『医者は現場でどう考えるか』

著者はジェローム・グループマン。現役の医師である。本書は10年以上の長きにわたり、誤診され続けてきた女性のエピソードから始まる、

『理屈コネ太郎』のような臨床医と、一般の読者とでは、この本から受ける印象は大きく異なるだろう。

本書を読む際に留意すべき点は多いが、そのひとつは日米の医療の在り方の差異だろう。日本ほど短期間内に高度医療が受けられる国はそうはない(それは必ずしも良い面ばかりではないのだが)。公的健康保険が充実している欧州諸国ですらすぐにCTや内視鏡や心臓カテーテルなどの検査・治療は受けられない。ましてや公的健康保険が傍流でしかない米国では、診断や治療に決定力を持つ検査が、それが高額であるという理由だけで実施されなかったり、先延ばしにされたりする。


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