービスという膨大なタスクを市民や国民1人ひとりに替わって遂行してくれる。税の徴収や治安の維持、外交、国防。凄いサービスだ。
裁判所の判事も、当事者同士では解決しない紛争に一定の筋道をつけてくれるサービスを行っている。裁判所がなかったら、世の中は荒野になってしまう。
サービスを「人による価値創造のための行動」と捉えると、社会がサービスで溢れている事に気付く。
全ての産業・事業にはサービスが内包されていると『理屈コネ太郎』が主張する所以である。
蛇足だが、サービスは人による行動だ。人は心の生き物である。なので、業者や店に嫌われる客は損をすることになることも付記しておきたい。(当サイト内『客の心得』の頁を開く)
今回は以上。
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